欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

悲しみの彼方

2009-04-21 | poem
窓のむこうの景色は味気なく静かで。
わたしの気持ちを冷たくもせず、あたたかくもせず。
雪の降る世界をただ見つめている。
通りを往来する人もなく、鳥一羽動くでもなく。
ただうっそうとした森の手前にいくつかの家々と街へと続く通りがあるだけ。

家の中に喜びがあるわけでなく。胸の中の悲しみがただ横たわっている。
ぼんやりとした表情を窓のそばで外にむけているだけ。
だれも通らぬ往来に。だれかに気づけてほしいわけでもなく。
このまま静かに胸の悲しみを感じ続けるのだろうか。
果てしない灰色の世界をさまよい続けるのか。
されど他になにかをするわけでなく、この場所で往来を見つめている。

街の明かりはこのあたりまで届くことはない。
街はクリスマスの飾りをつけおえているから。
このあたりに明かりを感じるのはまだ先のこと。
このあたりの人々に先の予感を感じさせるのは難しいことだから。
ただ遠くの明かりを思うだけ。

雪が舞い降りてくる。ここにも夜の気配がやってくる。
明かりもつけない部屋の中でただ見つめている。
なにかの気配を。わずかな変化を。
森や家の屋根に雪が降りてくる。とても静かな光景。
街の明かりにも雪が落ちているだろう。
わたしはここで明かりを待っている。ぼんやりと悲しみに抱かれながらもなにかの明かりが訪れるのをここで待っている。


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