佐和田から国道を南下すると、真野の四日町あたりで左手に大願寺と書かれた石碑を見つけるはずだ。ここを左折して200メートルほど行くと、左手に屋根が茅葺きで朱塗りの山門が見える。これが大願寺だ。山門の屋根の部分の彫刻に細かい技が仕込まれているそうだが見逃してしまった。古い建築物に対しては細部に渡る観察が欠かせない。夏から秋にかけてならば、境内の芝生と百日紅(さるすべり)の花の紅色が心に残る風景となろう。
この寺は連歌の寺として有名らしい。「大願成就」を連想させる寺なので、受験生の参拝も多い。そのために境内には天満宮があるそうだ。山門が赤門だから、同じ赤門がある東大を目指す受験生の総本山だろうか?又2002年にはこの寺の鐘楼が「行く年来る年」で放映されたのでその映像をご記憶の方も多いと思う。ここの住職は仏教系の大正大学で教鞭をとった事があり、時々その大学の公開ゼミがこの寺で催される。所謂学問寺である。
ま、この寺で面白そうなネタと言えばこのくらいだが、もし住職にお会いできていたらもう少しコンテンツに膨らみが出たと思う。ところで、このお寺の宗派は時宗であり、宿根木の称光寺と同じだ。時宗の僧侶は諸国を布教して歩き、その教えに帰依する者を引き連れて旅した。そして適地に来ると、そこに教団を滞留させ総本山を築いた。こうしたいわば救民宗教は、当時の不安定な社会においては人心安定のために領主達の望むところであり、佐渡の領主本間氏も彼らを手厚く持て成して帰依したという。