★ Serena ★

カナダ暮らしのエスペランチスト、自然愛好家。
エスペラントやカナダの野草、ネーチャークラブの活動など思いつくままに。

盗掘

2005-06-14 22:46:54 | Weblog
オンタリオ州南部の今年の初夏は異常に暑く、何処へ行っても蒸し暑さを嘆く声が聞かれました。
私達のトーバーモリへの旅も暑さに悩まされながら終え、昨日帰って来ました。
連日30℃は行っていたと思います。体感気温は当然もっと高かったでしょう。

第一日目、トロントから北西に向かい、ブルース半島(この半島の先端がトーバーモリ)の根元位にあるイングリス・フォールス自然保護地の、樹木園入り口の駐車場で合流、予定の旅が始まりました。
オンタリオ州に元来生えている木々や潅木を保存する目的で、理想的な立地条件ゆえに買い取られた土地です。古い水車小屋の名残が簡単な資料館になっていました。
次の目的地オリファント・フェン遊歩道に向かう途中、簡単な昼食を取り旅を続けます。やがて路傍の草の中にある鮮やかな赤い色に気付きました。『インデアンの絵筆』です。それに混じって『紫ヘイシソウ』の濃いエンジ色の花も目立っています。
「停めて、とめてェー」と車を停めてもらい写真を撮りに降りました。先行車を見失っては大変という心配もあり慌てて。。。
そこに停車していたニューヨークナンバーの黒いヴァンの中から数人の老婦人達が降りてきて、私を真似て写真を撮り始めました。多分どうしようか考えていたのでしょう。私の行動を見て降りる値打ちありと思った様です。
車に戻って先方を見ると2台の先行車は100メートル先で停まっています。そして、彼らは降り始めました。
追い着いてみると、そこが目的地だったのです。「慌てモン」と誰かが言った様に聞こえました。
「ブルーアイグラス」という青い小さな花が足元に咲いていました。遊歩道は湿地帯に渡してありますが、乾燥が続いていたため湿地帯はひび割れするほど乾いています。そんな条件の中でも花は見事に咲いていました。紫ヘイシソウとインデアンの絵筆の群生です。
酷く寒かったり、急に暑くなったり、雨が降らなかったりと異常な気象に混乱した花たちも大変だったでしょう。いつもより遅いもの、早く咲き終えてしまったものなどあると案内をしてくれたアレクスとドロシーの話です。
この湿地の水が流れている辺りには「豹蛙」も居ました。

歩いていて、アレクスが立ち止まり指差したところを見ると大きな、鍋が一つ入りそうな穴がありました。誰かがシャベルで掘った跡です。「盗掘」と反射的に誰かが言います。
先ほどの老婦人達が私達の後から歩いていました。
「ああいう人達、要注意よ」とドロシーが言います。花を愛するあまり、自分の庭に。。とシャベル、バケツなどを持って来て掘っていく人が居るとのことでした。バケツ一杯の土壌を持ち帰っても彼らが生き延びるのに十分ではないのです。土質だけが花の生きる条件ではないのですから。
気候、気象もさることながら、周囲に生えている仲間たち、それは同種も異種も或いは木立や昆虫やバクテリアも含まれるでしょう、も必要なのです。

日本でもこうした盗掘のために大切な珍しい花が絶滅の危機に瀕していると聞いています。
花を愛でるということは自分だけ楽しもうと言う考えとは一致しません。後から訪ねてくる人々と分かち合うことを学ばなければなりません。この、後から訪ねてくる人々というのは、明日来る人々であり百年後に来る人々でもあります。

写真はイングリス滝

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
滝は (siesta)
2005-06-15 00:40:02
とっても綺麗です。

奥入瀬渓流を訪れた際に見た滝によく似ているように思います。



あ それから ご訪問ありがとうございます。
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Unknown (glimi)
2005-06-15 07:54:58
お帰りなさい!

 暑くても、雨に降られず良かったですね。羨ましいです。 

   
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盗掘 (lignponto)
2005-06-15 12:25:39
おっしゃるとうり!!花はそこにあるから美しいんですよね。
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