欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

朝摘みのオリーブ

2011-08-29 | poem
ごつごつした岩場に腰かけ、その人は言うのです。
"あの街にはあらゆるものがそろっている。
しかし、心の糧はなにもない。
こうして街を眺められるこの場所、一見してなにもないように見えるが、あの街よりもはるかにいろんなものであふれている。"
その人の言葉を多くの人が聞いています。
"はるか空のもと、こうして心を澄ませられる場所があるということはありがたいこと。
自分のルーツや原点、これから行くべき道がおのずと見えてくるのです。"
まわりの人たちはこの腰かけた人の中にあるなにかを感じ集まってきたのです。
"多くのものであふれている街中より、こうしてなにもない自然の中こそが、自らの機微を感じとれる場所。"
そう言って、"丘にあるオリーブ畑へ行きましょう。"と、やがて立ち上がったのです。
"あの畑ではたくさんの実りをむかえている。
澄んだ空気の中、その実をかじってみると、味の中にあるなにかを感じることができる。
太陽の恵みがそこにあらわれている。
濃縮された恵みが体の中に入り、わたしたちは失いかけたなにかをとり戻せる。
そして、太陽からの示しもいただくことができる。"
"わたしたちがどこから来てどこへ行こうとしているのか?
今から、このわたしがすることとは?
そのようなものがおのずと心の中に浮かぶようになる。"
歩きながら、その人は空を指差し、
"あそこにおられる方の意向がわかるようになると、心のつかえはおのずととれていくもの。
それが束縛からの解放であり、自身の道を自由とともに生きるということ。
何にもまして、自分が大きな力に支えられていることを知ることになる。
朝摘みのオリーブの味が、そんな不思議な知らせを届けてくれる。
さぁ皆さん、自然の恵みをいただきに行きましょう。"


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2 Comments

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朝摘みのオリーブの味 (夕美)
2011-09-11 15:50:58
こんにちは

いつもながら、気品があり、洗練されたお話ですね
”何もない自然の中こそが 自らの機微を
 感じとれる場所”
素敵な表現で、とても共感出来ます・・。
シンプルで何もない景色であるほうが、より自分の心も見つめらますよね
朝摘みの新鮮なオリーブ、私も食べてみたかったな~です

コメントへのお返事をありがとうございました
ずっと読ませて頂いていると、繁野さんの作風も変わってきているなって思います。
以前は、宗教的な感じのお話が多かったと思います。
試行錯誤は、私も同じなのです。
ネットで公開なので、この向こうには読者の方がいますし、アクセス数も気になりますよね。
でも、この緊張感がまたいいのでしょうか・・。

私の詩も読んで頂いて、ありがとうございます
恋愛についての詩ばかりなのですが、やっぱりそれが私の書く世界なのです
もっと違う世界も描きたいと思いつつ、たどり着くのはいつも同じ世界になってしまいます。

でも、こうやって詩を書く気持ちを話し合えるコメント欄は、救いの場所です
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皮職人のように (makoto)
2011-09-11 22:57:46
いつも読んでいただいてありがとうございます。
9月23日は特別な日だったようですね。
大変な思いをされたことと思いますが、それを乗り越えて今があるのですね。つらさは後に何倍にもすばらしいものになって自分のもとへ戻ってくると、そう言える生き方ができるといいですね

わたしの方は、作風の変化はチャレンジ色が濃いものだと思います。
自分のもっているものと、取り入れていきたいものとの融合。
よく"洗練"という言葉を最近は使います。
どんなものでも洗練されていけば自然とすばらしく映るものです。人の心に響いていくものです。
この洗練さを身につけたい。
わたしはわたしのお店。夕美さんには夕美さんのお店。
詩もその人の持つブランドだと思うのです。
読み手がお客さん。
皮職人がすばらしいなにかを作り出すように。
それにはこれまでの大変な努力があるのでしょうが、ひたむきにでも楽しみながらこれからも詩が創れていけばいいなぁと思っているのです。これからもマイペースにがんばっていきましょう
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