A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

TOUCHING WORD 058

2008-07-25 22:58:04 | ことば
優れた小説は、人生で何があっても生きていく力を与えてくれると思うんです。リストラされても大丈夫みたいなね。
 物語の力、「物語力」がない人って、逆境に弱い気がする。どんなにひどいことにあっても、必ずどこかの小説に書いてありますから。その中でどう主人公が生きていくか、そこまで含めて書いてある。人生でこういうことが起こりうるんだと、全部物語に書いてある。逆境の中で生きていく力を磨く、そのひな型は、物語の中にある。だから物語を知っているほど打たれ強い。


本はもともと木。人間って木を触っていると安心する。本を読むって木に触っているようなものですからね。
(「茂木健一郎さんに聞く」毎日新聞2008年7月23日朝刊)

「物語」が人を強くしてくれる。いくつもの「物語」を生きることで、生きていく力が与えられる。なんてことを膨大な未読本を前にしている私が言うのはおかしな話なのでやめよう。しかし、厚さ1~3cmの紙のかたまり、インクが紙に載っただけの書物が与えてくれるものはあまりに大きい。だが、誤解のないようにいうが、私は本を逆境に強くなるためや、教養や知識を身につけるために読んだことはない。木に触れるように本を読んできただけだ。書物の森は私の日々の植林のせいか、その範囲を広げているが、いまだ名前の知らない木が多く当分木々の間を散策しなければならないだろう。