名南将棋大会ブログ 名古屋

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まずは将棋上達法則を見てください。

20160603今日の一手<その335>; 終盤の理論

2016-06-03 | 今日の一手

20160603今日の一手

5月8日の名南将棋大会から、MさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答
おまけのほうから。

実戦だと気が付かないものですね。71同竜同玉52金で詰めろ。

先手玉は詰まないのですが、後手玉はまだ受けの余地があります。(必至ではない)
61銀は82銀72玉81銀不成83玉93桂成

これは詰みますね。

83銀は82銀72玉81銀不成71玉73桂成

これで必至です。手数は長いですが難しくはありません。

気が付かないで91竜89飛成で問題図です。

☆ 形勢判断をします。
先手の金香得です。と金はありますが先手玉から遠いので先手の駒得は間違いありません。終盤ですから参考程度に思っておきましょう。
玉の堅さの比較は難しいですね。守備の金銀は2枚ずつですから、とりあえず同程度と見ておきます。
先手の攻め駒は91竜92金85桂と持ち駒銀香で5枚。十分です。
後手の攻め駒は89竜と持ち駒銀で2枚。

総合すれば先手有利です。

寄せ合いでは何手で詰めろになるかを数えたほうが正確です。
先手玉は78銀で詰めろですから現状は2手すき。後手玉は81金~71金で詰めろなので3手すき。手番は先手ですが、そのまま進めば負けですから、後手有利です。

大局観として

読み切れれば大局観は必要ないです。理論的に考えて
先手は攻防の手(先手玉が3手すきで後手玉は2手すきになる)か、受けて2手すきを4手すき以上にすることができれば有利(逆転する)です。
とりあえず受けて3手すきにすれば問題は先送りにできます。
あるいは1手ずつ進めて、先手玉が詰めろ(1手すき)後手玉が2手すきになったところで攻防(詰めろ逃れの詰めろ)の手か、受けて3手すきにできれば有利です。受けて2手すきにできれば問題は先送りできます。
一般的には早く受けたほうがよい(受けて4手すきにしやすい)です。

ということを理解できれば終盤が強くなっていきます。


△ 受けるのが正しいとは思ったのですが、普通は78銀ですね。

竜取りで逃げてもらえば4手すき以上になりそうですから、これが第一感です。でも79銀77玉88竜

これで銀を取られて無効だと思って切りすててしまいました。

でも79銀には69玉

これで耐えています。85竜79玉ならいいでしょう。

後手は78銀に85竜とすれば82歩

こういう展開は一応駒得ではあります。でも81は後手のほうが利きが多いので、形勢は何とも言えません。具体的には27と同金19香成でしょう。8筋をうまく攻める手段が見えないので難しいですね。

また、78銀に29竜48金

となれば、これは8筋から攻められるので少しわかりやすいかも。


× 受けるなら78銀なのですが、79香で銀を温存するのは88銀

これで香は無駄打ちです。でも最初から78香なら一応あるのでしょうか。自信はありませんが。


× 79銀は一応考えたのですが、87歩で受けにくいです。

これで88銀と打たれるのは防ぎにくく、78銀としても59銀77玉88竜

で銀を取られるのでだめです。


× 78銀は互角(ですが気が付かず)なのですが、攻める方も考えましょう。寄せのセオリーで、後手玉に迫る手から。73桂成は同銀

でなにもありません。これで78銀と受けてということは考えられますが、後手から82銀打と受けるのもあるので有効だとは思えません。


× 次は74歩ですが

85竜73歩成同銀でも

うまくいきません。放置して78銀でも難しいですし、これも無効でしょう。


× ということで守りの金を攻める82銀と打ったのが実戦の手順です。

でも銀を渡すことになりそうで、全く自信なしです。61金81銀不成78銀

これで詰めろ。56銀24角46桂(46歩もありそう)79竜

と進みました。78銀に56銀で詰めろは逃れたものの、後手は王手を交えつつ、詰めろが続くかどうかが問題です。多分銀を手に入れないと必至はかからないと思うのですが。
58玉67銀成同銀68金57玉59竜58香81銀同竜76銀

