児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

アウトリーチを知っている人は手を挙げて!

2006年09月03日 | アウトリーチ
 昨日、新座市の文化・芸術基本方針策定「まちと文化を考える事例研修・交流会」という会でトリトン・アーツ・ネットワークのアウトリーチの話しをさせて頂いた。跡見の曽田先生からの依頼。
 その席にいた(多分)熱心な文化関係者約25名程度に、アウトリーチというものを知っていますか?と問いかけたところ、5人ほどの方が知らないと答えた。これを、多いと考えるか少ないと考えるかは難しいところだが、私はこれはとても少ないと思うのだ。アウトリーチが言葉として入ってきたのが多分20年程度前、特に音楽に関していうと、10年前にはほとんど知っている人は居なかったはずだ。
 長崎では、4年前にダサイから止めようよ、と言っていた「アウトリーチコンサート」という名称が、今や市民権を得つつあるように感じる(まあ、毎年20回程度続けていますから)。
 それほど、この6,7年で浸透した言葉というのは珍しいかもしれない。ワークショップと言う言葉が浸透するのには、もっと時間がかかったと思う。
 それにもかかわらず、アウトリーチと言う言葉の意味と用法をきちんと整理してくださっている人はまだ居ないようだ。事例が先行するあたらしい事業では、そういうことが良くあることではあるが、そろそろ、そこに手をつける人がいても良いような気がする。目的、手法、相手、マネジメントの仕方などから整理をしていくことで、今起こりつつある意味の混乱がある程度収まるやに思える。たぶん、5-8個くらいの新用語が必要になるかもしれない。アメリカでも最近はアウトリーチというカテゴリー的な言い方をすることに、やや慎重な姿勢が伺えると思うのだがどうだろうか。あの、定義好きなアメリカ人がねえ、と思ってしまうところもあるのだが・・・。
実は、アウトリーチは、事例を行う側のコンセプトや手法について自分が良しと思っていることを実現している、と言う現実があって、その上、これはよい、これは悪い、と明確に峻別は出来ないのである(特に善意がその基本に据えられていることであるので、それは意味のないこと、というのはほとんど不可能である)。
だから、実践の場で人と話をしていくときの勘違いとかを減少させるには、コミュニケーションの努力はもちろん必要だ。定義をもう少し狭く取ることで「私のやろうと思っているのはこういうことです」という話しをするときにミッションを共有しやすい、と言うことはあると思う。
 まあ、難しい話しだし、一応教える側にもなってしまった以上「それならおまえがやれよ」と言われると返す言葉がないのだが、一応私は、まだそれを現場でやっている人間でもあるしね。
 新座で話したことも、なるべく客観的にと考えているとはいえ、一つの真理しか言えていないだろうなあ。





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3 コメント

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直感的な感想ですが… (渡辺和)
2006-09-04 02:12:17
ええと、「アウトリーチ」の定義でいつも話がごたつくわけですけど、非常に直感的な言い方しか出来なくて悪いんですが、どうしてそうなっちゃうかというと、「アウトリーチする側」からの定義だからだと思うんですよ。

「アウトリーチ」に関しては、「アウトリーチされる側」から定義や概念をつくらないと意味がないのではないかと感じられるんです。



つまり、アウトリーチというのは「やる側」から定義しようとすると、恐らく定義できない。「やられる側」からの定義以外には不可能ではないか、ということ。←全然「つまり」になっとらんぞ。



このあたり、言い出してる人はいませんかね。そろそろ誰かが気付くんじゃないかと思ってるんですけどねぇ。
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よーするに… (渡辺和)
2006-09-04 02:17:15
ええ、自分のコメントを眺めて「こいつアホじゃないか」と思ってるやくぺん先生です。



つまり、ううううんと乱暴に言えば、「アウトリーチというイベント(事業?状況?)において、本質はやる側じゃなくてやられる側なのである」ということです。とっても単純なこと。

だってね、音楽家とすれば、誰に向かって弾くかは最終的には関係ないわけでしょ。
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ごもっとも (shink)
2006-09-07 23:53:56
ほぼ賛成です。実戦的な研究はともかく、こと定義とか位置づけとかになると、やっている人間や単なる趣味の聴き手(これも、音楽行為という意味ではやっている人ですね)にその辺のことをやらせても難しいであろうことは納得できます。だから、だれかやってよ!なのであります。

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