今週末に収獲した展覧会チラシの報告より。
会期としては秋にまたがっているものも多く、芸術の秋待ちどおし。
○木村崇人展 森を遊ぶ
2008年6月14日(土)-7月15日(火)
すみだリバーサイドホール・ギャラリー
花、樹木などの植物をテーマとした展覧会は仕事柄魅かれるのだが、この展覧会はどうだろうか。やや遊びすぎている気がしないでもない・・。
○仕事部家+探訪 Open Atelier Project 2008 summer
2008年7月19日(土)-7月27日
町田・相模原の各アトリエ
おもしろい企画だが、車がないと行かれない場所ばかりで行くのが困難。
仕事部家+探訪URL;http://oap2008.com/
○写世術/photo projects vol.2:Dwelling 勝又邦彦
2008年7月3日(木)-7月27日(日)生活工房ギャラリー
2008年7月21日(月・祝)-7月27日(日)世田谷美術館区民ギャラリー
世田谷在住の若手写真家を紹介するシリーズ第2弾。第1弾は残念ながら見逃してしまったが、今度は見に行きたい。勝又氏の作品は2002年に東京国立近代美術館で行なわれた<写真の現在2-サイト-場所と光景>展に出品していたのを憶えている。今回のチラシを見ると、夕景や夜景を捉えたものが多く、その(薄)闇に刻印された光を見てみたいと思う。
○伊東孝志展 刻跡
2008年7月16日(水)-8月2日(土)
秋山画廊
現代美術に造詣がないもので、今回初めて名前を知った。写真だろうか。水溜りの写真が美しい。ちなみに、秋山画廊は近くに地下鉄副都心線北参道駅が開業したため、徒歩2分ととても行きやすくなった。
○アトミックサンシャインの中へ 「日本国平和憲法第九条下における戦後美術」
2008年8月6日(水)-8月24日(日)
代官山ヒルサイドフォーラム
出品作家:ヴァネッサ・アルベリー、アローラ&カルサディーラ、コータ・エザワ、エリック・ヴァン・ホーヴ、松澤宥、森村泰昌、大浦信行、オノ・ヨーコ、下道基行、照屋勇賢、柳幸典
キュレーター:渡辺真也
終戦記念日をはさんだ時期に行なわれる日本国平和憲法第九条とそれに反応した日本の戦後美術を検証する展覧会。日本人の参加作家の名前を見ると、だいたい想像がついてしまうのが物足りない。どうせなら中沢新一と太田光のトークショーをやればいいのでは?と思ったりする。ちなみに、キュレーターの渡辺氏は1980年生まれだという。その若さでこの企画とは渋い。
○土-大地のちから
2008年6月28日(土)-8月31日(日)
群馬県立館林美術館
美術作品の素材に着目する「素材との対話シリーズ」第3弾。「紙」、「木」を経て、今回は「土」である。近年流行りのワンテーマ、オールジャンル・ヒストリーで縄文から現代まで、縄文土器、タイル、土管、土人形、現代美術など「土」の素材としての魅力を紹介するもの。もう少し行きやすい場所なら行くのにと思うが、いつかこの美術館には行ってみたい。
○没後5年 宮脇俊三と鉄道紀行展
2008年7月12日(土)-9月15日(月・祝)
世田谷文学館
これはすごいポテンシャルをもった企画展だと思う。国鉄全線を乗りつくした『時刻表2万キロ』、国鉄線の最長片道ルートに挑戦した『最長片道切符の旅』や『時刻表昭和史』など、書名と内容を見るだけで鉄道旅好きの心がくすぐられる宮脇俊三の展覧会。また、この展覧会のチラシがすばらしい。A4判見開きサイズで、『時刻表2万キロ』全線完乗地図が使われているのである。地図好きとしてこれは尊敬を越えて神の域である。地図を自分のものにするとは、こういうことをいうのだろう。だが、展覧会としては、中高年ターゲットな内容・関連イベントが物足りない。宮脇俊三を入り口として、広く世界の鉄道紀行へと繋げていくような内容だったらストライクだったのに。行こかやめよかどうしよう・・。
