山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

原核生物、イシクラゲ

2011-05-19 17:41:36 | Weblog

梅雨の時期が近付いてきましたが、雨の降る日が続くと地面に現れる ワカメのような形をした
不思議な生命体を目にします。

舗装をしていない野外駐車場などで、これを踏んで滑った経験のある人も多いと思いますが、
乾燥した日が続くと、上段の画像のように乾燥ワカメのような状態になり、手で揉んでみると
粉々に割れます。

しかしこの状態で死滅したわけではなく、この生物は乾燥が続くと一切の代謝を止めることによって
生命を維持する特殊能力で、長い期間の乾燥に耐えることができるのです。

この耐乾燥能力は相当なもので、100年近く乾燥状態で保存されていた標本を培養液に
浸すと、再び増殖を始めたという例もあるそうです。

生物学的には、細胞内に核を持たない原核生物の藍藻類に属しますが、「藍藻」といっても
植物であるワカメのような藻の一種ではなく、菌のコロニーのようなものです。

ところで、この藍藻類は生物史上非常に重要な役割を果たしていて、今日、私達があるのも
実は、この藍藻類のお陰なのです。

話はおよそ3000億年前という気の遠くなるような昔のことですが、その頃の地球は高温の
炭酸ガスに覆われていて、その時分に現れたのがこの藍藻類の祖先です。

彼らはこの地球で炭酸ガスを消費して光合成を行い、酸素を排泄する最初の生物で、彼らによって
炭酸ガスは減り、しだいに酸素が増えて現在の地球環境が整ったとされています。

乾燥にも強く、庭などで繁殖すると少し厄介な生き物ですが、私達が今日生きていられるのも
彼らのお陰かと思うとちょっと尊敬してしまいます。

イシクラゲ <ネンジュモ科 ネンジュモ属> 藍色細菌

  ↓ 画像はクリックで大きくなります
イシクラゲ(乾燥状態)

 

 地面から採取した乾燥状態の
 イシクラゲです
 まるで乾燥ワカメのようです

 

 








イシクラゲ

 

 2日間、水に浸した状態で
 膨湿をとり戻しています。
 この状態になると、急に増殖
  し始めて目立ってきます。

 

コメント
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