手数は長いのですが、銀を取ってほとんど必至がかかりました。(56銀打なら詰む?)でも後手玉が詰みそうです。73桂成52玉61竜42玉43銀同玉41竜33玉

どこから読み切ったか覚えていないのですが、32金と打って詰みだと読みました。でもここで43金と打ってしまって動揺しました。14玉まで追ってから17香に15角の移動合が詰まないように思えてわからなくなって、実は簡単に詰んでいたのですが負けました。
こういう時メンタルが響いてきます。多分4局目でブドウ糖が足りなくなって、思考の体力不足、勝ちだと読みを打ち切って安心したら動かなくなってしまいました。

後手から78銀が詰めろでも56銀と立ったのが詰めろ逃れ。詰めろがかからなくて3手すきになる受けの好手だということになります。銀を手に入れられると2手すきになるのですが、その時の形で、後手玉が詰めば勝ちです。

ところが問題があります。
後手は最初の82銀の時か81銀不成の時に銀を取って59銀と打てば

77玉で詰まないと思っていたら、86銀で簡単でした。私が気が付かなかったので、Mさんも気が付かなかったのでしょう。もちろん58玉は49銀同玉68銀成

で詰みますね。ですから銀を渡してはいけないのでした。


× 71の金を攻めるなら82金と使えます。

今度は金を渡してよいかどうかです。(71金が王手にならないので、82銀よりは1手遅くなりそうです。)
82同金同竜78金

58玉に49銀から尻金で詰みですね。金も渡してはいけません。


△ 82歩はさらに遅いのですが

78銀に58銀と受けることはできます。

79竜77玉67銀成同玉76金

角は取られても先手玉は寄らないので、56玉29竜48金の後、どうなるかまだこれからです。

あるいは78銀に56銀もあり

69竜57玉24角46香67銀成同銀68金56銀打59竜58銀打

どうにか耐えていそうです。でも81歩成からいくと金を渡してしまうので難しいですね。

また、82歩に85竜

というのもよくわかりません。
すべて含めて互角でしょう。


× 82歩よりは83歩としたいです。

速度は変わらないようですが、82歩成ならば駒を渡さないという違いがあります。83同銀に78銀と打って

これなら最初から78銀と打つよりも得をしているのではないでしょうか。

ただし83歩に78銀56銀24角46香83銀

これでも金を渡せば69竜から詰んでしまいます。56銀を58銀打に変えても詰みます。残念ながら工夫は実らず。


終盤の理論、すなわち
何手で詰めろになるかの計算
攻防の手や強力な受けで逆転する

ということがわかれば終盤が強くなります。強い人は言葉でまとめていないかもしれませんが、こういうことができているのです。
終盤を強くするためにはこれを理解することです。
そして、自分の棋譜やプロの棋譜を検討して、具体的に確認して身につけるのです。そして実戦で指せるようになれば完璧です。
詰め将棋や必至問題はそのための補助手段であり、それだけでは終盤の強化につながりません。

将棋の上達方法のまとめ(3)でも書いていますのでご確認を。


問題図では、78銀に56銀と立つのが強力な受けで、詰めろ(1手すき)が3手すき以上になります。でも78銀と打たないで金や銀を渡したら詰みがあるのでだめなんですね。
書きませんでしたが、最初から56銀は(57に逃げられるようにできるとは言え)あまり価値がなくて、どちらかの桂を取られてしまいます。

ということは正解は78銀ですね。形勢互角とはいえあまり自信はないのですが、仕方ないでしょう。

あるいは金銀を渡さない82歩も候補です。

実戦の流れで言えば、私が優勢な将棋を、おまけで書いた竜切りを逃して形勢は難しくなり、でも82銀に78銀が疑問手で、また私が有利になったということです。最後は詰みを逃して負けてしまいました。


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