思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

中島京子『FUTON』デビュー作ですね

2019-12-25 14:47:25 | 日記
中島京子のデビュー作。
新人にしては文章がめちゃくちゃうまいな!という感想です。

タイトルや裏表紙の概要からもわかりますが、
田山花袋の『蒲団』がベースにあるお話。

と言いつつ、私はぜんぜん気づかなかった。
裏表紙の「花袋研究家デイブ…」という記述も
「はなぶくろけんきゅうか?
 なんか、縮緬とか紬とか、伝統工芸系の何かかな?」
とかふんわり考えてスルー。
タイトル「ふとん」と読みつつ、まったくもって「かたい」と読まない私。
頑固なくらい融通効かない脳みそで、
なんでですかね、ちょっと誇らしいくらいです。

で、内容ですが、おもしろいです。

物語の中心人物デイブと20歳以上年下のエミ、
タツゾウおじいちゃんの40歳前後の頃とツタ子、
『蒲団』の竹中時雄と芳子。
いろんな「中年の恋」が重なっていておもしろい。

教科書でも見かける『蒲団』は、私もデイブの元妻と同じく
きもいおっさんが蒲団の匂いを嗅ぐ話、
としか認識しておらず(あながち間違ってもいないようだけど)、
未読なんだけど、デイブが「キュートじゃないか」と言って
友人を呆れさせるシーンが特におもしろかったです。
読んでみようかな!って思えました。

ですが、一方で、うーん、やっぱりデビュー作という感じもある。
ちょっと気負ってるというか、探ってるというか。
小説内小説『蒲団の打ち直し』が、ちょっと内容の割に
量が多くて徐に配されていて、気が散るというか。

いや、でも、私が敬愛する現在の中島京子さんの
デビュー作と考えると、
「さすがです!」と言いたい。

ほんと、中島京子さんの良さがピンと来なかった
10年前の私をぶん殴りたい。
でもまあ、生きてるうちに気付けてよかった。
まだ読めるからね!
コメント
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