20170125今日の一手
1月7日の名南将棋大会から、KさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
歩歩と桂の交換です。持ち歩があるので歩をカウントせず、先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが大分堅いです。金銀3枚と1枚ですから。
先手の攻め駒は35角と持ち駒桂で2枚。
後手の攻め駒は73角1枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
84にいた角を73に引いて飛車取りです。銀は取れますが28角成とされるのでそんなことする人はいませんね。飛車取りをどう受けるかです。
駒得ですから長期戦になれば有利です。でも玉が薄いので苦労するのです。金銀が4枚バラバラですね。どうにか局面を収めて駒得を生かすのが課題です。
× 実戦は64歩で
普通なら好手になりそう。でも64同角同銀同銀
と進んだ局面がどうやら先手が不利なようなのです。歩歩歩銀と角桂の交換ですが、今度は歩切れ。駒得が広がったとも言いにくいです。
59銀と引きたいのですが36歩は嫌味(37歩成同桂36歩の筋)。46角は45歩、57角は55歩という調子で少し困っています。
実戦は86金と引いて、これも好手になりそうな手なのですが、75銀とぶつけられて金が逃げにくく、75同金同飛57角に58金
ハードパンチがありました。取れないので79玉57金同金39角66角
39角で決まったかと思ったら(58飛には67銀)角打ちの返し技がぴったり。後手としては39角ではなく67銀でした。
飛車の取り合いになりこういう図(28角成75角49飛88玉29飛成72飛42銀35桂64銀で52銀と打った仮想図)
52銀と打てば寄りでした。(35桂64銀の前に52銀でもよし。これがあるので後手は42銀では42銀打か。)実戦では52銀に気がつかず、86角77歩から受け身になり、後手Nさんの勝ち。
Kさんはなかなかよい手を指しているのですが、この局面ではうまくいきませんでした。
○ じっと18飛のほうがしっかりしていて
82角74歩64銀76銀
という具合で銀をかわしていけば後手に継続の手段が難しいところでした。駒を交換しないほうが良いのです。
途中66に銀を出られたら75桂
で返しておきます。74歩と飛車を抑え込んでいるなら66の銀を持ち駒の桂馬と交換でもよいでしょう。
戻って82角ではおとなしすぎで、64銀なら引くかどうか悩みますが、74に出て
どうでしょうか。どちらかといえば狙いは73銀成ではなくて63銀成です。
× 37歩はつまらない指し方で
手堅いようでも歩切れになります。66銀74銀に77歩
68金には34銀と角を追われてよい逃げ場所がありません。79金には67銀成ですし、取れば76歩の筋(77同桂に76歩、77同金同銀成同桂76歩)。
歩を使うと74歩と打てなくて困っているわけです。
○ 46角は危なさそうなのですが
46同角同歩66銀に74歩なら77歩
これはやはりうるさいです。取るしかなくて、77同桂に(76歩はないけれど)同銀成同金36桂18飛27角
駒得でも飛車を取られるのは嫌な感じです。ただし上に逃げてしまえばということはあるので難しいところ。
この場合は74歩よりも77歩のほうが手堅いです。
67角が怖いですが58角と合わせて
大丈夫。歩切れですか局面が落ち着けば後手陣に角打ちの隙ができてきそうな感じです。
○ さらに怖いのですが、37銀もあって
銀が死ぬ形ですが、75の銀も当たりです。すなわち36歩46銀45歩に74歩
82角75金46歩73銀
怖いことをしているようでも、飛車の横利きが通ったので案外大丈夫です。47歩成も単独では怖くないです。73同角同歩成同飛74銀
72飛には46角の味が良いので飛車を切って手があるかどうか、でも銀3枚だけでは遅いので、寄せ合いと入玉を見てどうにかなりそうです。
途中66銀と逃げられたら
74歩82角75桂
75同銀同金なら73銀と打ち込む筋です。
× 46歩は筋が悪いのですが、考える人はいないでしょう。
角を殺されても前の変化と同じように74歩82角75金と銀を取る変化ならまあまあ。この場合は74歩に64角で悪いです。(34歩74歩64角同銀同銀)
☆ まとめ
駒得は味が悪いもの。桂得でも守りの金銀が離れていくのですから危険が伴いました。(作戦負けになりそうだったので、桂を取って勝負、というのは行きがかり上仕方のないところだったのですが。)
変化を考える上では歩切れを避けておくのが大事なところ。74に歩を打つ変化にしたいのです。飛車を抑えてしまえばなんとか受けきることもできそうです。
条件が良ければ銀を取って73銀と駒得を拡大する、のではなくて、相手の攻め駒角を性能の悪い銀と交換する、攻撃力が低下するという狙いです。その後歩切れで(73同角同歩成同飛に)74銀とか質駒が増えるので飛車も切られて悪くならないか、本当に注意が必要です。
受けの形としては37歩では29桂が働くことが無くなるので18飛のほうがまだ良いです。25歩から縦に飛車を使えませんが、横利きを通して受けに利かせます。その後は59銀と引きたいです。
37銀は駒損になるようですが、1手で飛車の横利きが通るのが魅力。読んでみれば結構指せそうです。
46角と交換するのはあまりよくない気がするのですが、35の角は後手の攻めの目標になるので交換してしまうという考え方もあります。でも金銀がバラバラなので両取りの筋に注意が必要です。
