今日の記事は今年の3月ごろに書いたもの。いくらなんでも放置しすぎなのでこの辺で投稿することにする。
数年ぶりに『ルパン三世 カリオストロの城』を見た。宮崎駿監督作品及びジブリ作品に疎く、『となりのトトロ』さえまともに見たことの無い私だが、ルパン三世は大好きなので『カリオストロ』は何度も見ている。初めから終わりまで一切弛まず颯爽と走って行くストーリー展開には突っ込み所がまるで無く、ラストの有名な銭形のセリフには何度もじーんとさせられる、正真正銘の名作映画。アニメの技術的にも、「アニメで一番表現するのが難しい」と言われている「水の描写」を見事に描いていて、とても30年近く前に作られた作品とは思えない。金曜ロードショーで再放送されるたびに新しいファンをつけてこの先もどんどん人気が拡がるであろう、日本映画界の宝。
しかし、よく言われているのが「あれは真のルパンじゃない」という指摘。原作の漫画及びハードボイルドな作風の初期のアニメのルパンを好む人にとって宮崎駿が生んだ『カリオストロ』のルパンは優しすぎる、と。原作のルパンだったらクラリスの額にキスするだけじゃ済まないぞ、と。祖父であるところの怪盗・アルセーヌ・ルパンとは違い、決して義賊ではなく、自らの欲望のままに行動し、お宝を手に入れたり女に手を出したりするのが原作のルパン。原作者モンキー・パンチ氏も、『カリオストロの城』の魅力を存分に評価しながらも、この作品のおかげで自分の「ルパン三世」を描きにくくなった、という旨の発言をしている。作品自体の完成度とは別の次元で『カリオストロ』は賛否両論のようだ。
アニメの『ルパン三世』は三期に分けられて放映された。第一期のハードな作風のルパンは青色のジャケットを着ているが、第二期、三期のアニメでは赤のジャケットを着ている。多分世間に浸透しているのは赤ジャケを着た新しめのルパンだろう。私も初めて見たのは赤ジャケのルパンだ。夏休みなどに再放送されたアニメや、年に一度制作される二時間スペシャル版に登場する赤ジャケのルパン。それらを見てルパンのファンになったのだ。そんな私が第一期の青ジャケのルパンを見たのはほんの数年前。WOWOWで深夜に放映されていたものだった。
『ルパン三世』は青年誌「アクション」に連載されていた大人向けの漫画なので、アニメ化の際にも原作を踏襲したハードなものになった。このアニメを見たモンキー・パンチ氏は「今までに見たことのないようなアニメ」と絶賛したが、視聴率が芳しくなかったため子供向けに作風をシフトチェンジした挙句、結局は打ち切りに。この第一期をWOWOWで見た時、かなり驚いた。まず主題歌がめちゃめちゃ渋い男の声で歌われてるし、ルパンはワルな匂いがプンプンしてるし、銭形がかなり優秀だし、五ェ門は初めはルパンたちの敵だし、不二子はスケベな拷問を受けてたりと終始アダルトだし、そんな世界に次元は当然ハマりまくってるしで、とにかくそれまで持っていたルパンのイメージとは違ったのだ。でもこういう渋くアダルトな世界観がルパンには一番合ってるのかなーなんて思ったりして。この第一期ルパンの人気に火がついたのは再放送された時だったそうだ。その人気を受けて、ハードボイルド色が陰を潜め、家族みんなで楽しめるようなコミカルな第二期シリーズが制作され、さらにブレイク。ルパンは国民的アニメに成長した。
『カリオストロの城』はそんな第二期放映中に公開された映画だ。赤ジャケを着たルパンが定着した時期の作品であるにもかかわらず、『カリオストロ』でのルパンは青ジャケを着ている。その理由は監督の宮崎駿が、コミカルな第二期よりも大人向けの第一期の作風を好んでいたためである。思い返してみれば、『カリオストロ』でのルパンは原作とはかけ離れた優しさをもっていながらも、特にコミカルな演出がされていたわけではない。酸いも甘いも味わいつくしたような渋さを漂わせている。過去にカリオストロ城に侵入した頃のことを「とにかく名を上げようとバカやってた」と回想してたり、不二子との掛け合いがどこかクールだったり(「ふ~じこちゃ~ん!」が殆ど出てこない)。やんちゃな時期をとっくに過ぎた、おじさまルパンなのだ、カリオストロのルパンは。カリオストロ城に隠されていたお宝は、これまでルパンが関わってきたどんな宝物よりもスケールも価値も高かったはずだし、時系列的に『カリオストロ』が全てのルパンシリーズのラストに位置すると考えた方が無難だしおもしろい。
『カリオストロの城』、とにかく大好きな映画だが、峰不二子好きの自分としてはドライなルパンと不二子の関係がちょっと寂しかったりする。ここでの不二子はルパンを迷わす魔性の女ではなく、ルパン、そしてクラリスを助ける優しいお姉さん、という感じの扱い。いや、この話の中で不二子がルパンを誘惑してたらクラリスの立場が無くなるから仕方が無いといえばそうなのだが、不二子ファンには物足りない。「原作よりも優しいルパン」より「善人不二子」の方が個人的には大問題だ。本当の本当のラスト、「ルパン見て、あたしの獲物!」と不二子がルパンに声を掛けるシーンがあるのが救いだ…。
