20181007今日の一手（その765）；自然な手の流れ

20181007今日の一手

6月30日の名南将棋大会から、AさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

（後手が54馬を44馬と移動したところです。）
☆ 形勢判断をします。
先手の3歩得で竜成桂VS馬の作り合いですから先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。44馬も守備駒だと見ればずいぶん堅いですね。（交換になりそうなのですけれど。）
先手の攻め駒は63成桂と77角か56香で2枚くらい。93竜や数えなかった方の77角56香を全部使えたら4枚です。
後手の攻め駒は44馬と持ち駒飛金桂香で4枚。

総合すれば互角か後手もちです。

☆ 大局観として

先手として主張できるのは駒得だけです。自玉を固めるのも難しそうなので、攻め駒を増やそうと考えるのが普通です。
中央で駒がぶつかっているので55香か55角が自然ですが、後手からは56歩とは取れませんから他の手も可能です。どうやって攻めましょうか。
後手からのねらいは79飛か24香か。先手は持ち歩を8筋にしか使えないので受ける駒がないです。24香は仕方ないでしょうが、79飛の対策を考えておくこともできます。


○ 自然に攻め駒を増やすのは55角で

55同角同香に66角

が気になるところなのですが、92竜55角52成桂同金同竜

が角当たりになります。33角44金41金

角を取って竜を逃げるか、竜を切って（受けの駒ができる）しまうかは悩みますが、先手としてはまあまあです。

後手としては66角よりは79飛のほうが駒得になるのかも。

48金の筋は厳しいですが、52香成で88角が生じるので、78飛成41成香同銀53成桂

成桂は銀と交換になるでしょう。すると桂香と銀歩4の交換です。やや先手もちくらい。


× 実戦は55香で

79飛53香成77馬同銀48金

これを受ける形がありません。

先手としては52香成と一つ先に成っておいて

77角成に41成桂と取るほうが難しいのですが、強く48金42成香49竜

後手玉に詰みがないので1手負けです。


△ 工夫としては52成桂と捨てて

52同金55角同馬同香

とすれば後手は歩切れなので攻め続けることはできます。43金52香成24香91竜31金

というところですが先手の駒損になりそうで形勢不明です。


△ 53成桂も考えられて

53同銀55香42銀53香成

派手な手順ですが、53同銀同竜77馬同銀51香

77銀の位置が不満ですが形勢は難しいです。


○ 92竜として

79飛に52成桂同金同竜41金

41同竜同銀69金

というのが振り飛車らしい寝技です。69同飛成同銀24香55角同馬同香26香同歩

全部あっさり交換し合ったとして、歩切れなので先手がやや駒得、玉の堅さでもわずかに上回っているので先手もちです。


○ 82竜とすると

わずかな違いのようですが、79飛には88竜があるので攻防の手でなのでした。24香52成桂同金同竜41金55角

竜取りをうまく切り返せます。55馬同竜26香同歩

と進んだら、竜が残っている分だけ、より先手の駒得ですが後手玉が堅いともいえます。後手から速い攻めも見えないのでやはり先手もちです。
（92竜に後手が24香ならばこの変化に持ち込めるので、後手の選択肢を狭めたといえます。）


△ 他には67銀

と使っておくのは振り飛車らしいです。51香55香同香56銀51香

よくわからない戦いになります。56銀をうまく使えるかどうかで形勢が動きます。


☆ まとめ

一目は55香か55角か、二択のように思えるのですが、よく見れば後手から56歩とはできません。
じっと竜を攻め駒に使っておくのが有力です。使うならば82竜が一番働いているようです。
つまり55角、55香、82竜の三択として考えてみましょう。

後手が（44馬にひもをつけるなど）56歩と取れる状態にした時に55香か55角とするのが一番手の調子が良いです。そう思えば他の手、82竜から52成桂ねらいが本筋に思えます。
直前は後手が55香を避けて54馬を44馬と移動したのですから、馬取りにならない55香のほうが不自然です。
55角なら同馬に限定できそうで、直前の状態（54馬）でも素抜き筋があったので実現できたのでしょうが、後手に無駄な1手（44馬の手）を指させたのですから気分が良いですね。

ということで直観的には 82竜＞55角＞55香 の順ではないでしょうか。


後手からの厳しい手は79飛です。その対策で考えてみても、55香79飛の時に52香成や53香成ではちょっとぬるい感じです。
55角同馬同香ならばやはり79飛は厳しいのですが、52香成で王手飛車をねらい、78銀を取らせることで48金の筋は回避できます。
82竜ならば79飛には88竜です。
ひねって92竜もあって、後手に角を渡していないならば52成桂から金を入手して69金が間に合います。

どちらかの考え方で82竜などを見つけたら逆転できるのでした。