名南将棋大会ブログ 名古屋

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20180703今日の一手(その717);シンプルな順から考える

2018-07-03 | 今日の一手

20180703今日の一手

3月4日の名南将棋大会から、OさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手1歩得ですが後手に持ち歩があり、成銀を作られています。銀→成銀では大差がないので互角と見ておきます。
玉の堅さは後手のほうが堅い(先手の桂を跳ねた穴熊はかなり薄い)ですが、先手玉は戦場からは遠いので互角と見ておきます。
先手の攻め駒は59飛77角46桂の3枚とも数えるかどうかは微妙ですが、持ち駒銀と合わせて4枚になるかもしれません。
後手の攻め駒は76成銀82飛で2枚。

総合すれば互角か先手もちか。

☆ 大局観として

先手が有利になるかどうかは攻め駒が4枚と言えるかどうかにかかっています。飛角金をさばいて後手玉を攻めることができれば有利です。
先手玉はかなり薄いのですが、まだ後手が攻めるには時間がかかります。

先手玉は金銀2枚の穴熊で桂を跳ねた(パンツを脱いだと表現されます)のでかなり薄いです。3枚穴熊で跳ねることはたまにあるのですが、2枚穴熊で跳ねるのは感心しません。寄せ合いになると危ないので注意して攻めましょう。


× 角が逃げるのが自然ですが88角は86飛

55金88飛成54金68竜

というのは先手不利です。


× 68角67成銀

というのもまずいでしょう。


△ ならば55角

駒損でもさばきに行くほうが良さそうです。55同銀同金58歩同飛67成銀

飛車を追われて縦に逃げるしかありません。56飛66成銀59飛68角58飛57角成

(最後の57角成では46角成などもあるか。)57同飛同成銀53歩


というのはどちらもまあまあ指せるというところでしょう。先手は駒損でも飛角をさばいています。


○ 55金とすると

金を取って総交換は先手がうれしいです。77成銀54金68成銀53歩

金の位置が一つ前に出ているのです。(55金が22角の射程にない、77成銀が当たりになっていたというのも先手のプラスです。)だから59飛は捨てて攻めていきます。59成銀52歩成同飛53歩同金61銀


という調子で攻めが続き、後手の59成銀がじゃま(9段目に飛車を打ち込まれない)なので先手有利です。

後手は飛車を取りに行かずに53歩と守ると

53同金同金直(53同金左は54歩)51銀

41金打42銀成同金51銀31銀42銀成同銀54歩52金53金

銀を金と換えてから攻め込めば受けにくくなっています。駒損ですが先手有利です。


× 55飛だと

55同銀同角同角同金66角

39角成~69飛(逆もある)を狙って後手優勢です。


△ 実戦は63銀と打ちこんで

63同銀と取ってもらえたので同歩成同金55角

55同角同金86飛44歩同歩43歩

駒損せずに角をさばき、攻めが続くのですから明らかに有利です。この後も調子よく攻めたのですが

この図で先手玉は詰めろではありません。52銀成から攻めていけば1手勝ちだったのですが、57歩38銀

受けたけれど受けになっていなかった(2手すきが1手すきになった)ので敗勢です。受ける持ち駒がありません。

63銀には77成銀

と角を取られます。54銀成68成銀49飛58成銀47飛56歩

56同金99角成63歩成同金同成銀86飛

というのは難しいです。先手が悪いということはないと思うのですが。


○ 工夫としては53歩で

53同金直55金77成銀54金

金に当たっているので68成銀が間に合いません。54同金同飛53歩34飛33歩35飛

反面では歩を渡したので飛車を追われるのですが、77桂と63歩成が残っているので先手有利です。

後手が最初の53歩を同金左と取っていると

52金の位置なので成銀取りと63歩成の両方を防がれてしまいます。だけど61銀に応対が難しく、51金63歩成61金53と

銀を捨てても と金を作れば攻め駒4枚、44歩も利く状態ですから攻めが切れません。

後手は1歩もらったので55金の時に同銀

と取る変化が有力です。角には逃げられてしまうのですが、55同角同角同飛54歩

先手で飛車を追えます(53金が52にあれば追われにくかった)。59飛66角71角86飛62銀

後手陣がしっかりしているようでも先手の攻めが続くようで、先手有利です。

ということはやはり最初の53歩を同金左にして

62銀には同金同角成52金打とするほうが後手の粘りが利きそうです。53同馬同金63金

で先手の攻めは切れないですが、どこかで48銀の攻め合いがくるので難しいかも。

蛇足ですが53歩同金直で55金ではなく55角

と攻めると55同銀同金58歩同飛67成銀

工夫してもこの攻め方は今一つです。


△ 軽く63歩成と捨ててみると

63同銀は55角で駒損になりません。63同金に55角

55同銀同金58歩69飛

今度は金当たりで飛車をかわせます。67歩くらいに44歩

というのは少し先手が指せそうです。

63歩成同金に55金だと

77成銀54金68成銀

(これは単に55金77成銀54金68成銀の時に63歩成としたのと同じことなのですが)63金59成銀は後手陣がすっきりしていて自信がないです。互角か後手もちか。


△ 44歩の突き捨ては

入るかどうか、得かどうかも怪しいところですが、44同歩は少し得です。44同角はどうなのでしょう。手抜きもあって77成銀同桂68角

しくじっている感じではありますが、49飛が幸便で44歩65桂

65同銀に55金

あるいは77角成45金

というのは結構難しいです。


× 69飛は63銀狙いですが

77成銀同桂87角

79飛56歩同金86飛

後手のほうが調子よいです。


☆ まとめ

方針は難しくなくて、後手の55歩を攻め駒として使いたい77角59飛46金のどれで取っていくか、その前に工夫するかというだけです。
だけど先手玉が薄いので普通の穴熊よりは神経を使います。金銀3枚の桂を跳ねていない穴熊ならば攻め駒3枚で切れない攻めを考える(できれば4枚にしたいが)のですが、この場合は反撃を食らわないように4枚での攻めを続けたいのです。

55飛55角55金、どれがいいかは少し考えてみるとわかりますが、55金がよろしい。
55金以下を読んでみるのがシンプルです。

工夫は53歩、63銀、63歩成くらい。53歩はちょっと得なのかもしれず、63銀は怪しくて、63歩成はもったいないという感じです。

当然ながら相手に選択の余地を与えない手順のほうがまぎれがないです。もちろんうまくいかなければ工夫するわけですが。
言葉を変えると、うますぎる順には注意せよと言いますね。なにか落とし穴があるかもしれません。


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