Sightsong

自縄自縛日記

ボビー・ブラッドフォード@サンランドSun Space

2019-09-13 17:36:23 | アヴァンギャルド・ジャズ

ロサンゼルス郊外のサンランドにあるSun Space(2019/9/12)。

Bobby Bradford (cor)
Bill Roper (tuba, vo, etc.)
Brad Dutz (perc)

開演の1時間前に着いたら一番乗り。いつも地元の人たちばかりなのだろう、店主が訝しんでどこで知って来たのか、と。いや「LAjazz」で見つけたと言うと、へえこんなサイトがと驚いていた。

多くのパーカッションを入念に準備しているブラッド・ドゥッツは饒舌で一方的に話してくる。程なくしてビル・ローパーが現れ、身体をひと巻きする奇妙な楽器を組み立てた。続いてレジェンドのボビー・ブラッドフォード。そうこうしているうちに客がどんどん集まり、最終的には30人程度になり、小さいハコが一杯になった。みんな顔見知りのようでハグしたりお喋りしたり。外様のわたしにも話しかけてきて愉しい。

演奏は想定外にユーモラスだった。ローパーがMCのようにあれこれ言葉を放ってはチューバや奇妙な楽器を吹く。家は悲惨でみんな外に出てサーカスのようだとか、トランプ?ランプ肉?なんて味だ!とか、そのたびにみんな爆笑。ブラッド・トゥッツのパーカッションは、いきなり周りを否応なく巻き込んで走り始めたり、スティールドラムで彩りを付けたり。

そしてブラッドフォードのコルネットは味わい深く、音のひとつひとつが向こう側に背景を持っている。モンク曲やスタンダードの断片をみせたり、ときにデイヴィッド・マレイの曲を思わせるときがあったり。演奏の終わりころには、ジャッキー・ロビンソンやマルコムXやマダムC.J. ウォーカーなんかの名前を出して思い出話をした(横でローパーが「18世紀!」と叫んでまた爆笑)。最後まで嬉しかった。

終わってからブラッドフォード氏と話した。70年代に出したジョン・カーターとの共演盤がスイングジャーナル誌に取り上げられて、まだその記事を持っている、グラフィックが多くて良い雑誌だったと言った。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●ボビー・ブラッドフォード
デイヴィッド・マレイ『Be My Monster Love』、『Rendezvous Suite』(2009、12年)


アレックス・スナイドマン@ロサンゼルスbluewhale

2019-09-13 00:50:32 | アヴァンギャルド・ジャズ

ロサンゼルス・ダウンタウンのbluewhale(2019/9/11)。

Alex Snydman (ds)
Josh Nelson (p)
Miro Sprague (p)
Will Kjeer (p)
Michael Orenstein (p)
Jonathan Richards (b)
Henry Beal (b)
Osmar Okuma (b)

ロスのドラマー、アレックス・スナイドマンの40歳の誕生日を記念して、ピアノ4人、ベース3人が入れ替わってピアノトリオの演奏をするという趣向。アレックスはエルヴィン・ジョーンズと同じ誕生日(9/9)だそうである。

ファーストセットとセカンドセットの冒頭1曲ずつ、若いマイケル・オレンシュタインとオスマー・オークマとのトリオ。これに続く、ジョシュ・ネルソンとジョナサン・リチャーズとのトリオには驚かされた。重いパンチのようなジョナサンのベースも良いのだけれど、特にジョシュのピアノである。左右のタッチがごくわずか微妙にずらされていて、そのために和音が複雑で彩りを持ったものになっている。ずれの和音はまるでふたりの声による気持ちのいいユニゾンだ。ちょっとクリス・ヴィーゼンダンガーのピアノを思い出した。またずれたまま片方の手がこぼれるように走る。エルモ・ホープの「De-Dah」も新鮮だったし、ストレイホーン/エリントンの「Lotus Blossom」など水滴が板の上で爆ぜるようで、ため息が出てしまうほどの出来だった。

次にヘンリー・ビールとウィル・ジャーとのトリオでは「I've Never Been in Love Before」などを演った。優雅に揺れるピアノとウォーキングベースが目立った。

セカンドセットはミロ・スプレーグとジョナサン・リチャーズとのトリオにより、マッコイ・タイナーの「Blues on the Corner」から始まった。単音で意外な音を出すちょっと奇妙なピアノで、ノリを得てスピードに乗った。そして再びマイケルとオスマー、ウィルとヘンリー。素晴らしいジョシュ・ネルソンをもういちど観たかった。


アレックス・スナイドマン、ジョシュ・ネルソン、ジョナサン・リチャーズ


マイケル・オレンシュタイン


ヘンリー・ビール、ウィル・ジャー


ミロ・スプレーグ

Fuji X-E2、XF60mmF2.4