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第388回 和製英語でいこう-英語弁講座29

2020-09-18 | エッセイ

 英語弁講座らしからぬ大胆なタイトルを付けましたけど、和製英語って、何が不都合?な~んも問題ないんじゃないの、というのが趣旨ですので気軽にお付き合いください。 

 そこそこ英語ができる人には、目ざわり、耳ざわりな存在のようで、トーンがどうしても「上から目線」で「ひけらかし」調になります。
「芸能人などをタレント(talent)と呼ぶけど、これは「才能」って意味だからねっ」
「分野によっては、エンタテイナー(entertainer)とか言わないと英語として通じないわけよ。知ってた?」のように。
 
 だけど、和製英語は「英語」が由来ではあるが、「日本語」だと考えれば、ずいぶん話の筋道がスッキリするような気がします。現に、日本人同士だったら(まんま英語として通じないだろうなとは感じつつも)セクハラ、パワハラ、コンビニ、スーパー(マーケット)などの省略形を便利に使って、スピーディーに意思疎通してますからね。

 「テンションが高い、低い」という言い方も、気分の高揚の程度を表現する「日本語」としてすっかり定着しています。「朝からすごくテンション高いけど、どうしたの?何かいいことあったの」で何の誤解も生じません。
 ちなみに、英語のtensionは、本来、ヒモなどがピンと張った状態のことで、そこから、精神的な緊張、不安を意味します。と、つい「ひけらかし」調になってしまうのですが、話を先に進めましょう。

 で、相手が英語話者の場合がどうかということなります。当方(日本語話者)の英語レベルが低ければ、そもそも会話が成り立たず、「和製英語」が会話に入り込む余地はないはずです。
 それなりのレベルであれば、つい使ってしまって、ということはあるにしても、英語と英語でコミュニケーションが一応できるわけですから。以上、終わり・・・でもいいんですが、あまりにも手抜きですので、もう少しお付き合いください。

 「和製英語」(スティーブン・ウォルシュ 角川ソフィア文庫)という本があります。日本語にも堪能そうな著者が、日本の町の中から拾ってきた「和製英語」を取り上げて、その「英語」が英語話者にはどう聞こえるか、どう間違ってるか、そして、正しい「英語」でどう言うかを解説しています。

 通読してみて分かったのですが、日本人同士の会話の中に登場する「和製英語」がどうも著者をイラッとさせるようなのです。「あ~、そんな英語はない」「意味が分からん」「間違ってる」等々。

 先ほども書きましたように、「和製英語」って「日本語」ですからね、「もう少し「日本語」を勉強して」と言いたくもなるのですが、せっかくですので、彼のイライラに少しだけ耳を傾けてみましょう。

 まずやり玉にあがるのが、ヴァイキング(Viking)です。ホテルの朝食などでおなじみの定額食べ放題のシステムです。北欧の海賊の豪快な食事風景からの連想で名付けられたらしいのですが、日本的呼び方だろうとの推測はできます。英語だと、buffet(ブッフェ)または"eat all you can"
(食べ放題)がそれに相当するというのは、知っててもいいかもしれません。
 日本式に「バイキング」と発音して招待したら、biking(自転車ツーリング)の格好をして、相手が登場するかも知れませんよ、とのイヤミに笑ってしまいました。こちらと間違える人はいないと思いますけど。

 英語だと、"bar"(バー)とか"pub"(パブ(主に英国))に相当するものを、なぜか日本では、スナック(snack)と呼んでいます。英語では軽食、おやつという意味です。同僚の日本人たちとさんざん飲んだあとで、スナックに誘われた著者。飲んだあとに、なんで「軽食」に行くんだろうと不思議に思った経験が面白かったです。スナックって、いかにも通じそうな気がしますから。

 今はシェフ(chef)という本来の言い方が定着していますが、ホテルやレストランなどの料理人のことをコック(cock)と呼ぶ人がまだまだいそうです。でもこれはアブない英語です。
 「雄鶏」という意味もありますが、もっぱら男性性器を指す俗語で、いまやそちらの方が主流です。なので、雄鶏には"rooster"(ルースター)という言葉を当てています。
 日本人に連れて行かれたレストランで、「この店の「コック」を紹介する」と言われた時の著者の驚きぶりが目に浮かぶようです。

 和製英語のあれこれも、「知識として」知っておくのもムダではないかな・・・そんな感じでいいんじゃないでしょうか。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。

 <追記>当英語弁シリーズのタイトルは、以前の分も含め、内容タイトル、シリーズ番号の順に変更しました。引き続きご愛読ください。

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