さんたろう日記

95歳、会津坂下町に住む「山太郎」さんたろうです。コンデジで楽しみながら残りの日々静かに生きようと思っています。

独り見上げる空に美事 高々と

2014-10-04 | 日記
 台の宮の大欅が立っている。


 昔この欅の木の近くに弥十郎狐の一家が住んでいて、夜な夜な美しい娘に化けた弥十郎狐に若い男が化かされて頭を坊主にされたという言い伝えがあります。ちょんまげの時代ですから坊主にされることは大変な恥辱だったんでしょうね。

 けど私は思うんです。昔この近くに遊郭があったと聞いています。若い男たちが誘惑に負けて上がり込み楽しんだのはいいんですけど羽目をはずしてどんちゃんと楽しみ過ぎ、翌朝有り金全部を取り上げられ、そのうえ金が足りないと責めたてられて坊主にされしょんぼりの朝帰り・・その云いわけに弥十郎狐に化かされたと云ったんじゃないのかなと・・・

 当時の人はみんなそれが分かっていて「ああそうかそうか」狐に化かされたんではしょうがないと納得してくれた良い時代だったんでしょうね。

 この欅には大きな空洞(うろ)があるんですよ。昭和30年(1955)頃まではそのうろにたくさんコウモリが住んでいて夕暮れになると台の宮公園の空にたくさんのコウモリが舞いました。コウモリに詳しい人がこのコウモリは新種ではなかろうかと気づき、天然記念物指定に申請して保護しようなどとの話もありましたけど、そのうちどういう分けかコウモリは絶滅してしまいました。
なんかさみしい気がします。昔は夕暮れになるとコウモリがたくさん空に舞い、夜鷹が「きょきょきょ」鳴いてました。こどもの頃みょうがの葉をとって口に挟み尾鷹の鳴き声をまねして楽しみました。コウモリもよたかもすっかり見なくなりました。

 その頃のお盆にはこの欅の木の近くに踊りの櫓が立って近郷近在からたくさんの若者の男女が集まって三重にも四重にも踊りの輪ができ古坂下の町通りは熱気に溢れました。 優雅な娘たち踊りに野郎どもの狂ったようなカンショ踊り、懐かしいです。

5年ほど前の台の宮公園の欅の美しい秋の紅葉です。


 この写真に比べると、なんだか近頃の欅は枝が落ちていたりして元気がないように思えるんですけど、私だけでしょうか。紅葉も昔ほどは美しくないような気がするんですよ。