拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

君はもう『コジコジ』及び『神のちから』を読んだか?

2006-08-26 23:09:01 | 漫画
さくらももこの代表作といえば勿論いまや国民的アニメとなった『ちびまる子ちゃん』だが、彼女を語る上で欠かせない作品がこの他にある。ビックコミックスピリッツに連載された『神のちから』と、ココストアのCMキャラクターをつとめたこともある『コジコジ』である。
『神のちから』の方は、『ちびまる子ちゃん』ブーム真っ最中に描かれた作品で、『まる子』とは一味違った、バカバカしさと毒に満ちた漫画を集めた短編集である。もちろんこれらの要素は『まる子』にもあったのだが、パっと見はほのぼのとしたキャラクターばかりのため全面に押し出されることはあまりなかった。上手いことオブラートに包まれていたというか。しかし『神のちから』はかなりやりたい放題な作風。『まる子』の作者が描いたとは思えないが、さくらももこが『ガロ』というアングラな漫画雑誌の愛読者だったことを考えれば納得できる作風ともいえる。まる子のような可愛いキャラクターは全くと言っていいほど出てこない。各短編の主人公の多くは中年のオッサンである。平凡な日常生活を送っていたはずの人々がふとした事がきっかけで混沌とした世界に入り込んでしまう様はまさにエヴリデイマジック。
ムダ使いしてヘンな物を買う男、異世界に繋がるヘソを持つ男、頭部が壷になった男とそれに全く驚かない周囲の人々、人生がメビウスの輪になってしまった男、「葬式」を売りに来る「葬式屋」、尻の穴を覗かせ、そこからメロドラマを放映する男…意味を見出すことさえためらうような不条理な展開を見せる短編の数々は読者をバッドトリップさせるかもしれない。作者と波長が合うか合わないかでこの漫画への評価は変わってくるが、『まる子』及びさくらももこファンならぜひチャレンジしてみてほしい一作。私はこれを小1の時に読んだ。その当時母親は「さくらももこ」が出した本は無条件で買っていたのだ。じゃなきゃミーハーな母こんなマニアックな装丁の漫画買わないよな…。どれも粒ぞろいの短編集だが特におすすめなのは「しりがうりもののおやじ」とかかなぁ。この話、『ちびまる子ちゃん』4巻のまる子がお化け屋敷に行く話の後半、怖くて眠れないまる子が「怖いこと考えるから寝れないんだ。そうだ、バカバカしいことを考えよう!」と思った末、必死に脳内に描いた「セーラー服着た変なオヤジ」が出てきます。
『コジコジ』はまぁ先述のとおりココストアのCMキャラも勤めたし、アニメもやってたので結構有名なキャラだと思う。物語の舞台が「メルヘンの国」という、可愛らしい外見のキャラが集まる国なのだが、見た目に騙されてはいけない。架空の世界が舞台ということで、『ちびまる子ちゃん』で作者が鍛え上げたキャラクター作りのセンスが爆発している。やたらと色好みの雪だるま、コンプレックスだらけの半魚鳥、興奮すると沸騰するやかん、頭に花を咲かせる子、ブ男なエンジェルなどなど個性的なキャラが揃い、そして主人公である、おそらく確信犯的な天然ボケキャラクター・コジコジが毎度毎度色んな形で大騒動。可愛らしさとバカバカしさ、マニアックさの見事な融合が楽しめる。何気ない会話が本当に面白いんだよなぁ…。
えっと、とりあえず大好きな漫画についていろいろと書いてみたが、魅力は伝わっただろうか。『神のちから』はもしかしたら入手困難かもしれないが、私の身近にいる人になら貸せるから…。

追記 
今日、名古屋駅周辺にやたらと仮装姿の集団が多いなぁと思ったら、「にほんどまんなか祭り」の開催日だったんですね。まったく縁がないから知らなかったです。でも凄いなぁ。全国から踊りに来るんでしょ、お祭り好き団体の方々が。熱いね。