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満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

4.6(sat) live and talk program ‘満月に聴く音楽’ ‘surrealism’ シュルレアリスム 2

2019-03-24 | 新規投稿
シュルレアリスムの名を冠したイベントにも関わらずメインが映像と音楽であるのも、いわば逆説的と言えるかもしれません。なぜならアンドレ・ブルトンは音楽に価値を認めなかった。それはブルトンの幾分、権威主義的な側面を物語る要素でもあったのではないかと感じます。シュルレアリスムに先行するパリ・ダダの時代、ブルトンは‘literature文学’という名の機関紙を創刊しますが、そこには‘反-文学’というアンチテーゼを含む意味があり、文学を含む言論が体制補完的な本質に陥っている事に対する反抗の意思に拠ったのですが、そのくせ、ブルトンは表現のヒエラルキーに対する保守的なこだわりも同時に持ち合わせていたのではないかと私は感じています。それは具体的に言うと西洋芸術一般に於ける‘詩’の優位性に対して疑念をはさむ余地がない事を一つの了解事項として、ブルトンは受け持っていた。詩から造形。このラインはブルトンの明確な趣向の特徴だったでしょう。音楽に対する無理解は恐らくはそこに多分なブルジョア臭も同時に嗅ぎ取っていた事は想像に難くないですが、若しくはその快楽的要素に対する嫌悪感もあったかもしれません。


シュルレアリスムに遡るダダは多分に音楽的な要素が充満しています。もっともそれはパリではなく、ベルリン、ハノーバー、ケルンというドイツの都市部で発生したダダ・ムーブメントに限定するかもしれませんが。クルト・シュビッターズの‘メルツバウ’、音声詩等は言うに及ばず、赤ちゃんのガラガラを鳴らしながら詩の朗読をしたトリスタン・ツアラや、その展示はイタリアの騒音主義noisizmや未来派に影響を受けたパフォーマンスで常に喧噪と一体化したものだった事が伝えられています。

シュルレアリスムで、かろうじて映像に関する表現をその歴史に留めているのも、スペインからパリにやってきた異邦人、ルイス・ブニュエルによるものだけではないでしょうか。しかもシュルレアリスム作品と言われる「アンダルシアの犬」、「黄金時代」はブニュエルの生涯から見たほんの一時期の作品であり、彼をシュルレアリスムの作家と位置付けるのは無理があると思います。同じく写真というジャンルのシュルレアリスムに於ける功労者でもあるマン・レイもアメリカからパリにやってきた異邦人で、たまたまシュルレアリスム・ムーブメントの渦中に偶然の出会いから仲間意識を持って迎えられてますが、盟友、マルセル・デュシャンとの友情や実験精神の発露としての写真表現に自ら積極的にシュルレアリスムを意識し、そのコンセプトに従うメンバーシップがあったとは思えません。勿論、レイヨグラフなどの手法そのもののシュルレアリスム的技術のグループへの影響力は大きかったですが。


今回のイベントで◦Kazuto Yokokura(laptop)×長野雅貴(typewriter, other devices)◦菊石 朋(poet reading)×宮本 隆(bass,sampler)の2組の音楽、朗読。
◦松本和史Mastumoto Kazuhito(Experimental movie)の映像という3組の出演を企画しました。長野氏のパフォーマンスは私にDADAを思い浮かべさせるに十分な要素を持ってますし、私に関してはおそらくドローンミニマルなものを封印し、カットアップ、コラージュ的要素を折り込み、シュルレアリスム的な場面転換を意識したいと思っています。さて。


4.6(sat) live and talk program ‘満月に聴く音楽’ ‘surrealism’ シュルレアリスム
Starlling
◦松本和史Mastumoto Kazuhito(Experimental movie)
◦Kazuto Yokokura(laptop)×長野雅貴Nagano Masataka(typewriter, other devices)
◦菊石 朋Kikuishi Tomo (poet reading)×宮本 隆(bass,sampler)
Talk about ‘surrealism’ 松本和史(詩人)聞き手:宮本 隆

@environment 0g [ zero-gauge ]
18:30 open 19:00 start
Charge2000 (excluding drink order)

evironment 0g [ zero-gauge ]
大阪市西区南堀江3-6-1 西大阪ビルB1F
https://nuthings.wordpress.com/


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