個人的に趣味ごとが諸事完全に行き詰まっている今日この頃の私ですが、唐突に新しいカテゴリを追加いたしますです。
必要に迫られましてね。
私は観光業で働いていますので、浜松の特徴とか見所とかを説明する機会が多いのですが、なんせ根がテキトーなもので、浜松ウナギとか浜松ギョウザとか、結構物知り顔に話してはいても、ほとんどそれを自分で体験した事は無いんですよ。でも最近になって、ようやくそれに対して危機感というか、、、罪悪感を覚えるようになってきました。(まぁ、根底として「ウナギやギョウザはもともとおいしくて当たり前なんだから、適当に紹介してもマズイものに当たるはずがない」というのが私の認識なんですけど)
なんていうかわたくし(ラメーン以外は)、食に対しての意欲は全く薄い人間なのです。その虚を突いての新しい探求の始まりです。40からの手習い。料理についてのことはさっぱり分からないわたくしです。でもここは、ラーメンは趣味。餃子と鰻は仕事。というスタンスでいろいろ追求してみよう。
…ただ、鰻より何百倍もラメーンを食べたい欲求の方が強いので、それほど更新頻度は高くないと思います。
さて、今日のテーマはぎょうざ。
私がぎょうざを食べなくなったのはいつごろの頃だったろう。
浜松人は、餃子を食べる総量が、毎年全国で一位だったり二位だったりしたりするそうです。
佐鳴湖畔にある縄文時代の蜆塚遺跡からも炭化した餃子らしき謎のものが発見されているそうです(ウソ)
確かに私も子供時代はギョウザは大好きでしたが、それはかーちゃんが作ってくれる肉感たっぷりのボリューミーな物で、ギョウザというのは家で作る物で(そもそもすごく簡単なものじゃん)、わざわざ店に食べに行ったりはしなかったなあ。年を振りてからラーメンが好きになって、ラーメン屋ではごく当たり前のようにサイドメニューとしてギョウザが並べられているから、最初の頃はラーメンと一緒に餃子を注文したりもしていましたが、そのうちに「ラーメンと餃子って意外と合わないんじゃない?」「なんで一緒に食べないとあかんの?」「全く異質の物じゃないか?」と思うようになって、次第と注文しなくなっていった。
かつて伊豆の国に住んでいたころ、ラーメン通の職場のおねいさんに大好きな大好きな一匹の鯨さんを一押ししたところ、「だってそのお店、ラーメンだけで餃子とか回鍋肉とか置いてないんでしょ?」とか言われて、「なんでー! ラーメン屋に餃子は不要です。偉い人にはそれがわかるんです」とか力説したことを懐かしく思い出します。あのお姉さまは結局一度も一匹の鯨には行ってくれなかった。(※今では鯨屋さんにも餃子を置いてあります。世間の圧力には勝てなかったとみえます)
さて、ぎょうざの石松。
旧浜北市の小松の辺鄙なところにあるお店です。
「浜松ぎょうざ」っていう変なフレーズが言われるようになったのは、ここ5年ぐらいのことですよね? 10年ぐらい前に宇都宮に「餃子旅行」をしたことがありますが、まさかそのときこの輝く宇都宮に我が浜松なぞが肩を並べよう(笑)とは思いもしませんでしたよ。浜松ギョウザなんて妙な言葉ができる前に(7年ぐらい前だと思う)、コミケのついでにサンシャインのナンジャタウンに行った事がありまして、餃子スタジアムとかいうところに我らが浜北市の「石松ぎょうざ」が出店していて、「????」と思った事があります。
残念ながら餃子スタジアムの「石松」は去年(2010年)の6月に撤退してしまったそうですが、調べてみると、2002年7月に餃子スタジアムが開園して以来あそこで頑張っていたそうですね。
ちょっと覚えてないんですけど、2002年に「浜松ぎょうざ」なんて言葉、あったでしょうか? 浜松餃子学会なるものができたのは2005年だといいます。手元に静岡新聞社発行の『餃子伝説』という本があるのですが、1998年発行のこの本では、「宇都宮に並ぶ餃子の町は静岡市!」と言い張っていて、(あくまでもこの本の中では)浜松市は静岡市に従する扱いです。当然、1998年(平成10年)には「浜松餃子」なんていう言葉はなかったのでした。(宇都宮市が“ギョウザの町”をアピールしたのは1990年)
(※こういう調査を見ると、「浜松餃子」が話題になり始めたのはやっぱり2005年以降であるよう)
(※最近は宇都宮市と浜松市の対立(笑)ばかりがよく話題になっていますが、総理府の家計調査によると、ギョーザ業界において、平成7年だけ宇都宮市を抜いて静岡市が日本一になっているそう。もちろんこの調査は浜松市で問題視されている(笑)、「スーパーでの購入金額だけを足したもので、飲食店での支出は含まれていない」「総理府の調査は県庁所在地と政令指定都市だけを対象にした物で、つまりこの年の浜松市の支出額は発表されていない」のでありますが)
さてさて。
石松ぎょうざは浜北にあるのに(※旧浜北市は最近になって浜松に編入されたばかりで、地元民にはそれほど浜松市民だという意識はない)、浜松ぎょうざの代表格といわれているし、それに対する識者たちの反発も強いものがあります。変なことです。
一般に言われている事は、「石松ぎょうざは60年の歴史が…(昭和28年創業)」「まるくぐるっとお皿に並べるのは、石松が始めた」「付け合わせにもやしを添えるのは石松が始めた」というもので、もしそれが本当なら石松って、浜松ぎょうざの真の髄を体現しているといってもいいとおもうのですが(だって丸く並べられモヤシが乗ってるというのが浜松ギョウザの定義なんですから)、、、、 本当のところはどうなんでしょう?
