
筆者は、7月15日、佐渡汽船の両ターミナルに自動改札機が導入されて以来、初めてジェットフォイルに搭乗してみた。新潟港からの搭乗だった。自動改札機は乗船券のバーコードを読み取り、それが搭乗便と一致していれば、ゲートが開く仕組みであったが、センサーの感度が鈍く、首都圏のスイカのようにスイスイとゲートが開く訳ではなく、やや遅れがちに開く感じであった。性感感度の鈍い女と同様で改良の余地がありそうである。新潟港ターミナルの改札機を通る際、筆者は左手前方に、「ご不用となった切符はこの箱にお入れ下さい」と書かれた紙が貼られた箱が置かれているのに気付いた。案の定、両津港に到着したら、下船口の改札部分には自動改札機は設置されておらず、依然と同じように切符を持参したままスルーで通過できた。筆者は、何故、下船口改札にも自動改札機を設置しないのか不思議に思った。「この下船口改札には、ジェットフォイルやカーフェリー利用客以外の人は通過しないので乗船券の確認は不要なのでは」と皆さん思っているかもしれないが、それはジェットフォイルの利用客に関してだけ言える事で、カーフェリーとなれば話は別である。どういう事なのかを以下に解説してみよう。
ジェットフォイルは、一旦搭乗したら、航行中は船外に出られない上、降船後は係員が船内をくまなく点検するので、乗船客全員の降船を確実に確認できる。だが、カーフェリーでは、航行中に乗客が海中に転落して行方不明になる事故が起こり得るが、乗船客全員の降船を確実に確認できる方法はこれまでなかった。実際、過去に航行中に行方不明者が発生した事例があり、海上保安庁の巡視船が捜索に向かったと言う報道を耳にした読者はいると思う。それは、行方不明者を港まで迎えに来た関係者が、一向に当該者が改札口から出て来ないのを不審に思い、佐渡汽船側に問い合わせて発覚した。それゆえ、下船口改札にも自動改札機を設置して降船客数を把握し、かつ乗船客数のデーターを事前に乗船港から到着港に電送させて置き、乗船客数と降船客数の一致の有無を判定出来るシステムを構築しておけば、カーフェリーが航行中に行方不明者が発生しても、その素早い把握が可能になる。さすれば、行方不明者の捜索にかかる初動時間が早まるので、救出の確立が高まる可能性が出て来る。行方不明者の家族からの捜索依頼が丸一日経過してから出される場合もあり得るので不明者の捜索活動は一刻でも早く開始した方がいい。ただ、自動改札機を通過して乗船した客が船内でたまたま知り合った航送者の車に便乗して降船した場合は、乗船客数と降船客数が一致しなくなるが、そうしたケースは、事前に船内係員に申し出るように徹底しておけばよかろう。佐渡汽船は、自動改札機の増設に関わる費用負担やデーター連絡の煩雑さ、及び降船客の改札口での流れが渋滞するのを嫌ったのかもしれないが、乗船客を安全にかつ遅滞なく目的地まで運ぶのが運航管理者たる佐渡汽船の責務ではないだろうか?当該船舶の乗船客数と降船客数の把握、並びにそれらが一致しなかった時の対処法を社内で議論し、マニュアル化しておくのが急務ではないだろうか?既に議論を重ね、結論として、下船口の自動改札機設置は不要と判断したのかもしれないが。。。安全対策に関わる費用や手間を惜しむような会社では将来必ず事故が起きる。転ばぬ先の杖として強く主張しておきたい。せっかく自動改札機を設置しながら、その役割が人員削減だけに向けられ、肝心の乗客の安全と生命保持の側面が見逃されている現実に、何故佐渡市や佐渡島民からそれを指摘する声が上がって来ないのか非常に不思議である。その人員削減に関してもまだまだ不十分である。何故なら、7月16日に、一等特等共に満席のカーフェリーに乗船したところ、両津港のカーフェリー乗船ゲートは2か所開いていたが、ゲートが開かないなどのトラブル処理係りを2名も配置していたからだ。慣れた人一人を配置すればそれで充分であろうに。