既にシーズンオフとなってしまいましたので、先日頂いた国内で飼育されている雄鶏のハックルの実験は殆ど出来ておらず何らかのことを申し上げられる段階には達しておりませんが、その数少ない実験の中で鱒が一番食いついたハックルが上のものになります。
鱒の判断基準はどうなのか判りませんが、私の目に一番美しく見えるのがこの真ん中のハックル。
暗い背景ではほぼ透明。
明るい背景では同じ鶏から取れたハックルの中でも異質にブルー・ブラックの色彩を帯びております。ハックルの芯の先端が他のハックルが白なのに対し、このハックルは黒色です。
ブルーダン系のハックルの軸は明るい背景では黒く浮かび上がります。
明色・暗色の背景でのコントラストはこの通り。
これはハックルの裏。米国ジェネテックのハックルでは裏が白いものがありますが、このハックルは多少白っぽくなってはいるものの面の色と殆ど変わりません。これは透明感に大きく影響する点。ハックル購入の際は、国内のお店で購入する場合は、高額なものであればある程、袋から出して裏面を確認することをお勧め致します。
このハックルを
曲げて見ると、バーブの先端がカーブがかっていることが見て取れます。英語の書物でも他の欧州言語の書物でも、ハックルでは軍鶏(ゲームコック)の固くて艶のあるものが良いハックルと勧められており、硬いハックルが水面に乗る際に作る水面の窪み(ディンプル)の作り出す光の屈折が本物のカゲロウの水面に乗る脚が作るディンプルが生み出す光の屈折と同様の効果を生み出すことが理論的な裏付けとなっております。
日本のハックルの場合、ゲームコックのハックルのバーブ先端の硬さは無く、より柔らかく水面に乗る感じでディンプルを作らない=水面に引っかからず、代わりに水面を風に動かされながら動く様な感じで漂います。当然浮きは悪いのですが、現代の薬剤を使えば、ドラグをかけない限り水面に乗って漂ってくれます。
また、艶についてですが、このハックルを頂いた方からはそれとは全く逆の意見を頂いており、確かに欧米の先人の意見は、今日まで常識として伝わっているものの、実際鱒釣りを数重ねて実験をしないと自分の意見として確たることは言えないな、と反省するところです。
実際に箱根早川で今シーズン何匹かの鱒を釣り上げた毛鉤。
この毛鉤ですが、陽光の下では結構遠くからでもライトグレーの塊に見え、視力の悪い私でも困ることはありませんでした。
ハックルの実験は来年に持ち越しですが、次のシーズンは、上で見たブルー・ブラックのハックルに、ブラックバードのクイルを使い、アイアン・ブルー・ダンでも巻いて早春の養沢あたりから実験を再開してみたいものです。
貴重なブルーブラックの色が悩ましいです
水面に虫がいなくなったためなのかもしれませんし、大物のブラウン鱒は夜になってから出てくるとも言われていましたが、やはり薄暮の薄明るい空越しに見えるシルエットが鱒にアピールしているのだと思えてなりません。
鱒が何を一番意識しているのかを勝手に予測してみたところで、本当のところは鱒になってみないと分からないですよね(笑)
その分からないものをあれこれ推論するところが面白い…
コメントを頂き大変ありがとうございました。
確かに中々悩ましい色で、釣り人を釣り上げる威力は凄いものがあると思います。このご好意を頂いたお礼に、来シーズンは出来るだけこのハックルで巻いた毛鉤を使い、何かお伝え出来るようにしたいと思っております。
コメントを頂き大変ありがとうございました。イブニングライズで暗くなった後も鱒が水面の毛鉤に出る=見えている理由ですが、以前取り上げた紫外線を鱒は見えるという事実等、人間の視覚と鱒の視覚の違いに求めるのが妥当なのだろうなと想像してはおります。が、本当のところは全くお手上げですので、場数を踏んで自分の意見を作っていくしかないのかなと思います。イブニングライズですが、泊りがけ釣行ですと国内・海外問わず、夕食の時間の関係で無理、国内日帰りでも帰りの電車の時間で無理、と、最後にイブニングの釣りをしたのは何時だったか全く憶えておりません。。。残念ながら。。。
夕立の後、蒸し蒸した夏の夕暮れの出来事なんですがとにかく川中の魚が湧き出る様な有様で毛鉤を追い掛け続け、毛鉤の鈎先が丸くなる程
気付いたら、見えるのは月に照らされた濡れた岩の縁と水面に映る月影だけの暗闇
毛鉤を打った時に水面に広がる波紋が辛うじて見える状況でも魚は毛鉤を追い続けました
似た様な状況がダム下のプールでも何度か有り毛鉤そのものを見返すこととなりました
今から40年も前のことになりますが、当時ズブの初心者の私もあるダム湖で夏のイブニング時イワナの猛ライズに会ったことがあります。初めてイワナの大釣りをしたのですが、辺りは暗闇でカモシカの目が光るのが見えたりととても恐ろしい思いをしながら、後、一投と、イワナのライズのエクスタシーをできるだけ引き伸ばし、宴の後は、漆黒の闇の中を車で待っている同行者のところに戻ったものでした。
人間には見えない闇の中でも魚は何かを見ることが出来るのでしょうし、また、ひょっとしたら人間、鳥から見えなくなることで、大胆に餌を追うスウィッチが入るのかも知れません。
私も以前 真夜中のライズを経験しております。
時間は夜中0時。真っ暗な本流の長い瀬の中で アマゴやニジマスが水面をスケーティングするヒゲナガのアダルトを貪り食う状況に出くわして 100メートル程の瀬が一面ライズの嵐になった事があります。とりあえず#6のマドラーミノーを浮かせてスケーティングさせるか ダンケルドとアレキサンドラの組み合わせでスイングをかけて水面直下を狙うと 入れ食い状態。朝4時頃 明るくなって来たらピタリとライズは止みました。4時間程の釣りで40センチを超える魚を20本以上釣った経験があります。ヒゲナガのスケーティングの場合 水面を走る波紋と振動が魚を誘う鍵になるのは聞いていましたが 水面直下のウエットフライのスイングは波紋も振動もありません。それでも魚はひったくる様にフライをくわえます。やはり人間には見えない波長の物が見えるのかとこの時思った事があります。
コメントを頂き大変ありがとうございました。
Hugh Falkusのシートラウトの釣りに関する著書で、昼間は警戒心が強く釣り難いものの、夜は人間の存在が目立たなくなり警戒心が薄れる結果釣りやすくなる点、また、表層を波紋を残しながら動くものに食いつく点で、真夜中の釣りを勧めております。
鱒には夜間でも獲物を知覚する能力があり、人間の存在も目立たなくなり、他にも何かプラスアルファのものがあるのでしょうか。
それにしても40cm以上の鱒を20本以上というのはトンデモナイ大釣りですね。
コメントを頂き大変ありがとうございました。
スターリングの代用となりますとより繊細なスナイプ等となり難しいです。以前はサワダが取り扱っていたのですが、もうないので、相模大野のBartonさん(http://hw001.spaaqs.ne.jp/flybarton/)に問い合わせされると幾つか在庫されているかも知れません。
ハックルですが、フランスのArdent Peche(https://www.ardentflyfishing.com/coqs-de-peche-correziens-c-1031)ハックル10枚をパック売りで出しておりますgris cendré rouillé というのがハニーダン系でお勧めです。同好の方がいらっしゃるのであれば纏めて注文すると経済的かと思います。
良いマテリアルは時が経つに従いどんどん少なくなっているのが現状ですが、欧州では未だ何とか入手出来るものがあります。過去に記事にしたものもご参考にして頂ければと思います。