満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

昨日、SONIC CONFERENCE4終了

2024-02-13 | 新規投稿
昨日、SONIC CONFERENCE4終了。
zero gaugeオーナーJunya Hiranoの尖端的DJに初っ端から唸らせる展開に。ボイスのコラージュから徐々にビートを被せMAD LIB張りのアブストラクトなヒップホップに。これ、満員のフロアーで踊らせる音響です。そして打って変わって澄み切ったアルペジオのトラックを発し始めたのは尼崎のシューゲイザーNaotaka Nishioです。メロウなアンビエントで会場を浸らながら、抽象的音階のトーンに絶妙な間合いでスライドします。そして氏の持ち味であるフィールド・レコの音響が重なりました。この自然音とエレクトロの混じりはNaotaka Nishioの最大の持ち味です。VJ : Kenji Tsudaは音にジャストマッチな映像を展開。いつもオープン前位に店入りするマイペースなTsuda氏に「Nishio君の音は事前に知っていたの」と尋ねると「リハの時、チラっと聴いただけ」という。さすがです。
そしてミスターunknown electronics、MICTORAがダンサー、大歳芽里とコラボ。嘗てのジャーマン・ニューウェーブ張りの強力なビートは影を潜め、ここ最近はエレクトロ・シンフォニーへ向う彼がここにきて、更なる凄みのある分厚いサウンドを披露。これはもはや、轟音。クラウス・シュルツのTIME WINDのような圧倒的に覆い被さってくるような大河の音響でした。大歳芽里は頃合いを見て登場。ゆったりとした動きで独自の身体表現を見せます。私は彼女の紹介文に"あらゆる音や環境を自分のダンスの中に内在化させてしまう"と記しましたが、最近ではK2草深氏のハーッシュノイズや私のバンドsonic orbitのフュージョンサウンド等、様々な背景でバリエーション豊かなダンスを披露。これは環境を問わないと言うより、大歳芽里という主体が身体表現の枠内で、サウンドや外的要因を順次処理する彼女の自然体の意識の表れなのであろう。そして注目のdegital live painting : 松井智恵美によるあらゆるカラーを導入したペインティングはVJとはまた異る絵姿の表現としてイベントにメリハリを与えてくれました。彼女のプロ意識は事前に私に演奏者の音を彼女のシステムに同期したいリクエストがあった事でわかる明快な挑戦の表れです。つまり、音に同時連動させてデジタルのペイントを試みたのです。残念ながらリハの段階でケーブルの連結はできたものの、音圧レベルの調整が難しく上手くはいかなかったが、可能な事を今回、松井さんは全てやってくれたと思います。そしてMICTORA、大歳芽里の2人が偶然にも白地の服装であった事で2人の体が計らずも動くキャンバスになった事が華麗な演出効果となった。その事は写真をぜひ、見て頂きたいと思います。
続いて大注目のNÖM (マツダカズヒコgt 直江実樹 radio 近坂祐吾dr /samp)が登場。名古屋方面での即興セッションで幾度となく共演してきた周知であるギタリスト、マツダカズヒコ氏率いるいわゆるアバン・ロックユニットで国内唯一無二のラジオ演奏者、直江実樹氏を擁する事でもこのユニットの大阪でのライブはレアです。私は名古屋で直江氏、及びドラマー近坂氏とも一度ずつ個別で共演した事はあり、大体、どんなサウンドかイメージしてました。が、演奏が始まってまず想定外だったのはドラムサウンドのユニークさでした。近坂氏は脇に置いたサンプラーを併用してますが、スネアを叩く音の太さやタイミングが微妙に違います。ゲイトリバーブかと勘違いするような音がドラムをヒットするタイミングで何故か聴こえます。恐らくサンプラーのリズムにかぶせたり、サンプラーを抜いたり、微妙に遅らせて叩いたりしてアフタービートを作ったりしてると感じた次第。バンドサウンド全体はこれ、ニューヨーク・ダウンタウン・シーンのど真ん中にいるようなスタイルで完全に好みの世界でした。直江氏はラジオのツマミを回しながらノイズを生み出し、電波周波数を時折、ジャストに合わせ、キャッチしたプログラムを発するスタイルと思ってましたが、このユニットではむしろ、常に回転させて様々なノイズを発するスタイルになっていると感じ、共演した時と異なる印象で新鮮でした。マツダ氏は気持ち良さそうにギターを思い切り弾いてます。氏の特徴である"沈黙から不意に爆音"というスタイルもスティックを弦に挿し込む遊戯性も、その全てが快楽主義に裏打ちされた真摯な遊びとも感じ、私はかぶりつきで見ながら"もっとやってくれ"と思ってました。そしてこのセットでも松井智恵美のデジタルライブペイントは冴えました。MICTORA、大歳芽里のセットの時と違うモノクローム中心のカラーリングで対照化して観せてくれたと感じました。
最後のセットは初めての共演となるギタリストMARRON氏を中心とするMARRON(gt) + Nobuhiro Okahashi(synth) + 宮本 隆(ba) + Ryu_Matsumoto (dr)のセッションです。私の目論見は私が密かに"日本のスティーブ・ビレッジ"と呼ぶMARRON氏のギターサウンドと
Okahashi氏のシンセサイザー・サウンドのマッチする確信を元に私とRyu_Matsumoto氏のリズム隊がシンプルなグルーブを作る試みです。その想定は当たったと思います。MARRON氏のスペーシーなギターサウンドは寧ろ、彼の一面にしか過ぎない事も了解しなから、期待通りの空間を拡大させるようなディレイ・サウンドも繰り出され、4人の音はエンドレスな響きを連ねたと思います。途中、私のベースアンプが鳴らなくなるハプニングに焦りましたが、修復の最中も3人で場面転換する演奏をしてくれ助かりました。Okahashi氏との演奏もかなり、久しぶりで彼は新たにキーボードをセットし、オルガンの音色によるアナログ音と電子音の融合をトライし始めたと判り、これも新鮮でした。MARRON氏のヒューマンな香り漂うエレクトロなギターサウンド、ホントに良い音です。気持ちよく相手も乗せながら全体を構築させるその術を感じ、その音楽性に人間性までを垣間見れる瞬間が、昨晩の収穫かなと感じたセッションになりました。
2.11(sun)
SONIC CONFERENCE4
●MARRON(gt) + Nobuhiro Okahashi(synth) + 宮本 隆(ba) + Ryu_Matsumoto (dr)
●Naotaka Nishio (NO DOPE)
●NÖM (マツダカズヒコgt 直江実樹 radio 近坂祐吾dr /samp)
●MICTORA with 大歳芽里
●DJ: Junya Hirano
●VJ : Kenji Tsuda
●degital live painting : 松井智恵美
@ environment 0g [ zero-gauge ]

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