海洋生物学者。

2005-05-26 14:09:34 | Weblog
 JR福知山線で脱線事故が起きてから一ヶ月が経つと、昨日のニュースで言っていた。

 事故が起きた日、珍しく母親からメールが来て、そこには「まさかとは思うけれど電車に乗っていたんじゃないかと気になるから連絡しなさい」と書いてあった。
 もちろん、僕はすぐに「無事です」と返事をした。

 次に来たメールはオーストラリアから届いたものだった。
 ずっと昔にナイトクラブで知り合ったオーストラリア人の女の子からのメールで、「ちゃんと生きてるか心配だから連絡して」と書いてあった。
 僕はすぐに「無事だし、まったく心配ない」と返事を書いた。

 彼女は、オーストラリア人の怠惰さと、服装に関するセンスの悪さに辟易しているオーストラリア人で、メールには「京都に帰りたい、まるで家のように思う」と書いてあった。
 それに関して、僕は「気持ちは分からないでもないけれど、でも僕としてはゴールドコーストに住むほうがずっと素敵なことのように思える」と返事をした。それに、君は京都に戻りたいと言うわりにはほとんど一言も日本語が話せないし、戻ってくるなら日本語の勉強も少しはしたほうがいいんじゃないか、ということを書きたかったけれど、今のボーイフレンドと仕事に嫌気が差していて不愉快な生活だということが書いてあったので何も言わないことにした。

 年齢を重ねるにつれて、ニュースに関する感受性がどんどんと上がっているように感じる。
 誰かが死んで失われたり、誰かが傷つけられて泣くということがどんなに悲しいことなのか、そういうことがとてもリアルに感じられるようになり、ニュースの記事を読むだけで吐き気すら感じることがある。
 だから、本当はニュースなんて何も見たくはない。
 でも、日本で事故が起こればオーストラリアにいてもニュースになる。

リフレクション。

2005-05-26 12:26:42 | Weblog
 ポケットからイヤホンを引っ張り出すと、クリップがくっついていた。そのクリップを一体いつポケットに入れたのか記憶にはないのだけれど、でもクリップは確かにイヤホンにくっついていて、それも文字通りぴったりとくっついていた。

 どうしてイヤホンにクリップがくっついていたのかというと、それはイヤホンの中には磁石が入っているからで、イヤホンに限らず、一般にスピーカーの中には磁石が入っている。
 スピーカーに磁石が入っていることは良く知っていたけれど、イヤホンにこんなに強力な磁石が入っているとは思いもよらなかった(比較的強いという意味合いです)。

 僕はここのところ毎日イヤホンを使用しているけれど、イヤホンを耳に入れるという行為は、磁石を耳に突っ込むという行為でもあるわけです。
 そう考えると、耳のように至ってデリケートな器官に磁気をかけるという行為に一抹の不安を感じてしまう。

 耳は、音をフーリエ解析し、体のバランスと運動量をも測定している。
 その機構には磁気からの影響を受けそうなものがなかったとは思うけれど、でも何が災いするのか分からないようにこの世界というものはできている。人間には見えないものがたくさんある。

 たとえばモンシロチョウのオスとメスについて。
 たとえばコウモリの鳴き声について。

 僕たちは紫外線が見えないし、超音波も聞こえない。
 それどころか、たぶん本当は何も見えないし何も聞こえてなんかいやしないのだ。