思惟石

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円城塔『道化師の蝶』おもしろかった。よくわかってないけど。

2019-10-17 12:45:29 | 日記
『道化師の蝶』と『松ノ枝の記』の2篇が収録されています。
表題作で、第146回芥川賞受賞。

どちらも、ちょっと難解なトーンではあるものの、
結構おもしろく読めます。

『道化師の蝶』は、多数の言語で物語を紡ぐ友幸友幸という
謎の作家(女性か?)と、
思索の蝶をつかまえる実業家と、
友幸を追うエージェントの語り?翻訳?
が錯綜する話し。
と言われてもよくわからないと思います。
読んでるこっちもよくわかってないのです。
でも、読書として楽しめます。
ふしぎ。
この話者は誰だっけ?性別はどっちだ?という混乱も多々あって、
良い感じに混乱しながら読めます。

『松ノ枝の記』は、小説家であり翻訳家である「私」と、
互いの書を翻訳しあう「松ノ枝(仮称)」との、
やっぱり錯綜した話し。
ちなみに相互翻訳のきっかけになったのは、
海外でたまたま見つけて面白かった松ノ枝の本。
その内容はタイムマシーンが出てきて自分自身を撃ってしまう的な。
って、なんかデジャヴ!
というのも当然で、ここだけ実話だそうです。
円城塔が訳したチャールズ・ユウ『SF的な世界で安全に暮らすっていうこと』
を発見した際のエピソードである。

円城塔氏、『SF的な~』に関するインタビューでも
マイペースに語ってますが、
なんか、難しいことを全部理解しなきゃいけないとか、
全然ないみたいなスタンスみたいで。
個人的には、この小説もそんな感じで難しく読み解かずに
楽しく読み流せばいいのかなあという感想です。


『SF的な~』を読んだ際にも

「わからんけど、まあ、わからんなりに楽しめた!」
という同様の感想を抱きましたが、
円城氏、自分とチャールズ・ユウを「どっか行っちゃう系」
ということで同方向だと認めてます。
ふむふむ、方向的に似てると思いますよ。

そんな塔&ユウがお好きだと言うパワーズとやらは
さらにエモくてボンクラらしい。
絶対に理解できないと思うから読まないけど。

『道化師の蝶』もおもしろかったけど、
『SF的な~』のインタビューがめちゃくちゃおもしろい。
よくわかってないけど。
コメント
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