○生誕100年 川喜多かしこ展
第1期2008年7月25日(金)-9月28日(日)
第2期2008年10月7日(火)-12月26日(金)
東京国立近代美術館フィルムセンター展示室
日本映画界において東和商事映画部(のちに東和映画、東和、現在の東宝東和)を率いた川喜多かしこの業績は日本文化の向上において偉大なる足跡を残している。外国映画の輸入・配給だけでなく、日本映画の海外への紹介、東京国立近代美術館フィルムセンター、川喜多映画文化財団の設立にも貢献するなど、映画文化の向上に傾けたその仕事は、日本映画が国際映画祭においてひとつの位置を占めるに至った現在ほど回顧される意味があるだろう。
また、関連企画上映会<生誕100年 川喜多かしことヨーロッパ映画の黄金時代>のラインナップの豪華さ。詳しくは該当チラシを手に入れてから述べたいが、ひさびさに興奮する特集上映なのである。映画というものが製作者たちだけでなく、輸入・配給を手がける人びとによっても作られているという事実にただただ感謝したくなるすばらしい企画である。夏はフィルムセンターに通います!
○「版」の誘惑展
2008年7月5日(土)-9月28日(日)
名古屋市美術館
○タイムスケープ もうひとつの時間
2008年8月8日(金)-10月5日(日)
愛知県美術館
○液晶絵画 STILL / MOTION
2008年8月23日(土)-10月23日(月)
東京都写真美術館
出品作家:森村泰昌、やなぎみわ、千住博、鷹野隆大、小島千雪、ブライアン・イーノ、ジュリアン・オピー、サム・テイラー=ウッド、イヴ・サスマン、ヤン・フードン、チウ・アンション、ドミニク・レイマン、ミロスワフ・バウカ、ビル・ヴィオラ
三重県立、国立国際と巡回した展覧会の東京巡回展。東京展では同時期に行なわれているフェルメール展を意識してか森村泰昌の『フェルメール研究(振り向く絵画)』(2008)の画像がチラシに使われている。フェルメール好きの人たちを取り込もうという戦略なのか・・。
映像・ビデオをテーマとした展覧会は今さらという感じもなくもないが、「液晶絵画」というキーワードを設定したのは秀逸なアイデア。映像をエレクトロニクスの一技術である液晶ディスプレイのフレーム上に立ち現われる絵画と位置づけると、いままでのスクリーンという距離感とは違った印象を受けるかもしれない。
やや80年代テイスト?な気がするのは建畠氏が企画に参加しているからなのだろうか。現代の動向はICCの畠中実氏がフォローしているのだと思いたい。あまり詳しくないのでわからないが、このような映像系の展覧会は輸送費などほとんどかからないと想像するのだが、日本であまり見られない作品をどどんとやってくれないかと思う。結局見れる環境がないと日本のアート系映像作品・メディアアート、批評も成り立たないだろうと思う。
○メモリア まなざしの軌跡
2008年7月19日(土)-10月19日(日)
熊本市現代美術館
出品作家:新興熊本大博覧会、アナザーマウンテンマン、レオニード・ソコフ、カンディダ・へーファー、チェン・ジエレン、ピーター・ローゼル、イヴォンヌ・リー・シュルツ、千々岩修、須田悦弘、マリエッラ・モスラー
記憶や体験の継承をテーマとした現代美術展。茂木健一郎のクオリアとは何の関係もないと思う。熊本という地でこんなにもハードコアな現代美術展が成立することに戦慄を感じるが、おもしろい企画だと思う。カンディダ・へーファーの写真作品「ザンクトガレン修道院図書室Ⅰ」(2001)がチラシ表面に使われ、圧倒的な印象を残す。熊本行きたい・・。
