飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

読書メモ(「相対性理論」の世界へようこそ)

2007-05-01 22:55:48 | 佐鳥新の教授&社長日記
著者の佐藤勝彦先生は「インフレーション宇宙」の提唱者として世界的に有名な方である。知的刺激が多くて非常に面白い書籍である。専門的知識は特に必要ないのだが、高校生以上の方であれば誰でも楽しく読めると思う。

1980年頃を思い返すと、1974年にホーキングが量子論的考察からブラックホールの蒸発を理論的に予言し、またその頃に量子重力理論を用いてワームホールという宇宙のトポロジー的現象によりスペースワープが可能であるという論文が「フィジカル・レビュー誌」に掲載された。確か図書館でコピーしたように記憶している。学生時代の私はその論文が宝物のように嬉しくてしかたがなかった。(今は青森の実家の段ボール箱の中で眠っていると思うが。)

1998年にはカリフォルニア工科大学のキップ・ソーンが「フィジカル・レビュー・レターズ誌」にタイム・ワープの論文を発表した。ホーキングがミンコフスキー空間(物質の存在しない四次元時空)から量子論的ゆらぎにより今の宇宙が生まれるという「宇宙創成論」を提唱したのも確か1980年後半だったのではないだろうか。


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書籍名:「相対性理論」の世界へようこそ----ブラックホールからタイムマシンまで
著者名:佐藤 勝彦
出版社:PHP文庫


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序章 相対性理論の世界へようこそ

第1章 特殊相対性理論の世界
時間は「みんなとがって、みんないい」
時空という概念の誕生

第2章 一般相対性理論の世界

新しい重力理論を目指して
重力による時間の遅れ

第3章 ブラックホールと相対性理論

ブラックホールの発見
ブラックホールの構造を探る

第4章 宇宙と相対性理論

重力レンズと重力波
宇宙の姿とその歴史

第5章 タイムとラベルと相対性理論

未来へのタイムトラベル
 ・時の流れの中を自由に泳ぎたい
 ・意外に簡単?な未来へのタイムトラベル
 ・宇宙飛行士が実感できるタイムトラベル
 ・未来へのタイムトラベルの「第二」の方法
 ・過去へのタイムトラベルはどうやって行なう?
 ・時間は未来から過去へとつながっている?
 ・過去へのタイムトラベルは因果律を破る
 ・なぜ未来からの観光客が現代を訪れていないのか?
 ・過去へのタイムトラベルを量子論が邪魔する?

過去へのタイムとラベル
 ・ワームホールを使ったタイムトラベル
 ・ワームホールとは何か?
 ・安定したワームホールを作るために
 ・ワームホールの二つの口に時間差を作る
 ・宇宙ひもを使ったタイムトラベル
 ・タイムマシン完成時より前の時代には戻れない
 ・過去を変えることは決してできない?
 ・人間の自由意志は本当に自由か?
 ・別の世界のもう一人の母親を殺した?
 ・量子論のコペンハーゲン解釈と多世界解釈
 ・本当に複数の並行宇宙は存在するのか?
 ・来たれ! 二十一世紀のアインシュタイン
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