満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

sonic confence3終了。@space  eauuu 神戸

2023-12-13 | 新規投稿

sonic confence3終了。@space  eauuu 神戸
出番トップのJuri Suzue+私は2回目のDUO。演奏始める時、チラホラだったお客さん、演奏終わって顔上げると一杯になってる事に気付く。私が普段、いかに下向いて演奏してるかが判明。シューゲイザーじゃないんだからね。このハコはベースアンプがないので、PAの音で逆にクリアな音質です。Juriさんの音もよく把握できるし、その安心感の元で演奏。出音が良いという個人的な課題かクリアされた事で安心してしまったか、ボリューム的にはやや、小さ目だった事は否めませんが、演奏自体はまあまあ、良かったと思いました。終わってからガンちゃん(professional audience岩石さん)がいたので「どうだった?」と訊くと「次の風景が見えへん」と一刀両断されるも、その"次の風景が見えない"というフレーズが気に入り、"これ、何かで使わせてもらお"と批判された悔しさがどっかへいってしまった。確かにもっと切り込んでいって良かったかなとも思い、やっばり男が引っ張っていかないとねいう旧習感覚に満ちた想いを自覚したのも事実。

10年振り位に観るTim Olive。テーブルに木片や音叉、金属の板、諸々、手工業の道具が並びます。ドローンサウンドを様々なアイテムにより、変形させますが、その流れは端正で美しいです。電子機器を使用しない電子音楽の稀なサンプルをこのアーティストに見ますが、やはり音色、音質の良さは極みですね。音叉を膝にポーンと打ち付けて反響させてから金属板に押し当てて演奏する場面も見た目含めた場面転換で面白かったです。ドローンの一定時間の中にある"次の風景が見えた"瞬間だったと。

近年のHacoさんはエレクトロニクスと歌曲の融合という一つの型を確立した感があります。一聴すると英-欧的なファンタジックモードと思われますが、そこに独自の私的な詩的感性があり、音階的にも西欧音楽と異なるフレージングを基底に感じます。それはAfter Dinnar時代の和風カンタベリーとでも言うべき起伏豊かで(素っ頓狂で)エキセントリックな
歌メロを奏でていたエレクトロニクス以前の楽器構成に依るものから一貫して継続するHacoさんの根底を成す"内面からの歌声"という濃い血のようなものとイメージします。日本でもアンビエントやファンタジーサウンド、壮大なシンフォニーを創作するアーティストは沢山いるでしょう。しかしその多くはアンビエントというイメージの外形を再生産する一ジャンルの制作のようにも感じ、英欧の人に新鮮に感じられるか疑問です。対しHacoさんのアルバムが海外で支持される理由にファンタジーの異化、Hacoさんの詩的内面への強度に因るものと感じます。つまり西欧側から感じられる違和感なのだろうと。その違和感こそが個性と解釈され、西欧人を惹きつける要素に違いないと思うのです。今回のライブで用意した映像も花々や舞い散る木の葉といったある意味、女性らしい美しさを前面に出してはいました。しかし、Hacoさんがウィスパーヴォイスで神秘的に歌うナンバーで森の中で左右に現れ、消える女児の映像を映し出した時の違和感と恐怖感は果たしてHacoさん、無意識の成せる業なのか。これも正しく
"次の風景が見えた"瞬間"でした。
ガンちゃん、ありがとね。

コメント
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