哺乳類は紫外線を目で感知することは出来ませんが、鱒は鳥類の様に紫外線を目で知覚することが出来ます。
つまり人間が見る物の色合いと鱒が見る物の色合いは必ずしも一致する物ではなく、鱒の感じる色を検討するためには紫外線の効果を考慮する必要があるということになります。
Greenwell's Gloryのオリジナルのウィング材はBlackbirdのクイル。これは前々回投稿したものですが、Blackbirdが入手出来ないここ数十年は、Starlingのクイルが代用品として使われております。また、サワダはStarlingのクイルをブルー・ブラックに染めた代用品を販売しておりました。
そこでBlackbirdとStarlingの色合いに紫外線を当てた場合違いがあるのかどうかを確認することにしました。
上の写真はBlackbirdのクイルの表面を北アフリカの眩しい陽光の降り注ぐ居間で撮ったもの。
上の写真は同じクイルを暗室で紫外線を当てて撮影したもの。Blackbirdのクイルの表側は紫外線の下では余り反射をせず、青色に見えます。
上の写真は同じBlackbirdのクイルの裏側。
この裏側は表側と異なり紫外線を強く反射し赤紫に光ります。
一方、上はStarlingのクイルの表側。
Starlingは紫外線を反射し赤紫に光ります。
上はStarlingのクイルの裏側。
Starlingのクイルの裏側は表側と同様に紫外線下では赤紫に光ります。
ウェットフライのウィングの様に、表側が鱒の目にふれる場合、BlackbirdとStarlingは鱒の目には別物に見える可能性が高く、ドライフライのウィングの様に裏側が鱒の目にふれる場合は、BlackbirdとStarlingの間の違いは余り見えない様に思われます。
ここでの教訓は、良く釣れる毛鉤を巻く場合、その毛鉤のオリジナル材料を他のもので代用する際は、人間の目から見て同じような色であったとしても紫外線が見える魚から見たら同じ色合いにならない可能性を考慮して、出来るだけ紫外線下でオリジナルと同じ様な色になるもので代用する必要があるということでしょう。また、マテリアルによってはBlackbirdの様にクイルの面裏で紫外線の反射に違いがあることより、良く釣れる毛鉤のオリジナルの巻き方にも注意が必要ということですね。
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