鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

2013.6月取材旅行「大麻生~三ヶ尻」 その7

2013-07-15 05:11:49 | Weblog
『訪瓺録』(ほうちょうろく)は藩祖三宅康貞公の事績を記録した藩主康直公への上表文であるので、最初に漢文の上表文があり、ついで凡例・采用書目・移封年月考・図絵という順で続きます。解説によれば、上巻の内容は、名義、彊域、形勢、賦役附沿革、風俗、物産であり、そのうち名義については、瓺尻・甕尻・瓶尻・三箇尻などを列挙し、『日本書紀』『延喜式』をはじめ多くの書物にあたって検証しているという。彊域・形勢・賦役附沿革などでは、家康の関東移封に従った時の三宅屋敷について詳細に記述し、風俗・物産については地誌によったものであるらしい。下巻は、幸安寺・竜泉寺・八幡社・天王・三宅屋敷・黒沢屋敷・火雨塚・旧家(笠原清七)について詳細に記してある、という。そして解説の最後は、「文献のみによる考証ではなく、現地の住民から聞き取り調査していることは、すぐれた地誌編集の方法といえよう」と結ばれています。徹底的な現地調査(聞き取りも含む)に基づく詳細な記録に拠るばかりか、各種多様の書物等を参照しており、藩主からの命令ということもあって、崋山が相当の力を込めてまとめあげたものであることがわかります。 . . . 本文を読む