A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記674 『Spring Snow - A Translation』

2012-12-16 23:53:41 | 書物
タイトル:Spring Snow - A Translation: Yukio Mishima
著者:Alison Turnbull
Japanese Translation by Kazuhiro Murayama
Designed by James Goggin / Practice
Japanese Typesetting by Miho Tanaka
発行:London : Book Works
発行日:2012.9
形態:152p ; 15cm
内容:
"Spring Snow: Mukashi-Banashi" Tony White
Spring Snow - A Translation
「春の雪・むかし話」トニー・ホワイト

購入日:2012年12月16日
購入店:YUY BOOKS
購入理由:
 三島由起夫の『春の雪』を色だけでトランスレートしたとてつもなく美しい1冊。「すべてが色で書かれた小説」とは、なんてアイデアなんだろう。
 お店の方より紹介して頂いて初めて知ったが、これぞ本屋でしか得ることができない経験だった。だから本屋通いはやめられない。

Collection 19 《no nukes》

2012-12-09 23:08:28 | 美術
タイトル:no nukes : philosophical toys
アーティスト:藤本由起夫

購入日:2012年12月8日
購入店:shopへなちょこ
購入理由:
 藤本由起夫によるphilosophical toysシリーズの1作。新作となる今回は石炭をパッケージ化している。石炭の物質感、黒の色味がかっこよく購入。もちろんただの石炭ではない。ケース内の底には小さく「no nukes」と書かれているのである。ウィットとユーモアのあるメッセージがすばらしい。

 なお、購入したshopへなちょこ及びworkroom*Aは、この日を持って閉店。東京から来てた時から大好きな場所だったので、閉店が残念でならない。今後は出張店舗として関西圏を中心に活動をしていくとのこと。数々のおもしろいグッズを紹介してくれたへなちょこに今後も足を運びたい。

Collection 18 《OP-TOY》

2012-12-08 23:58:11 | 美術
タイトル:OP-TOY
アーティスト:浅野孝之
サイズ:φ51mm×H13mm
購入日:2012年12月8日
購入店:shopへなちょこ
購入理由:
 浅野孝之の《OP-TOY》は、2年ほど前に出張で大阪に来た時にshopへなちょこで初めて見た。《OP-TOY》とは、穴あきの金属盤2枚を重ねて木の台にとめ、それを手で回すとわずかなズレからモアレ模様を楽しむことができるおもちゃである。手のひらでモアレが楽しめるのがおもしろく興奮した憶えがある。その時は、恥ずかしながら手持ちの現金がなく、買えなかったが、今回ようやく購入することができた。モアレは楽しい。

未読日記673 『MORITA TAKAO 1969 - 2012』

2012-12-06 23:48:46 | 書物
タイトル:MORITA TAKAO 1969 - 2012
著者・発行:森田孝夫
デザイン:岡田有祐
発行日:c2012
形態:56p ; 21cm
内容:
「森田孝夫の世界」永井隆則(美術評論家)
図版
 静物
 諧
 DOWN
 STORY
 POETICA
 UND
 WORDSWORTH
 Triangle
第2回教員作品展の作品解説から
おわりに
略歴

頂いた日:2012年12月6日
場所:ギャラリー恵風
 京都・ギャラリー恵風にて開催された「森田孝夫展」(2012年12月4日―12月9日)を見た際、作家の方より頂いた1冊。どうもありがとうございます。


未読日記672 『土偶・コスモス』

2012-12-02 20:25:37 | 書物
タイトル:土偶・コスモス
並列書名 : Dogū, a cosmos
編者:MIHO MUSEUM
アート・ディレクション:有山達也
デザイン:中島美佳(アリヤマデザインストア)
発行:東京 : 羽鳥書店
発行日:2012.9
形態:341p : 挿図, 地図 ; 25cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 平成24年9月1日-12月9日:MIHO MUSEUM
   主催: MIHO MUSEUM, 京都新聞社
   年表: p [14]
   参考文献: p259-262
   遺跡一覧: p264-268
定価:3,000円+税
内容:
土偶大集合
みみずく、遮光器、十字形、ハート形、河童形――縄文15000年の想像力
国宝3点・重要文化財21点を含む、土偶・土器、総数320点
現代人の魂を揺さぶる土偶のたくましい生命感に迫る
MIHO MUSEUM「土偶・コスモス展」公式カタログ
(本書帯より)

ごあいさつ
凡例
「土偶・コスモス」辻惟雄
遺跡地図
年表
第1章 土偶・コスモス
 1 縄文土偶――物語性の造形
 2 五体を揃え、女性らしくなる土偶
 3 壊された土偶
 4 さまざまなポーズ、異形のものたち
 5 意味を持つ数
 6 多様化する土偶と遮光器土偶の展開
 7 西日本の土偶
 8 縄文ランドスケープ“大湯環状列石”
 9 ストーンサークルと「第二の道具」
 10 縄文に魅せられた現代文化人
第2章 数字からみる土偶
 1 土偶の種類
 2 出土状況
 3 出土点数
 4 大きさ
 5 壊れ方
 6 色彩
第3章 土偶の世界
 1 「縄文土偶の誕生、そして大変身」小林達雄
 2 「縄文文化における数の観念」西田泰民
 3 「西アジアの土偶:シリア~パレスチナを中心に」泉拓良
 4 「現代の土偶現象」ニコル・クーリッジ・ルーマニエール
参考文献
遺跡一覧
出品目録

購入日:2012年12月2日
購入店:MIHO MUSEUM
購入理由:
 縄文土偶の展覧会がどれほど開催されているのか知らないが、この展覧会は最高だった。もはや考古学や美術などのジャンル分けがいかにくだらないかが思い知らされた。一般的に考古学系の展覧会は教科書的、アカデミックな内容で、あまり食指が動かない。だが本展は違った。これほどエンタテインメント性がありつつアカデミックな展覧会ができるとは、ただただ賛嘆する。

 それもそのはず、本展は2009年から2010年に東京国立博物館で開催された「国宝 土偶展(The Power of Dogu)」の企画者で、世界で初めて縄文土偶の展覧会を行なったニコル・クーリッジ・ルーマニエールが手がけているからである。公式カタログである本書に収録された論文では、現代の土偶現象を日本の漫画、蓑虫山人、川端康成、岡本太郎などのエピソードを紹介し、日本人の私でも知らなかった土偶表象の変遷を教えてくれる。恥ずかしながら蓑虫山人のことは初めて知ったが、すごい人がいるものだと知的好奇心を刺激された。

 本書の作品撮影は、かつて土門拳の助手を務めていた藤森武が手がけている。本書の藤森の写真は、土門拳の「古寺巡礼」シリーズを想起するようなすばらしいクオリティである。黒バックによる作品写真というのは、通常の考古学系図録ではありえないだろうが、アートとして縄文土偶を捉えている心意気が伝わってくる。デザインも地味な考古学・歴史系図録の通念を破るスタイリッシュな内容で痺れる。これがデザインの仕事である。

 展覧会の内容について触れるとキリがないが、「2 五体を揃え、女性らしくなる土偶」に展示されていた小型土偶がクッキーに見えて仕方なかった。とても15000年前とは思えない焼っぷりがすばらしい。「3 壊された土偶」は、HANARARTで展示して頂いた菅原布寿史さんの絵画、シルクロードの破損・損壊した洞窟壁画を思い起こした。破壊された美しさにただただ圧倒される。欠片ひとつまで存在感があり、縄文のすごさに圧倒される。