

2015年の1月下旬、筆者は愛車を車検に出すべくBMWのディーラーへ車を持ち込んだ。数日後ディーラーから電話があり、「点火系統が弱っているため交換修理に100万円ほどかかる」との事だった。2015年の年末頃に新車に買い替える予定となっていたので、1年間の安全走行のために止む無く100万円を支払った。だが、筆者は考えた、「主に一人で使用する車に7シリーズのような高級ラグジュアリーサルーンは必要だろうか?」と。
その時、昨年10月頃に本屋で立ち読みをした「ウオモ」に、かっこいい実質二人乗りのBMWの新モデルであるi8の写真が掲載されているのを思い出した。その雑誌を見た時は、「この車は自宅に充電設備が必要」との記載があったため、充電設備のないマンションに住む筆者には無用の長物と思い購入を諦めた経緯があった。実際、新宿のBMW販売店に問い合わせたら、電話応対に出た店員は「i8は二日に一度くらい充電しないとバッテリーが上がってしまい車が壊れて乗れなくなります」と誤った返答をした。たとえBMW販売店の店員であっても、ガソリン車以外の車となると、それに関する知識がいかに乏しいかを露呈した格好だった。BMWの店員でもその程度の知識しかないのだから、一般の人のi8に対する理解度は推して知るべしであろう。断っておくがi8はPHV(プラグインハイブリッド)カーであり基本的に充電の必要はない。通常のハイブリッドカーは、ガソリンエンジンを回して発電した電気を蓄電し、それを電池モーターへ供給し、動力源として電気も使用するため、ガソリン使用料を減らし低燃費を実現するエコカーであり、充電の必要はない。だが、ガソリン車に比べ車両価格が割高で、かつ車の重さが駆動系に負担を与えると言う欠点がある。プラグインハイブリッドカーはこれに加えて、更なる燃費の良さ、エコカー減税(自動車購入時の自動車取得税や重量税は免税で0円、東京都の場合は新規登録時及び翌年から5年度分の自動車税も無税)に寄る税優遇措置、エコカー補助金(上限85万円)の支給、更には2015年度限定ではあるが、1000円以上の高速道路通行料の無料化(ただし無料分の総額は6万円が上限であり、補助金の支給に際しては各種の条件や縛りがある)、追い越し時の加速性能の高さなどの利点を考慮したとしても、車にかかる総経費では、10~15年乗り続けてようやくガソリン車と同等か、乗り方次第ではガソリン車よりもやや有利になるくらいと言うのが実状である。一般の人々の車の買い替えサイクルの平均値が10~15年である事に鑑みれば、ガソリン車とハイブリッド車のどちらがお得かは一概には言えないが、通勤や業務で毎日30km程度を走行する人ならばプラグインハイブリッド車の方がお得と言う結論になる。だが、プラグインハイブリッド車は、充電方法が200V対応の場合は自宅に専用の充電設備を設置するための工事費(約15万円)が必要になると言う欠点があり(ただしトヨタのプリウスのプラグインハイブリッド車は100Vにも対応しているため屋外コンセントがあれば工事の必要はない)、これがこの種の車の普及を遅らせている要因の一つとされている。新車価格の割高感に加えて工事費負担となると、購入に二の足を踏む人は多いだろう。
PHV(プラグインハイブリッド)とは、ハイブリッド車の進化系であり、電気自動車とハイブリッド車のいいとこ取りをした車であり、ハイブリッド同様、基本的に充電の必要はない。基本的と書いたのは、二週間以上車に乗らない状態が続くと電池残量がゼロになるため充電の必要があるからだ。通常の人ならば一週間に一回程度は車を使用するので基本的に充電の必要はないと言う意味である。ではハイブリッドカーとの違いは何かと言うと、「充電も出来るハイブリッドカーがプラグインハイブリッドカー」なのである。フル充電の状態にすれば電気モーターだけで30km~40kmの走行が可能であり、両津や佐和田に居住する人で佐渡市役所にお勤めの人ならば一回の充電で自宅と職場の往復が可能で、遠出をしなければガソリンは不要となるし、電気代はガソリン代よりも遥かに安い(i8の場合、満充電(所要時間は3時間)に必要な電気代はたったの160円)!佐渡でも充電設備を備えた施設は増えつつあり、PHVに乗っていればガソリン使用料を減らして、燃費を向上させる事は充分可能になっている。エコアイランドを自認する佐渡のこれからはPHVや電気自動車の時代であろう。そのうち、佐渡市役所の職員駐車場に電気自動車用の充電設備が設置されるかもしれない。
トップ画像は、5月19日にディーラーに到着したばかりの車両登録前のi8を担当者が撮影したものです。担当者曰く「パールホワイトのボディカラーとタービンスタイリングのホイールがi8の高性能をあまり主張せず控えめで上品な感じがしてとてもいいですね!」だそうです。ちなみに、現時点でのi8の日本への納車台数は60台ほどだそうで、そのため中古車価格は高騰し、新車価格の1950万円よりも高い2200万円の値が付くと言う逆転現象すら生じたそうである。当初は2年待ちと言われた納期に関しては、取扱いディーラーに寄る差が激しく、筆者が問い合わせた限りでは、最短が六か月で、最長が1年であり、地方のディーラーほど納期が短い傾向があった。あまりの納期の長さに対しユーザーから不満が続出したため、BMWは安いタイプのi3を減産しi8を増産する体制に方針転換をした。そのためどのディーラーでもi8の納期は短縮しているようである。