思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Payne 206L 9'

2023-09-23 23:02:17 | Fishing Tackles

前回の投稿後に気付きましたが、このPayne竿自体については過去投稿したことがなかったので今回改めて少々紹介させて頂きます。

Payneは高品質で極めて評価の高い竹竿を世に出してきたメーカーとして知られ、その竿は今日でもマスプロメーカーの製品としては極めて高値で取引されております。特に昨年来の円安やコロナ後の米国のインフレによる高騰で日本人には一段と手が出しにくくなりました。
E.F.Payne社の創業者Edward Fletcher Payneは元Leonardの職工で1885年にLeonardに入社、1890年にLeonardを退社後、Kosmic Rod製造に関わるなどした後、1898年に自身の会社を立ち上げたとあります。その創業者を継いだ息子James Arthur Payne、Jim Payneが父親の逝去後1914年以降E.F.Payne社の製品を作り出していくことになりますが、後年人々がPayne竿と呼ぶものは殆どがJimの作品となります。

1920年代中頃のモデルでは8フィートで竹の色が濃いものが200/202、薄いものが201/203、8フィート半が濃いもの204、薄いもの205、9フィートが濃いもの206/208、薄いもの207/209とのことですが、この竿は9フィートで色の濃い206となります。また206でも更に軽いラインを用いた繊細な釣りに使うために作られたライトモデルの206Lというのがこの竿のスペック。実際、前回のオーストリアではAFTM 4のPhoenix Silkを使って丁度良く、より軽いAFTM 3のシルクも使える9フィート竹竿です。

この竿の竿尻の刻印は「E.F.PAYNE ROD E.F.PAYNE ROD CO. MAKERS」というものであり、これは1925年のFrank Gibb OramがパートナーとしてE.F.Payne社に入社した後から1930年にE.F.Payne社が法人格を取得し新しい刻印「PAYNE」を導入するまでの間使われたものとのことで、この竿が1920年代後半のもの、もう少しで100歳になることを示しております。

少しずらして写した写真。

ラッピングはダークブラウンでその先にワインレッドの追加ラッピングが入ります。またバットにはフックキーパーが付いております。

ストリッピングガイドは赤瑪瑙入り。

フェルールはちょっとくびれたものが使われております。

前回記事にある通り、トップセクションの細さはHardyと比べると真ん中の1938年製7'6''のMarvel、1958年製のPerfection 9'のものよりも細く、9'の長さに比べ極めて繊細なものであることがお分かりになると思います。この竿は遠投を目指す竿ではなく、この長さを生かした繊細なウェットフライ釣りのための竿だと思いますが、コツは入りますものの繊細なドライフライの釣りにも使うことが出来ます。開けた川でのドライ・ウェット釣りでは良き伴侶になる竿だと思います。
(尚、本記事中のPayneの情報はThe History of Bamboo Fly Rods(錦織則政氏著)に準拠致しました。欧米の竹竿を網羅する名著です)


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5 コメント

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1920年代のPayne Rod (nori)
2023-09-24 09:52:24
budsekさま

Payne 206Lのご紹介ありがとうございました。
ジム・ペインの竿はアクションが1930年頃を境に大きく異なります。
勿論、本格的ドライフライアクションに移行した後の各モデルは素晴らしく、私もその時代の97や100を必ず渓に持って行って愉しみますが、それ以前のしなやかなアクションも大好きです。
これは、古いレナードロッドにも共通する、当時としてのドライフライアクションで、その時代のウェットアクションとなるともう、それこそベナベナです。
これらペイン竿の古いアクションは、レナード社の徒弟であったエドワードが導入したアクションを、ジムが基本的に踏襲したものではないかと考えています。
私が愛用している1920年代のModel 202なんて、それこそティップ先端の5インチくらが他のペイン棹と比べても異様に細く、使っているといつも気が気でなりません。
案の定、数年前の日光湯川で一本折ってしまいました(笑'')
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追記 (nori)
2023-09-24 09:58:24
補足ですが、古いアクションのペイン竿なら、9フィートのモデルが一番好きです。
versatileでどんな釣り場にも対応します。大川の小型ストリーマーから細流のチョウチン釣りまで(嗤)
勿論、ドライフライの釣りでも幸せになれます。
多用するので、2本手に入れて交互に使っていますよ。

nori 拝
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もうすぐ100年… (yugawaski)
2023-09-24 16:23:55
こんにちは。
気が付けば私のパラコナ竿も間もなく御年百歳を迎える竿、あるいは百歳を越えた竿も結構出てきました。
レナードやペインはパラコナ竿と比べると百年前のものであってもモダンな感じがしますね。
そして繊細なティップ…
日光湯川は、良型の鱒ほど障害物の奥の奥にいることが多いので、合わせた際に背後の木の枝に竿をぶつけてしまうこともしばしばです。
細いティップでも強靭なので大丈夫とは思いつつも、外からは見えない微細なクラックが入っていたら…と考えると、どうしても安心感のあるデラックスに手が伸びてしまいます。
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古いペインのアクション (budsek)
2023-09-24 17:30:17
nori様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
1930年頃の法人化を境にアクションが本格的なドライフライアクションに移行するということですか。とても参考になります。私の持つ米国竿はF.E.Thomas Special 8'と9'、LeonardのTournamentやDF50等ですが、Leonardはすべてドライフライアクションと言って良いもので、F.E.Thomasの9'は汎用性の高いアクションの竿で8'はペナペナウェットフライアクションのものですが、このPayneはそれらとは違う独特のアクションです。バタースムースなアクションで胴調子の更に先端が繊細というアクションは嵌ると抜け出せないかも知れず、通帳の残高と相談すると恐ろしい魔性のアクションかも知れません。
一方、英国の強風が吹く平原での釣りに必要なアクションを備えたPalakona竿は特に欧州の釣りでは重宝致しますし、モロッコのTalambote川の午後の強風下の釣りでは必須です。釣りをする其々の環境にあった竿で釣りを楽しめるのは幸せです。ある程度開けた渓で使う竿と思っておりますので、日本に帰ったらどこでこのPayneを使うか再度考えないといけないです。
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湯川竿 (budsek)
2023-09-24 17:39:19
yugawaski様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
私も湯川で使うとすれば8フィート台までの長さでしっかりしたティップの竿が安心出来ます。前回使用したGold Medal 8'や1930年代のDe Luxe 8'、或いはMarvel 7'6''といった竿になるでしょうか。
すべて安心して使えるHardyの竿であるところがミソですね。
昔1995年にHardyに作ってもらったCC de France 8'もありますが、どうもティップが近代的に比較的細いような感じですので、これは枝の怖い湯川でないところで振り回す釣りに使いたいです。
そう言えば他にも8'のPerfectionとか、H.E.Accuracyとかの竿も持っておりました。。。。。
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