A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

TOUCHING WORD 076

2009-01-16 22:44:21 | ことば
平田草悠

草月流いけばな1級修業証より(2009年1月14日受取)

 だらだらと続けていた草月流いけばなのテキストも昨年10月に修業し、1級証を申請していたところ、つい先日、雅号とともに修業証をいただいた。
雅号は自分でも選べるとは事前に聞いてはいたが、私は決めなかった。
 自分の中にない名前を人から与えられたかったからだ。
それに、名前にしろ、愛称にしろほとんどつけるのは他人である。
俳句や絵の世界では、自分でつける人もいるし、それはそれでかまわないのだが、
「名前とは他者から与えられるものである」という考えが私の中にあり、自分で決めたくなかったのだ。
そこで、私に与えられた雅号は、「草悠」という。
たった漢字2字を見ただけで、とても心がこもっている名だとわかったし、なにより「悠」の字があったことに、そうか、そういうことか、と腹に落ちるものがあった。
 そこで「悠」の意味をあげよう。

[音]ユウ(イウ) [訓]はるか
1.時間的・空間的に、どこまでも続くさま。はるか。悠遠、悠久
2.気分がゆったりしているさま。悠然、悠長、悠揚、悠々自適

 まさに、この1字に私がこうありたいと考えている思考が込められているではないか。だが、残念ながら、この字は私の頭からは出てこなかっただろう。他者が名づけるからこそ、私にとって気づくことのできた字である。
 ちなみに、「草」は以前から植物も漢字も好きだった。今回あらためて気づいたことだが、「草」は名詞の前に付くとアマチュアを表すのだ。例えば、「草野球」「草競馬」などと。本格的なプロとは違い素人の遊びだと思われるかもしれない。だが、「草野球」と聞いたときの、あの自由さ、ユルさはどうだろう。適度な緊張感と試合後の酒目当てなユルさはすばらしい。それこそ私が求めているものだ。草いけばな、草批評、草研究‥なんだかバカみたいだが、急にアウトドアな感じがしてくるから不思議だ。今年は草人生でいこう。