静かな夜の海。ですが、水面はとても明るいのです。
月がとても近づいているかのように強いヒカリを海へと落としているから。
小さな岩場に人魚が腰かけ、ひとり悲しい唄を口ずさんでいます。
そして、時折涙を流しているのです。
すると、大きな野太い声が聞こえてきました。
"なにがそんなに悲しいんだい?"
人魚ははっとしてあたりを見回しました。しかし、なんの動きもない静かな海なのです。
また、唄を歌おうとすると、
"悲しい唄はやめて、楽しい心が躍る唄に変えてみてはどうかね"
人魚はまさかと上を見上げてみました。
すると、夜空の三日月が笑顔でこちらを見ているではありませんか。
"わたしは悲しい唄をうたいたいわけではありません。
でも、こんな唄を歌っていると、心が落ち着くのです。
楽しい唄や喜びの唄はわたしに落ち着きを与えてはくれないのでしょう。
たぶんわたしは悲しい生き方をしているから・・"
光り輝く月はさらに明かるさを増して、
"悲しいものというより、純粋な中になにかの癒しを得ているのだよ。
純粋なものは心に明るみを与えてくれる。
悲しみは心を澄ましてくれる。そんな純粋さにあなたは癒されたいと思っているのだよ"
人魚はさらに見上げて、
"だったら、純粋な楽しい唄をうたっていけるのかしら・・"
"そうだよ。なにも悲しい唄ばかりが純粋なものなのではないから。
心を澄まして、やがてほほ笑みに似た思いが浮かんできたら、それを唄にしてみればいいのだよ"
しばらく、人魚はなにかを口ずさんでいましたが、
"やはりわたしには無理かもしれない・・"
"夜は心を澄ませてくれる絶好の時間。静かな心に響くものを気長に探ってみることだよ。
慣れるまでは時間がかかるかもしれない。だけどきっと良い唄が君の中にできるはずだから"
"ありがとう、お月様。今夜はどうしてわたしなんかに話しかけてくれたの?"
"人魚の唄はとても美しいからさ。その中でも君の唄はとてもいい。
だから、悲しい唄ばかりじゃ、こちらまで身につまされてしまう。
聞いていて居心地が良くなる声だ。明るみをしっかり見つけて、いつもすばらしい唄をこの世界に響かせておくれ"
強い輝きの月にほほ笑みを返す人魚。
やがて、静かな海に響く人魚の歌声。それに導かれるように魚たちの群れが岩場をとりかこむ。
おだやかな美しい歌声に月の明かりもさらに純粋に明るみを増していくのです。
月がとても近づいているかのように強いヒカリを海へと落としているから。
小さな岩場に人魚が腰かけ、ひとり悲しい唄を口ずさんでいます。
そして、時折涙を流しているのです。
すると、大きな野太い声が聞こえてきました。
"なにがそんなに悲しいんだい?"
人魚ははっとしてあたりを見回しました。しかし、なんの動きもない静かな海なのです。
また、唄を歌おうとすると、
"悲しい唄はやめて、楽しい心が躍る唄に変えてみてはどうかね"
人魚はまさかと上を見上げてみました。
すると、夜空の三日月が笑顔でこちらを見ているではありませんか。
"わたしは悲しい唄をうたいたいわけではありません。
でも、こんな唄を歌っていると、心が落ち着くのです。
楽しい唄や喜びの唄はわたしに落ち着きを与えてはくれないのでしょう。
たぶんわたしは悲しい生き方をしているから・・"
光り輝く月はさらに明かるさを増して、
"悲しいものというより、純粋な中になにかの癒しを得ているのだよ。
純粋なものは心に明るみを与えてくれる。
悲しみは心を澄ましてくれる。そんな純粋さにあなたは癒されたいと思っているのだよ"
人魚はさらに見上げて、
"だったら、純粋な楽しい唄をうたっていけるのかしら・・"
"そうだよ。なにも悲しい唄ばかりが純粋なものなのではないから。
心を澄まして、やがてほほ笑みに似た思いが浮かんできたら、それを唄にしてみればいいのだよ"
しばらく、人魚はなにかを口ずさんでいましたが、
"やはりわたしには無理かもしれない・・"
"夜は心を澄ませてくれる絶好の時間。静かな心に響くものを気長に探ってみることだよ。
慣れるまでは時間がかかるかもしれない。だけどきっと良い唄が君の中にできるはずだから"
"ありがとう、お月様。今夜はどうしてわたしなんかに話しかけてくれたの?"
"人魚の唄はとても美しいからさ。その中でも君の唄はとてもいい。
だから、悲しい唄ばかりじゃ、こちらまで身につまされてしまう。
聞いていて居心地が良くなる声だ。明るみをしっかり見つけて、いつもすばらしい唄をこの世界に響かせておくれ"
強い輝きの月にほほ笑みを返す人魚。
やがて、静かな海に響く人魚の歌声。それに導かれるように魚たちの群れが岩場をとりかこむ。
おだやかな美しい歌声に月の明かりもさらに純粋に明るみを増していくのです。
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