Greenwell's Gloryは私がこれまで使ってきた数ある毛鉤の中でも欧州・日本での鱒釣りに際し、数々の実績を上げてきた毛鉤の一つです。
一昨年、数十年前から入手が困難になっていたBlackbirdのコンプリートを手に入れたことから、Greenwell's GloryやIron Blueをオリジナルの材料で巻けるようになったのですが、未だBlackbirdのクイルを使った毛鉤を一本も巻いておりませんでした。
暖かいカサブランカの冬の日差しを浴びながら、オリジナルの材料を使いGreenwell's Gloryを巻いてみることに致しました。
この毛鉤の発案者は、この毛鉤に名を残すWilliam Greenwell氏なのか、或いは、1854年、氏がTweed川を釣っている際に、鱒が羽虫を盛んに食べているにも関わらず全然手持ちの毛鉤で釣れず、これこれのように毛鉤を巻いてくれと依頼したTweed川の著名な毛鉤職人のJames Wright氏なのかは、厳密には分かりませんが、Greenwell氏が1900年6月1日付の手紙で"オリジナル且つ最良"としたレシピは以下となります:
Wing: Inside of a blackbird's wing.
Body: Yellow silk
Hackle: Coch-y-bondhu.
Hook: 14.
上の写真の様に、上記の材料を揃えてみました。
これはBlackbirdのクイル。プライマリーから数えて左右の羽から8番目のクイルを今回は使います。私のBlackbirdからは左右で16枚のクイル、計32枚のクイルが取れましたので丁度羽の真ん中のクイルとなります。
写真と実物の色は違っているのですが、BlackbirdのクイルはStarlingのものがダン色であるのに対し、透明感のある黒・ダン色という感じです。カゲロウの羽で言えば春先に出てくるダンの黒っぽいウィングの色を表現するのに適した色です。
上はG.E.M.SkuesのMinor Tactics of the Chalk Streamの挿絵ですが、左上から2番目の毛鉤がGreenwell's Gloryです。アイ付きの鉤ではなく、ガット付きの鉤に結ばれた毛鉤のウィングは直立しております。今巻かれるGreenwell's Gloryのウィングは普通のウェットフライのそれの様に寝ておりますが、オリジナルはドライフライの様に直立していたのです。
そこで、Blackbirdの左右のクイルから一片ずつ切って直立したウィングを巻いてみます。ドライフライの場合とは違い、ダブルウィングにしないので、クイルが節約出来ます。ちょっとセコいですが貴重な羽なのでそこはご容赦を。
ハックルはコックともヘンとも指定は有りませんので、前々々回登場したDr. Laffertyから入手したと思われるCoch-y-Bondhuのコックハックルを使ってみました。
芯黒、先黒のレッドのハックル。それを直立させたウィングのアイ側に巻き留め、ゲイプの方に巻いて行きウィングの後ろで巻き止め、その後シルクをハックルの間を通しアイまで持って行きヘッドを作りウィップフィニッシュで巻き止めます。冒頭の写真が完成した毛鉤ですが、ハックルがちょっと長すぎてウィングが余り目立たないですね。。。昨年のTup's Indispensableの回もそうでしたが、オリジナル材料と代用品にどれ程の違いがあるかは分かりませんが、オリジナルを知って初めて理解出来ることもあろうと思いつつ、今後も果ての無い精進を続けて行ければと思っております。
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