Sightsong

自縄自縛日記

イクエ・モリ+クレイグ・テイボーン@The Drawing Center

2017-09-16 19:07:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

NYにいる機会にもう一度クレイグ・テイボーンをと思い、イクエ・モリとのデュオを観るために、The Drawing Centerに足を運んだ(2017/9/15)。これもThe Stone移転前の企画のひとつであるらしい。

Ikue Mori (film, electronics)
Craig Taborn (key, electronics)

会場の照明が落とされ、イクエ・モリによるフィルム『Pomegranate Seeds』(ざくろの種)が上映される。

ゼウスの娘ペルセポネーは、冥府の王ハーデース(ここではプルートー)にさらわれる。その後地上に戻る際にざくろを食べてしまい、神々の取り決めに従い、ペルセポネーは冥府で1年の1/3を暮らすことになる。フィルムは、そのギリシャ神話を題材にしたおとぎ話のようなものだった。

そのフィルムに、イクエ・モリとクレイグ・テイボーンとが音楽を付けてゆく。イクエさんのエレクトロニクスはいつもチャーミングで、聴いていると自分の周りに天体の光が瞬くような印象を抱く。そしてフィルムは一見グロテスクでもあるのだが、どちらかといえば可愛い。小さな世界を覗き見る感覚である。

一方のテイボーンは、このふたりによるデュオ盤『Highsmith』のように硬質のピアノで対峙するのかと予想したのだが、そうではなかった。一緒になってフィルムのコンポジションを行い、その上で発するエレクトロニクスはときにイクエさんの音とどちらがどちらかわからなくなる。キーボードの音も、全体のサウンドの中にまろやかに融け合うものだった。

ちょっと何をやっているのか底知れないテイボーン。この人はこんな感じという捉え方が難しいのかな。

Nikon P7800

●イクエ・モリ
クレイグ・テイボーン+イクエ・モリ『Highsmith』(2017年)
エヴァン・パーカー、イクエ・モリ、シルヴィー・クルボアジェ、マーク・フェルドマン@Roulette(2015年)
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
シルヴィー・クルボアジェ+マーク・フェルドマン+エヴァン・パーカー+イクエ・モリ『Miller's Tale』、エヴァン・パーカー+シルヴィー・クルボアジェ『Either Or End』(2015年)
エヴァン・パーカー ElectroAcoustic Septet『Seven』(2014年)
イクエ・モリ『In Light of Shadows』(2014年)

●クレイグ・テイボーン
クレイグ・テイボーン@The Stone(2017年)
クレイグ・テイボーン+イクエ・モリ『Highsmith』(2017年)
クレイグ・テイボーン『Daylight Ghosts』(2016年)
チェス・スミス『The Bell』(2015年)
クレイグ・テイボーン『Chants』(2013年)
クリス・ライトキャップ『Epicenter』(2013年)
クリス・ポッター『Imaginary Cities』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
デイヴ・ホランド『Prism』(2012年)
Farmers by Nature『Love and Ghosts』(2011年)
オッキュン・リーのTzadik盤2枚(2005、11年)
ロブ・ブラウン『Crown Trunk Root Funk』(2007年)
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas II』(2004年)
ティム・バーン『Electric and Acoustic Hard Cell Live』(2004年)
ティム・バーン『The Sublime and. Science Fiction Live』(2003年)
ロッテ・アンカー+クレイグ・テイボーン+ジェラルド・クリーヴァー『Triptych』(2003年)


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