思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『82年生まれ、キム・ジヨン』ディストピアはどこだ?

2022-05-02 11:15:03 | 日記
『82年生まれ、キム・ジヨン』
チョ・ナムジュ
斎藤真理子:訳

これ、韓国のベストセラー本なのですが、
フェミニズム文学(?)として有名らしいですね。

へえ〜話題なんだ〜、くらいの軽い気持ちで読みましたが、
『誓願』の次に読む本じゃないな。
結局、現代もディストピアじゃねえか!!!ってなるね笑

キム・ジヨンという「女性」の人生を描くことで
女性の視点から韓国という国を捉える小説。

産後鬱(?)を疑われるキム・ジヨン氏のカルテという体裁
(という構造もあとから分かるのだけど)です。
ジヨン氏の両親や彼女自身の生い立ちをなぞりながら、
80年代から2000年代にかけての韓国文化も描かれます。

この、80年代〜00年代のデータやカルチャーが
ふんだんに盛り込まれているのが、とにかくおもしろいです。

キム・ジヨンという名前も82年生まれで最も多い女性名。
80年代から90年初頭の男子出生率の異様な高さ
(親族から男子を望まれ、女子は堕胎されがち。
強制ではなく母親の選択ではあるけれど、やっぱり圧力である。
というイビツな空気が明らかに統計数字に出ている)。
学歴や就職の見えない壁(日本で言うガラスの天井ってやつだ)と
給料や待遇の男女格差。
「味噌女(バブル期のメッシーみたいなもんか?)」
「ママ虫(夫の財布に寄生するみたいなニュアンス?)」
のような流行語というか、スラング。

ここらへんのファクト大盛りなところは、
『なんとなく、クリスタル』を思い出しますよね。
そうでもないか?
とはいえ80年代〜00年代の韓国カルチャー史として読めなくもない。

そして私はジヨン氏とほぼ同年代、81年生まれなのである。
国は違えど、まだまだ男女格差があったり、
(そういえば兄の進学は決定事項だったのに対して
私は進学しなくて良いよって言われたな。院まで行ったけど)
母の女性としての苦労を近くで感じていた身として
(母は田舎の農家の4人兄弟末っ子で、当然のように中卒である)、
他人事じゃねえ!って感じが凄かった。

というか『誓願』でギレアデの洗礼を浴びまくった直後に、
よく考えたら現代の女性もだいぶディストピアじゃない?!!
ギレアデってここか?今か?!
ってなって、気持ちが忙しいですね。

次は、なんか、酒飲んで旨いもの食べる本でも読もう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『誓願』ディストピアを笑え... | トップ | 『箸もてば』五臓六腑に良さ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事