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第387回 笑いのヨシモト-強さの秘密<旧サイトから>

2020-09-11 | エッセイ

 このサイトで「書きたい放題」を始めたのは、2016年2月です。その前の3年ほど(第153回まで)は、行きつけのスタンドバーのHPの一角をお借りしていました。ブログなんて初めてでしたから、試行錯誤の連続で(これは今も変りません)、不出来なものが多いのですが、私なりに思い入れがあったり、今でも面白く読んでいただけそうな記事もあります。

 それらを選んで、時々、当サイトで紹介することにしました。今時のテレビで流行りの○○選、○○SPのノリです。タイトルには<旧サイトから>の表示を付け、適宜、コメント、画像などを追加することにします。
 古くからの愛読者の皆様には「二度読み」になりますが、ご容赦いただき、どうか引き続きご愛読ください。

 それでは、<旧サイトから>の第1弾をお届けします。
 「芦坊の書きたい放題」としては、記念すべき(?)第1回(2013年2月)の記事です。 
 「笑いのヨシモト」のユニークな人材育成方法を話題にして、コンパクトにまとめました。こちらは、そのホームグラウンド「なんばグランド花月」です。

★★ 以下、本文です ★★

 今や全国区で、バラエティーの世界を席巻している吉本興業(笑いのヨシモト)。だいぶ前のことですが、そこの課長(当時)の講演会を企画したことがあり、個人的にもいろいろ面白い話を聞くことができました。

 中でも「へぇー」と思ったのが、マネージャーの育成方法です。
 ヨシモトでは、マネージャーは、タレントのカバン持ちとか雑用係ではなく、いわば商品としてのタレントを育て、売り込んで行く営業マンと位置づけられています。事実、タレントのカバンを持つことは禁じられているとのことでした。ですから、優秀なマネージャーを育てるのには、タレントを育てる以上に力を入れている訳です。

 で、新人教育として、なにがしかのタレントさんを担当することになるわけですが、新人、若手のマネージャーにあてがわれるのは、例えば、かつての「やすし・きよし」とか「さんま」級の人気大物タレントだという。ベテランとか、人気タレントとかには、ベテランのマネージャーを付けて、ソツなく、タレント本人にも気持ちよく、と我々なら考えます。

 そこは、笑いを商売にしつつも、関西で生き抜いて来た会社。発想がまるで違います。人気、ベテランタレントが、例えば、テレビ局などに収録に行った場合を想像してみてください。
 大物プロデューサーやディレクター、場合によっては、役員、局長級の人物が、そのタレントと会い、挨拶を交わし、雑談したりする機会は多いはず。マネジャーは、当然、同席することになりますから、タレントの力を借りて、強力な人脈を築くことができるわけです。
 一方で、タレントのほうにも、新米マネージャーに、業界の仕組み、しきたりなどを身をもって教え、キーマンを紹介するなど、育てる役割を担わせます。ヨシモト流のしたたかなやりかたです。

 さて、そうして人脈、実力を蓄え、ベテランとなったマネージャーにあてがわれるのは、若手、新人タレントです。そこで活きるのが、それまでに、営々と築いてきた人脈。 


 「ねえ、局長、うちにおもろい新人がいてまんねんけど、いっぺん使おてもらえまへんかなぁ。抱き合わせ(人気タレントとの共演)でもよろしいさかい(ので)」「う~ん、あんたの頼みやったらしゃーないなぁ、ほな、使おてみよか」
 う~ん、まあ、こんな会話がごく自然に交わされて、新人が売り込まれていくことになるんでしょうね。

 ベテランも含めたタレント全体が、本業だけでなく、若手のマネージャーを育成するという仕事 も引き受けるのが当然で大事なことだ、という価値観を共有できてこその仕組みです。     
 そして、マネージャーの側も、ベテラン、若手を問わず担当することを厭わず、その育成、売り込みに全力を傾ける・・・・そんな企業風土がしっかり根付いている「笑いのヨシモト」。強いはずです。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。

<追記>少し前ですが、お笑いの世界を話題にしました(第343回 笑いも世につれーさんま、たけし、タモリ論)。リンクは<こちら>です合わせてご覧頂ければ幸いです。

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