思惟石

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中島京子の『長いお別れ』ゆっくりお別れをする

2020-12-11 12:42:02 | 日記
中島京子の『長いお別れ』を読みました。
認知症を発症した父と家族との
10年に渡る「ながいお別れ」です。

最初は、「長いお別れ」と言えばチャンドラー でしょ!
と思っていたのですが、
マーロウの「長い間ご無沙汰」する感じと、
こちらの「長い時間をかけてお別れ」する感じは
だいぶ異なりますよね。
似て非なるもの、絶対的に。

難しいテーマに切り込んだなあと思いましたが、
各篇が軽妙なタッチで描かれていて、
さすがの中島京子です。

70代の母も、気もちがパワフルで読んでいて励まされる。
もちろん現実の日々は、辛く厳しいものだと思うけれど、
疲弊のリアルを描いて読者を疲弊させることが
小説の仕事ではないと、私は思う。

ふむふむ、ほうほう、と
軽快な文章と飄々とした人間臭さとで
素直に読み進められました。

とはいえ30代40代である三姉妹たちの家庭や仕事と、
実父の介護との距離感。
他人事だと思って読めない点も多々ありまして。
ドキッとしてグサっときたり。

ちょっと週末、ご機嫌伺に行こうかと思います。はい。
コメント
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