思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Dun Spider

2023-07-16 01:11:43 | 毛針/Flies

W.C. Stewartは1857年出版の著書The Practical Anglerでアップストリームのウェットフライ釣りを推奨し今日に至るまで多大な影響を与えております。そのThe Practical Anglerにて彼はBlack Spider、Red Spider、Dun Spiderの三つのスパイダーパターンを何か虫らしいものを表す毛鉤として紹介しております。

先日、7月2日(日)は16:30までにウィーン空港に戻らねばならず午前中だけEtrachsee(エトラッハゼー)で釣りをしました。

ボートが繋がれている桟橋の付近に大型の魚が集まっていることは分かっておりますので、ボートは使わず、桟橋から湖の水が流れ出すところを目掛けてGold Medal 10'を振ってみました。写真で見えるように風は山から流れ出しの方向に吹いております。そこで、写真の右側に毛鉤を落とし、徐々に旗の下あたりに流していって魚のアタリを取る戦法で試します。
Greenwell's Glory、Connemara Black、Ramsbottom's Favourite等のウィングドフライ、スレた魚に効果のあるKiller Bug等も流しましたが、かなりスレた魚達の関心を引くことが出来ず、そこで使ったのがStewartのDun Spider。

黄色のシルク糸にStarlingの明るい色のフェザーを巻きつけただけの簡単な毛鉤ですが、水に入れると柔らかいフェザーに包まれた黄色のボディが流される様は虫らしさを演出。その簡素さでスレた鱒も思わず口に入れてしまう毛鉤です。
10'の竹竿でDT5Fのラインを投げ水の流れに任せながら毛鉤とのコンタクトを保つために余分なラインをリトリーブしていき、魚の溜まっている辺りに毛鉤が来たと思われる瞬間アタリを感じ合わせると竹竿がグンっと持っていかれます。中々タモに入らず苦労した魚はアルプスイワナ。ブルックトラウトとの見分けは尾鰭の形でつきます。アルプスイワナの尾鰭は中央が窪んでいるのに対し、ブルックトラウトの尾鰭は一直線。鮭の尾鰭と鱒の尾鰭の違いと相似しております。

同じように毛鉤を投げてやるとまたアタリ。Gold Medalを曲げてファイトし、

水面からDAM社製のタモに中々入れられなかったのは

ブルックトラウトでした。このように良型ばかりをかなり上げてボロボロになったのが一番上の写真の左下にある鉤。原型を留めなくなっても魚をかけました。

冒頭の写真にあるのは黄色のボディがちょっと長くアピールするものですが、Stewartのオリジナルに近いものを巻いてみます。用意するのはStarlingの明るい色のフェザーと黄色のシルク糸。Starlingは古い英国の毛鉤用マテリアルにある小箱に整理されたものを使います。

ワックスを塗ったシルク糸で下巻き。余分の糸も意図的にゲイブ側に出しておきます。

Starlingのフェザーの先端部分を鉤に結びます。

そしてそのフェザーを余ったシルク糸と一緒に捻りファイバーをばらけさせながらアイの方に巻いていきます。

出来上がりはこれ。これはファイバーを長めにとったものですが、水中でこのファイバーが如何にも虫のような雰囲気を演出致します。
スレた鱒が多い管理釣り場等でも活躍するのではないかと思います。

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2 コメント

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ブルック鱒 (yugawaski)
2023-07-16 20:52:14
こんばんは。
湯川ではなかなか釣れないサイズの良型ですね。
何千キロもの距離を隔てて同じような鱒が泳いでいるのは興味深いです。
私もまた湯川に行ってきましたが、大きな浮かし毛鉤ではすぐに見切られてしまい、なかなか難しくなりました。
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ブルック (budsek)
2023-07-18 01:55:57
yugawaski様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
確かに、日本・オーストリアと相当な距離を置いて、虹鱒程メジャーではない北米原産のブルックトラウトが泳いでいるというのは考えてみると凄いことのように思います。
一方、私の観察するところ、オーストリアのブルックトラウトは湯川のそれよりも尾鰭の虫食いマークがハッキリ・クッキリ入っているように思えます。またEtrachseeのものは体色が緑がかっている個体が多いのも違うところです。
これは元々北米のどの地域のブルックトラウトが移植されたのかによる違いなのか、或いはどうなのか、興味あるところです。
いずれにしましても、オーストリアの山中のブルックトラウト釣りの楽園のようなところです。
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