会期としては秋にまたがっているものも多く、芸術の秋待ちどおし。
○木村崇人展 森を遊ぶ
2008年6月14日(土)-7月15日(火)
すみだリバーサイドホール・ギャラリー
花、樹木などの植物をテーマとした展覧会は仕事柄魅かれるのだが、この展覧会はどうだろうか。やや遊びすぎている気がしないでもない・・。
○仕事部家+探訪 Open Atelier Project 2008 summer
2008年7月19日(土)-7月27日
町田・相模原の各アトリエ
おもしろい企画だが、車がないと行かれない場所ばかりで行くのが困難。
仕事部家+探訪URL;http://oap2008.com/
○写世術/photo projects vol.2:Dwelling 勝又邦彦
2008年7月3日(木)-7月27日(日)生活工房ギャラリー
2008年7月21日(月・祝)-7月27日(日)世田谷美術館区民ギャラリー
世田谷在住の若手写真家を紹介するシリーズ第2弾。第1弾は残念ながら見逃してしまったが、今度は見に行きたい。勝又氏の作品は2002年に東京国立近代美術館で行なわれた<写真の現在2-サイト-場所と光景>展に出品していたのを憶えている。今回のチラシを見ると、夕景や夜景を捉えたものが多く、その(薄)闇に刻印された光を見てみたいと思う。
○伊東孝志展 刻跡
2008年7月16日(水)-8月2日(土)
秋山画廊
現代美術に造詣がないもので、今回初めて名前を知った。写真だろうか。水溜りの写真が美しい。ちなみに、秋山画廊は近くに地下鉄副都心線北参道駅が開業したため、徒歩2分ととても行きやすくなった。
○アトミックサンシャインの中へ 「日本国平和憲法第九条下における戦後美術」
2008年8月6日(水)-8月24日(日)
代官山ヒルサイドフォーラム
出品作家:ヴァネッサ・アルベリー、アローラ&カルサディーラ、コータ・エザワ、エリック・ヴァン・ホーヴ、松澤宥、森村泰昌、大浦信行、オノ・ヨーコ、下道基行、照屋勇賢、柳幸典
キュレーター:渡辺真也
終戦記念日をはさんだ時期に行なわれる日本国平和憲法第九条とそれに反応した日本の戦後美術を検証する展覧会。日本人の参加作家の名前を見ると、だいたい想像がついてしまうのが物足りない。どうせなら中沢新一と太田光のトークショーをやればいいのでは?と思ったりする。ちなみに、キュレーターの渡辺氏は1980年生まれだという。その若さでこの企画とは渋い。
○土-大地のちから
2008年6月28日(土)-8月31日(日)
群馬県立館林美術館
美術作品の素材に着目する「素材との対話シリーズ」第3弾。「紙」、「木」を経て、今回は「土」である。近年流行りのワンテーマ、オールジャンル・ヒストリーで縄文から現代まで、縄文土器、タイル、土管、土人形、現代美術など「土」の素材としての魅力を紹介するもの。もう少し行きやすい場所なら行くのにと思うが、いつかこの美術館には行ってみたい。
○没後5年 宮脇俊三と鉄道紀行展
2008年7月12日(土)-9月15日(月・祝)
世田谷文学館
これはすごいポテンシャルをもった企画展だと思う。国鉄全線を乗りつくした『時刻表2万キロ』、国鉄線の最長片道ルートに挑戦した『最長片道切符の旅』や『時刻表昭和史』など、書名と内容を見るだけで鉄道旅好きの心がくすぐられる宮脇俊三の展覧会。また、この展覧会のチラシがすばらしい。A4判見開きサイズで、『時刻表2万キロ』全線完乗地図が使われているのである。地図好きとしてこれは尊敬を越えて神の域である。地図を自分のものにするとは、こういうことをいうのだろう。だが、展覧会としては、中高年ターゲットな内容・関連イベントが物足りない。宮脇俊三を入り口として、広く世界の鉄道紀行へと繋げていくような内容だったらストライクだったのに。行こかやめよかどうしよう・・。
