7月上旬の台風8号の通過でも大雨とはならなかった東京だが、佐渡や沖縄では50年に一度と言う大雨に見舞われたようであった。台風一過で気温がぐんぐん上昇した7月12日の土曜日とは打って変わり、翌13日の日曜日は朝から曇り勝ちで気温はさほど上昇せず凌ぎ易い一日であった。この日筆者は、新宿高島屋の駐車場に愛車を停めた後ビックカメラへ向い、貯めたポイントを使い電機シェーバーの替え刃を手に入れた。レシートを見たらまだ25,000円ほど貯まっていたが、ポイントの有効期間は最終利用日から2年なので、来年6月頃にテレビを買い替える際に残りのポイントを利用する積もりだ。ビックカメラを出た後、筆者は地下鉄丸の内線と銀座線を乗り継いで三越前駅で下車し、マンダリンオリエンタルホテルへと向った。そして37階にあるミシュラン★のフレンチレストラン「シグネチャー」へと向った。37階でエレベーターを降りると、真正面にウエイティングバーがあり、右折すると中国料理の「センス」へ行き、左折すると「シグネチャー」と言う構造である。「シグネチャー」のウエイティングラウンジは超高級で、人工池の真ん中部分にも椅子が設えてあった。午前11時25分にお店に到着したので、受付のおねーさんに予約がない一人客である旨を告げた後、背の高い背もたれがある椅子に座って待つ事にした。やがて、上品そうなそして華やかな衣装を身に纏った40代のおばさん2人組が現れ、ソファー席のあるラウンジに腰をかけ談笑し始めた。ま、この手の高級なお店は、20代のちゃらちゃらしたカップルが来るべき店ではなく、アラサーやアラフォーの舌の肥えた女性を連れて来るべき店であろう。
開店時間になると、先導役の女性が近寄って来て、席まで案内してくれた。その歩き方は、まるで結婚式で新郎新婦を先導する役目を担った人のようで、おごそかにそしてしずしずと歩いて行く様は、客を嫌でも殿様気分にしてくれた。窓際の二人掛け席は予約で埋まっていたらしく、筆者は中央部の三人掛け席へと案内された。注文伺いに来たウエイター氏は笑点の三遊亭円楽にそっくりの容貌で、窓外を見ながら「すっきりと晴れてくれれば良かったのですが」と残念そうに言った。筆者に取って眺望などはどうでも良かったので、「そうですねえ~」と曖昧に答えておいた。筆者は、前菜、メイン、デザートから成る「ル・パリジャン」と言うコース料理(税サ込み6712円)を注文した。全てのテーブルの上には「バカラ」の三角クリスタルがさりげなく置かれていた。ほどなくしてフィンガーフードとして、揚げた鮎、フレッシュチーズと玉葱を餃子の皮で包んだ物、パルメザンチーズのクラッカー、そして胡瓜の中にサーモンのタルタルを詰め込んだ物の4種が運ばれて来た。いずれも一口で食べられる分量の美味しいアミューズだ。次いで小前菜として、ソテーしたフォアグラのカプチーノ仕立て(中に大根が入っていた)が出て来た。うーん、濃厚なフォアグラにやや酸味の利いたソースが混ざり合い、始めて口にする不思議な味わいだった。前菜は、冷温の二種類から選べたが、筆者は冷前菜を御願いした。蒸したオマール海老にジュレをかけ、うずら卵の黄身をミモザ風にあしらい、これに薄くカットしたトーストとドラゴンフルーツ、そしてキャビアを乗せたうずらの卵が添えられていた。ピンク色のオマール海老は、昨晩某ホテルで濃厚なセックスに耽った、蜜で溢れたセフレの花弁を連想させ、思わず下半身が疼いてしまった。人は旅に出ると開放的になると言うが、高級ホテルで食事を楽しむ時も不思議な開放感に浸り、余計な妄想に耽ってしまうのが常だが、それはそれで非日常的な快楽の一つである。メインには魚料理を選んだ。北海道産のメバルのポアレの上に同じく函館産の烏賊の薄切りが乗せられており、これにココや枝豆を混ぜた酸味の利いたオリーブオイル仕立てのソースをかけて食べる趣向であった。ポアレはやや塩味が強かったものの、酸味の利いたソースとの相性は抜群であった。このお店のシェフは南仏料理がお得意で、果実などの甘味と酸味の利いた料理を一皿の中に閉じ込める手法が特徴的だそうだが、お料理の随所にこの手法が垣間見られた。デザートはチェリーをトッピングした黒糖のメレンゲとヨーグルトのソルベをバニラで覆った代物で、昨晩の女とのキスの味のように甘くて美味しかった。紅茶にはチョコガナシュが付属しており、全てを食べ干して終了。お席で会計を御願いし、「お食事はお楽しみ頂けたでしょうか?」との円楽さんの問いかけに、筆者は大きく頷きながら「とても美味しく頂けましたよ」と満面の笑顔で答えた後、この素敵なフレンチレストランを後にした。
お店の入口
Waiting seat
Waiting bar
Waiting lounge
テーブルセッテイング
窓際席
店内の様子
外は曇っていた
アミューズ
バカラのクリスタル
小前菜のフォアグラを
ルバーブのゼリーで食べる
パン
前菜
厨房への入口
デザート
紅茶と小菓子
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