「第二外国語は、なに取ったらええんですか」。
あるとき、そんな相談してきたのは後輩ノダくんであった。
何年か前のことだが、めでたく大学に合格したノダ君が、やれうれしや、これからは遊びまくりの4年間だ。
……という前に、まずしなければならないのが、第二外国語の選択。
フランス語やドイツ語などなじみのない言語を選ぶというのは、よくわからないところも多い。
そこで、頼れる先輩である私に相談してきたというわけだが、この選択はまったく正しい。
というのも私は学生時代、文学部に学んでいた。
でもって、ドイツ文学科ドイツ文学専攻。
当然のごとく、専門的にドイツ語をビシバシ習っていたのだ。
そんな私は、いわば第二外国語そのものが専攻といっていいわけで、その道の玄人。よくぞ聞いてくれました、といったところであろう。
そこで今回から数回にわたって、春から新入生になる若者諸君、中でも外資系で働きたいとか、キャリアアップになどではなく、
「なるたけラクチンに人生をわたっていきたい」
というボンクラ学生たちに向けた、第二外国語選択術を語っていきたい。
なんせもう10年以上前の経験談で、現在の大学のシステムに合っているかはわからないが、言語の難解さなど自体は普遍なので、多少は参考になるのではないか。
ではまず、具体的にどの言語がどうという前に、大前提として知っておいてほしいことはコレ、
「外国語学習というのは、なかなかに大変な作業である」
みなさまも学校の英語の授業や、受験勉強で身にしみていると思うが、外国語を学ぶというのはしんどいことも多い。
なので、私のような
「そもそも自らの意志で、外国語を学びたい」
もしくは
「外国語が必須の学科しか受からなかった」
という人以外には、とにかく「単位の取りやすさ」を優先していただきたいのだ。
というと、
「そんなん、あたりまえやん。だれが好き好んで、卒業の足かせになるような授業選ぶねん」
といった返事が返ってきそうだが、それがそうでもない。
学生には、とくに
「大学ではしっかりと学びたい」
と気合をいれているまじめな子や、第一志望の学校に見事合格して、マックスに浮かれまくっている子などは、ついテンションが上がって、
「これを機に、外国語がしゃべれるようになりたい!」
「ぬるま湯に甘んじず、きびしい先生のもとで本当の教養を身につけたい!」
なんて、無駄なチャレンジ精神に燃えるものが、後を絶たないのだ。
いわゆる「四月病」というやつだが、ゴールデンウィーク明けにはその熱も冷めるし、さらには日本の大学の授業のつまらなさや、教授のやる気のなさなどに失望し、
「ノリと勢いで履修しまくった、単位を取るのにめんどくさい授業ばかり」
という借金が残ることに。
こうなると五月病まっしぐらで、そのときの返済負担を少しでも減らすためにも、第二外国語のハードルは下げておくことをおススメするのだ。
正直、高性能の自動翻訳機が出る時代になったら、語学もいらなくなるかもしれないしね。
というと、学校の先生やマジメな学生の中には、
「そんな楽ばかりしてどうするの? だから日本の大学生はバカばっかりって言われるんだよ!」
なんてお怒りになるかもしれないが、私は別に楽をして「遊べ」と言っているわけではない。
ただ、先も言ったが、ハッキリ言って日本の大学の授業は役に立たないものが多い。
だから、そんなものはできるだけ、鼻息プーの楽勝で取れるものを選んでおいた方が心身に負担が少ない。
これは断言できるけど、本当に「勉強したい」と思ったら大学なんて頼ったらダメ。
必要なのは「充実した図書館」と、今ならネット環境。
「頭が良くて尊敬できる友達」がいると、なおベスト。あとはやる気次第です。
で、その「やる気」が日本の大学には決定的に欠けている(少なくとも私の時代はそうだった)のだ。
だから、「勉強するために大学に行く」は、ナンセンスとは言わないが、実戦的ではない。
どうしても出たい授業なんか「もぐり」で受ければいいし、外国語だって、どうせテキストをダラダラ読むだけのことも多いから、そんなもんに時間と労力つかうより、スマホでNHKの語学番組でも聴いたほうが、なんぼか役に立つ。
そう、勉強は大事だけど、その労力は「学ぶ」ことに費やすべきで、「単位を取る」ことに浪費すべきではない。
そのためにも、講義などできるだけ出ず、自前でやるほうがいいのだ。
実際、海外旅行先で出会った外国語をしゃべれる人で、「大学の授業でマスターした」なんて人に外大生以外に会ったことないし、某超一流大学を出て英語圏で仕事をしている知人に、どういう勉強が役に立ったか訊くと、
「なんのかの言っても、NHKのラジオ英会話かな」
そういうもんである。
以上、まず私がいいたかったことといえば、
外国語学習はけっこう大変だし、加えて大学の授業はつまらないし、役に立つことも少ないから、単位の取りやすいものを選んで、勉強したい人は、節約した時間と余力で、自分でやりましょう。
ということ。
「第二外国語は楽しろ」というのは、それでサボれということではなく、
「単位修得のための勉強」
という本末転倒を避けてほしいからだ。
それは結局、語学へのアレルギーや苦手意識を増幅させるだけで、労多くして益が少ない。
学びたければ図書館へ。ゆめゆめ大学なんかに幻想をもって「四月病」にかからぬよう、お気をつけなされよ。
まずそれが、この講座のキホンのキ。
では次回は、もうちょっと具体的に、フランス語のお話へ進みたい。
(続く→こちら)