1月7日の名南将棋大会から、KさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
歩歩と桂の交換です。持ち歩があるので歩をカウントせず、先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが大分堅いです。金銀3枚と1枚ですから。
先手の攻め駒は35角と持ち駒桂で2枚。
後手の攻め駒は73角1枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
84にいた角を73に引いて飛車取りです。銀は取れますが28角成とされるのでそんなことする人はいませんね。飛車取りをどう受けるかです。
駒得ですから長期戦になれば有利です。でも玉が薄いので苦労するのです。金銀が4枚バラバラですね。どうにか局面を収めて駒得を生かすのが課題です。
× 実戦は64歩で
普通なら好手になりそう。でも64同角同銀同銀
と進んだ局面がどうやら先手が不利なようなのです。歩歩歩銀と角桂の交換ですが、今度は歩切れ。駒得が広がったとも言いにくいです。
59銀と引きたいのですが36歩は嫌味(37歩成同桂36歩の筋)。46角は45歩、57角は55歩という調子で少し困っています。
実戦は86金と引いて、これも好手になりそうな手なのですが、75銀とぶつけられて金が逃げにくく、75同金同飛57角に58金
ハードパンチがありました。取れないので79玉57金同金39角66角
39角で決まったかと思ったら(58飛には67銀)角打ちの返し技がぴったり。後手としては39角ではなく67銀でした。
飛車の取り合いになりこういう図(28角成75角49飛88玉29飛成72飛42銀35桂64銀で52銀と打った仮想図)
52銀と打てば寄りでした。(35桂64銀の前に52銀でもよし。これがあるので後手は42銀では42銀打か。)実戦では52銀に気がつかず、86角77歩から受け身になり、後手Nさんの勝ち。
Kさんはなかなかよい手を指しているのですが、この局面ではうまくいきませんでした。
○ じっと18飛のほうがしっかりしていて
82角74歩64銀76銀
という具合で銀をかわしていけば後手に継続の手段が難しいところでした。駒を交換しないほうが良いのです。
途中66に銀を出られたら75桂
で返しておきます。74歩と飛車を抑え込んでいるなら66の銀を持ち駒の桂馬と交換でもよいでしょう。
戻って82角ではおとなしすぎで、64銀なら引くかどうか悩みますが、74に出て
どうでしょうか。どちらかといえば狙いは73銀成ではなくて63銀成です。
× 37歩はつまらない指し方で
手堅いようでも歩切れになります。66銀74銀に77歩
68金には34銀と角を追われてよい逃げ場所がありません。79金には67銀成ですし、取れば76歩の筋(77同桂に76歩、77同金同銀成同桂76歩)。
歩を使うと74歩と打てなくて困っているわけです。
○ 46角は危なさそうなのですが
46同角同歩66銀に74歩なら77歩
これはやはりうるさいです。取るしかなくて、77同桂に(76歩はないけれど)同銀成同金36桂18飛27角
駒得でも飛車を取られるのは嫌な感じです。ただし上に逃げてしまえばということはあるので難しいところ。
この場合は74歩よりも77歩のほうが手堅いです。
67角が怖いですが58角と合わせて
大丈夫。歩切れですか局面が落ち着けば後手陣に角打ちの隙ができてきそうな感じです。
○ さらに怖いのですが、37銀もあって
銀が死ぬ形ですが、75の銀も当たりです。すなわち36歩46銀45歩に74歩
82角75金46歩73銀
怖いことをしているようでも、飛車の横利きが通ったので案外大丈夫です。47歩成も単独では怖くないです。73同角同歩成同飛74銀
72飛には46角の味が良いので飛車を切って手があるかどうか、でも銀3枚だけでは遅いので、寄せ合いと入玉を見てどうにかなりそうです。
途中66銀と逃げられたら
74歩82角75桂
75同銀同金なら73銀と打ち込む筋です。
× 46歩は筋が悪いのですが、考える人はいないでしょう。
角を殺されても前の変化と同じように74歩82角75金と銀を取る変化ならまあまあ。この場合は74歩に64角で悪いです。(34歩74歩64角同銀同銀)
☆ まとめ
駒得は味が悪いもの。桂得でも守りの金銀が離れていくのですから危険が伴いました。(作戦負けになりそうだったので、桂を取って勝負、というのは行きがかり上仕方のないところだったのですが。)
変化を考える上では歩切れを避けておくのが大事なところ。74に歩を打つ変化にしたいのです。飛車を抑えてしまえばなんとか受けきることもできそうです。
条件が良ければ銀を取って73銀と駒得を拡大する、のではなくて、相手の攻め駒角を性能の悪い銀と交換する、攻撃力が低下するという狙いです。その後歩切れで(73同角同歩成同飛に)74銀とか質駒が増えるので飛車も切られて悪くならないか、本当に注意が必要です。
受けの形としては37歩では29桂が働くことが無くなるので18飛のほうがまだ良いです。25歩から縦に飛車を使えませんが、横利きを通して受けに利かせます。その後は59銀と引きたいです。
37銀は駒損になるようですが、1手で飛車の横利きが通るのが魅力。読んでみれば結構指せそうです。
46角と交換するのはあまりよくない気がするのですが、35の角は後手の攻めの目標になるので交換してしまうという考え方もあります。でも金銀がバラバラなので両取りの筋に注意が必要です。
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