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Sightsong

自縄自縛日記

スティーヴ・リーマン『The People I Love』

2019-09-26 23:26:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

スティーヴ・リーマン『The People I Love』(Pi Recordings、2018-19年)を聴く。

Steve Lehman (as)
Craig Taborn (p)
Matt Bewer (b)
Damion Reid (ds)

ずいぶんとシンプルな編成に戻ったものだが、それだけに4人の技巧の凄さが迫ってくる。

ビートの気持ちよさとは同じ間隔での繰り返しと、それゆえの発展のスリルなのかもしれない。しかしここでは全員が常時可変速。コードからの逸脱も計算されているようで、そのために蛮行の逸脱などよりも遥かに遠くへと跳躍し、また戻ってくる。

数学的なアクロバティック演奏だが、それは汗をかきながら人力で行われている。これが凄まじく面白いところである。肉体を最大限に駆使しながら肉体起因でないかのように振る舞い、それが却って人間らしさを取り戻すことにつながっている。前作でのラップとの親和性は必然的なものに思えてくる。

●スティーヴ・リーマン
ジョナサン・フィンレイソン『3 Times Round』(2018年)
ヴィジェイ・アイヤー『Far From Over』(2017年)
スティーヴ・リーマン『Sélébéyone』(2016年)
スティーヴ・リーマン@Shapeshifter Lab(2015年)
スティーヴ・リーマンのクインテットとオクテット(2007、2008、2014年)
スティーヴ・リーマンのデュオとトリオ(2010、2011年)
フィールドワーク『Door』(2007年)
スティーヴ・リーマン『Interface』(2003年)

●クレイグ・テイボーン
デイヴ・ホランド『Uncharted Territories』(-2018年)
イクエ・モリ+クレイグ・テイボーン@The Drawing Center(2017年)
クレイグ・テイボーン@The Stone(2017年)
クレイグ・テイボーン+イクエ・モリ『Highsmith』(2017年)
マッツ・グスタフソン+クレイグ・テイボーン『Ljubljana』(2016年)
クレイグ・テイボーン『Daylight Ghosts』(2016年)
クリス・デイヴィス『Duopoly』(2015年)
チェス・スミス『The Bell』(2015年)
クレイグ・テイボーン『Chants』(2013年)
クリス・ライトキャップ『Epicenter』(2013年)
クリス・ポッター『Imaginary Cities』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
デイヴ・ホランド『Prism』(2012年)
Farmers by Nature『Love and Ghosts』(2011年)
オッキュン・リーのTzadik盤2枚(2005、11年)
ロブ・ブラウン『Crown Trunk Root Funk』(2007年)
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas II』(2004年)
ティム・バーン『Electric and Acoustic Hard Cell Live』(2004年)
ティム・バーン『The Sublime and. Science Fiction Live』(2003年)
ロッテ・アンカー+クレイグ・テイボーン+ジェラルド・クリーヴァー『Triptych』(2003年)


トム・ブランカート+ルイーズ・ジェンセン+ケヴィン・マキュー+北陽一郎+与之乃+棚谷ミカ@不動前Permian

2019-09-26 22:12:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

不動前のPermian(2019/9/25)。

Tom Blancarte (b)
Louise D. E. Jensen (as, vo)
Kevin McHugh (accordion)
Yoichiro Kita 北陽一郎 (tp)
Yoshino 与之乃 (琵琶)
Mika Tanya 棚谷ミカ (ds)

トム・ブランカートはテキサス出身、ルイーズ・ジェンセンはデンマーク出身。いまはパートナーでデンマークの郊外に住み、あちこちに出かけては演奏をしている。日本にもそのようなノリのようで、ルイーズは初来日、トムは大卒すぐに来て以来17年ぶり(演奏ははじめて)。ルイーズさんは日本で尺八を学ぶ目的もあるのだという。ふたりの小さい娘を連れていて、演奏も彼女たちの様子を見ながらである。面白い。

今回の日本ツアー最初のギグになるわけだが、それにしては異色すぎる顔合わせである。渋さの北さん、はじめから異色な存在としてインプロシーンに登場した与之乃さん、ピアノじゃないのとからかわれているケヴィン・マキュー、そしてはじめて観る棚谷さん。

1. Louise
2. Louise + 棚谷 + Kevin
3. Tom
4. 北 + 与之乃 + Tom
5. Louise + 北
6. Louise + 与之乃
7. Tom + Kevin
8. 棚谷 + Tom 

ルイーズさんのアルトは管の内壁なのか体内なのかに擦れるようであり、その接触的な音が、ノイズとともに外界と融合させているようだ。ヴォイスでも同様であり、またマウスピースを外したり、ネックを外してマウスピースと直結させたりもして、音領域の壁が崩落させられている。ライヴでこそ気がつき驚かされるものかもしれない。

これが共演者の音とやはり「擦れる」。棚谷さんのメタリックな音との重なりは擦れをさらに擦らせている。与之乃さんは琵琶のあちこちを鳴らし、強さも想定以上に変え、弦とサックスとの重なりをかなり多彩なものにしている。北さんのトランペットとサックスとは二重螺旋のように錐揉み、さまざまな角度での擦れが聴こえる。鳴らしの領域を広く取っていることで共演者との「擦れ」がそれぞれ異なってくるわけである。

トムさんのベースはとてもカラフルであり、やはり共演者を受容する懐がとても広い。なるほど、このふたりであれば共演者の音のキャラに応じてサウンドをあちこちに発展させられる。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4、7Artisans 12mmF2.8

●トム・ブランカート
ブランカート+エヴァンス+ジェンセン+ペック『The Gauntlet of Mehen』(2015年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)

●ルイーズ・ジェンセン
ブランカート+エヴァンス+ジェンセン+ペック『The Gauntlet of Mehen』(2015年)

●北陽一郎
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)

●与之乃
邂逅、AMU、藤吉@吉祥寺MANDA-LA2(2019年)
与之乃&田村夏樹『邂逅』(2018年)
与之乃+田村夏樹@渋谷メアリージェーン(2018年)