数年ぶりに『ルパン三世 カリオストロの城』を見た。宮崎駿監督作品及びジブリ作品に疎く、『となりのトトロ』さえまともに見たことの無い私だが、ルパン三世は大好きなので『カリオストロ』は何度も見ている。初めから終わりまで一切弛まず颯爽と走って行くストーリー展開には突っ込み所がまるで無く、ラストの有名な銭形のセリフには何度もじーんとさせられる、正真正銘の名作映画。アニメの技術的にも、「アニメで一番表現するのが難しい」と言われている「水の描写」を見事に描いていて、とても30年近く前に作られた作品とは思えない。金曜ロードショーで再放送されるたびに新しいファンをつけてこの先もどんどん人気が拡がるであろう、日本映画界の宝。
しかし、よく言われているのが「あれは真のルパンじゃない」という指摘。原作の漫画及びハードボイルドな作風の初期のアニメのルパンを好む人にとって宮崎駿が生んだ『カリオストロ』のルパンは優しすぎる、と。原作のルパンだったらクラリスの額にキスするだけじゃ済まないぞ、と。祖父であるところの怪盗・アルセーヌ・ルパンとは違い、決して義賊ではなく、自らの欲望のままに行動し、お宝を手に入れたり女に手を出したりするのが原作のルパン。原作者モンキー・パンチ氏も、『カリオストロの城』の魅力を存分に評価しながらも、この作品のおかげで自分の「ルパン三世」を描きにくくなった、という旨の発言をしている。作品自体の完成度とは別の次元で『カリオストロ』は賛否両論のようだ。
アニメの『ルパン三世』は三期に分けられて放映された。第一期のハードな作風のルパンは青色のジャケットを着ているが、第二期、三期のアニメでは赤のジャケットを着ている。多分世間に浸透しているのは赤ジャケを着た新しめのルパンだろう。私も初めて見たのは赤ジャケのルパンだ。夏休みなどに再放送されたアニメや、年に一度制作される二時間スペシャル版に登場する赤ジャケのルパン。それらを見てルパンのファンになったのだ。そんな私が第一期の青ジャケのルパンを見たのはほんの数年前。WOWOWで深夜に放映されていたものだった。
『ルパン三世』は青年誌「アクション」に連載されていた大人向けの漫画なので、アニメ化の際にも原作を踏襲したハードなものになった。このアニメを見たモンキー・パンチ氏は「今までに見たことのないようなアニメ」と絶賛したが、視聴率が芳しくなかったため子供向けに作風をシフトチェンジした挙句、結局は打ち切りに。この第一期をWOWOWで見た時、かなり驚いた。まず主題歌がめちゃめちゃ渋い男の声で歌われてるし、ルパンはワルな匂いがプンプンしてるし、銭形がかなり優秀だし、五ェ門は初めはルパンたちの敵だし、不二子はスケベな拷問を受けてたりと終始アダルトだし、そんな世界に次元は当然ハマりまくってるしで、とにかくそれまで持っていたルパンのイメージとは違ったのだ。でもこういう渋くアダルトな世界観がルパンには一番合ってるのかなーなんて思ったりして。この第一期ルパンの人気に火がついたのは再放送された時だったそうだ。その人気を受けて、ハードボイルド色が陰を潜め、家族みんなで楽しめるようなコミカルな第二期シリーズが制作され、さらにブレイク。ルパンは国民的アニメに成長した。
『カリオストロの城』はそんな第二期放映中に公開された映画だ。赤ジャケを着たルパンが定着した時期の作品であるにもかかわらず、『カリオストロ』でのルパンは青ジャケを着ている。その理由は監督の宮崎駿が、コミカルな第二期よりも大人向けの第一期の作風を好んでいたためである。思い返してみれば、『カリオストロ』でのルパンは原作とはかけ離れた優しさをもっていながらも、特にコミカルな演出がされていたわけではない。酸いも甘いも味わいつくしたような渋さを漂わせている。過去にカリオストロ城に侵入した頃のことを「とにかく名を上げようとバカやってた」と回想してたり、不二子との掛け合いがどこかクールだったり(「ふ~じこちゃ~ん!」が殆ど出てこない)。やんちゃな時期をとっくに過ぎた、おじさまルパンなのだ、カリオストロのルパンは。カリオストロ城に隠されていたお宝は、これまでルパンが関わってきたどんな宝物よりもスケールも価値も高かったはずだし、時系列的に『カリオストロ』が全てのルパンシリーズのラストに位置すると考えた方が無難だしおもしろい。
『カリオストロの城』、とにかく大好きな映画だが、峰不二子好きの自分としてはドライなルパンと不二子の関係がちょっと寂しかったりする。ここでの不二子はルパンを迷わす魔性の女ではなく、ルパン、そしてクラリスを助ける優しいお姉さん、という感じの扱い。いや、この話の中で不二子がルパンを誘惑してたらクラリスの立場が無くなるから仕方が無いといえばそうなのだが、不二子ファンには物足りない。「原作よりも優しいルパン」より「善人不二子」の方が個人的には大問題だ。本当の本当のラスト、「ルパン見て、あたしの獲物!」と不二子がルパンに声を掛けるシーンがあるのが救いだ…。