前から気になっていたことがある。
それは「よしんば」という言葉の使い方だ。
「よしんば」という言葉のイントネーション、響きが魅力的だった。
「よしんば」というバンドがあることを知ってから、さらにこの言葉に興味が湧いた。
たまたま、セルバンテスの『ドン・キホーテ』を読んでいたら、その言葉を見つけたので引いておく。
「よしんばそれが事実に反していたところで、また知ったかぶりをしたがる連中や青くさい学士連が、その信憑性を問題にして君に食ってかかったり陰口をたたいたりしたところで、一切とりあう必要はない。だって君、いくら連中が君のいかさまをあばいたところで、それを書いた君の手が切断される気づかいなどないんだからね。」
(p.17 ドン・キホーテ 前篇(一)/セルバンテス作、牛島信明訳、2001年1月)
一応「よしんば」を辞書でひいてみた。
よしんば[縦しんば]副詞
<後ろに仮定の言い方を伴い>たとい。よしや。
(「岩波 国語辞典」より)
よしんばこの言葉が、興味を持たれていなくとも、私にとってこの言葉の魅力はいささかも衰えないだろう。