○生誕100年 川喜多かしこ展
第1期2008年7月25日(金)-9月28日(日)
第2期2008年10月7日(火)-12月26日(金)
東京国立近代美術館フィルムセンター展示室
日本映画界において東和商事映画部(のちに東和映画、東和、現在の東宝東和)を率いた川喜多かしこの業績は日本文化の向上において偉大なる足跡を残している。外国映画の輸入・配給だけでなく、日本映画の海外への紹介、東京国立近代美術館フィルムセンター、川喜多映画文化財団の設立にも貢献するなど、映画文化の向上に傾けたその仕事は、日本映画が国際映画祭においてひとつの位置を占めるに至った現在ほど回顧される意味があるだろう。
また、関連企画上映会<生誕100年 川喜多かしことヨーロッパ映画の黄金時代>のラインナップの豪華さ。詳しくは該当チラシを手に入れてから述べたいが、ひさびさに興奮する特集上映なのである。映画というものが製作者たちだけでなく、輸入・配給を手がける人びとによっても作られているという事実にただただ感謝したくなるすばらしい企画である。夏はフィルムセンターに通います!
○「版」の誘惑展
2008年7月5日(土)-9月28日(日)
名古屋市美術館
○タイムスケープ もうひとつの時間
2008年8月8日(金)-10月5日(日)
愛知県美術館
○液晶絵画 STILL / MOTION
2008年8月23日(土)-10月23日(月)
東京都写真美術館
出品作家:森村泰昌、やなぎみわ、千住博、鷹野隆大、小島千雪、ブライアン・イーノ、ジュリアン・オピー、サム・テイラー=ウッド、イヴ・サスマン、ヤン・フードン、チウ・アンション、ドミニク・レイマン、ミロスワフ・バウカ、ビル・ヴィオラ
三重県立、国立国際と巡回した展覧会の東京巡回展。東京展では同時期に行なわれているフェルメール展を意識してか森村泰昌の『フェルメール研究(振り向く絵画)』(2008)の画像がチラシに使われている。フェルメール好きの人たちを取り込もうという戦略なのか・・。
映像・ビデオをテーマとした展覧会は今さらという感じもなくもないが、「液晶絵画」というキーワードを設定したのは秀逸なアイデア。映像をエレクトロニクスの一技術である液晶ディスプレイのフレーム上に立ち現われる絵画と位置づけると、いままでのスクリーンという距離感とは違った印象を受けるかもしれない。
やや80年代テイスト?な気がするのは建畠氏が企画に参加しているからなのだろうか。現代の動向はICCの畠中実氏がフォローしているのだと思いたい。あまり詳しくないのでわからないが、このような映像系の展覧会は輸送費などほとんどかからないと想像するのだが、日本であまり見られない作品をどどんとやってくれないかと思う。結局見れる環境がないと日本のアート系映像作品・メディアアート、批評も成り立たないだろうと思う。
○メモリア まなざしの軌跡
2008年7月19日(土)-10月19日(日)
熊本市現代美術館
出品作家:新興熊本大博覧会、アナザーマウンテンマン、レオニード・ソコフ、カンディダ・へーファー、チェン・ジエレン、ピーター・ローゼル、イヴォンヌ・リー・シュルツ、千々岩修、須田悦弘、マリエッラ・モスラー
記憶や体験の継承をテーマとした現代美術展。茂木健一郎のクオリアとは何の関係もないと思う。熊本という地でこんなにもハードコアな現代美術展が成立することに戦慄を感じるが、おもしろい企画だと思う。カンディダ・へーファーの写真作品「ザンクトガレン修道院図書室Ⅰ」(2001)がチラシ表面に使われ、圧倒的な印象を残す。熊本行きたい・・。