前述の『餃子伝説』(静岡新聞社刊)という本に、石松ぎょうざの簡単な創業秘話がとりあげられております。
それを踏まえ、ネットで書かれていること等をまとめてみますと、
「一般的な餃子の歴史は浅く、かの宇都宮でも戦後の発祥だが、浜松だけは戦前から中国人が焼き餃子を提供している店があった(どこだその店は!)。復員兵だった名切義久氏は最初綿布を売る事業を始めたが、失敗して生活に困り、屋台を引いて浜松駅前で串焼きを売るようになる。それが昭和28年。たまたま近くの屋台で営業していた仲間の朝鮮人に、「故郷のギョウザが食べたい」と言われ、詳しく製法を聞き出して作って彼に食べさせ、とても喜ばれた。それを客にも出したところ大人気に。まもなく千歳町にカウンター形式のお店を構えた。名切氏は森町の生まれだったので、あやかって「石松」という名前にした。店主の性格も森の石松そっくりだったそうである(奥様談)。しかし昭和50年頃、イトーヨーカ堂が建つ事になり立ち退き、海老塚町に移転。が、6年後に店主の体調が優れなくなって、閉店した。
その後、店を手伝っていた息子が今の浜松市南区に「喜慕里」を開き(※当の喜慕里は創業昭和47年を謳っているが)、一方、娘の夫婦が浜北につくったお店に「石松」の名前をもらった」。
つまり、そもそもs28年当時の石松は浜北には無く、今の石松は純粋な意味での直系ではないんですよね。喜慕里と今の石松が初代の石松のオヤジの味をちゃんと継承していれば全然いいんですが、平成10年現在の『餃子伝説』には、両店の味について、初代の奥さんの「まだまだ」という面白いコメントを載せています。(※もちろん、自慢するために必要以上の謙遜を見せるのも静岡県人の特徴)
なお、同じ浜北でも、今の石松の店舗は2009年に移転して新築したものです。それ以前は浜名中学近くにあって、私も一度2009年に自転車で行こうとしたことがあったが、定休日で食べられず仕舞いだった。さらにネットでは、「30年前、浜北駅前にあった」という情報もある(真偽不明)。
とにかく、餃子定食(中)※餃子15ヶ ¥1,102 を注文。
これこれ!!
わたしはギョーザをラーメンのついででなんかなく、メインで食べたいんだ!
お店に入った印象。
これは一人で入りやすいお店です。この店舗は2年前新築されたばかりですが、なかなか狭い。奥に三卓ほど座敷席もありますが、メインはカウンターっていうか、変な作りのイステーブル席。一人で座るのにいいカンジ。混雑時には並ぶ事もあるそうですが、夜7時ぐらいにくれば、適度に空いている。
これで浜北駅から近ければ(←歩いて40分は掛かるでしょう)、一人で餃子で一杯、ってできるのにね。
ともかく餃子。
う、う、うまーーい。
かつて一度、すぐ近くのサンストリート支店(=2010年に撤退)で持ち帰り餃子を買って食べたことがあって、その時も「まぁそれなり」と思ったのですが、その時の記憶とは段違いにウマイ。
石松餃子の皮は「薄い」のだそうで、その皮が、焼き面と蒸し面で絶妙に食感の対比が噛み応えられるようになっており、要は、片側がもっちり、片側がサックリパリパリで、これはおいしい。ご飯がすすみます。浜松ギョウザの特徴、っていうか石松由来の餃子の特徴っていうのは、肉感がほとんど無いことで、でも、肉なんかそれほど好きではない私のような人間からしてみたら、この餃子は他には代え難いな。
浜松ギョウザの一般的な評価は「キャベツが主体なのでアッサリしすぎ、食べ応えが無い、もっと肉を入れろ」というものだと思います。特に石松の評価は顕著。個人的にも「こんなものをはるばる遠くから食べに来る人がいる世の中になったなんて、信じがたい」と常々人に言ってます。わざわざ喰いにくるなよ。ギョーザなんてふつう、美味しいものでしょう? あなたの町にあるラーメン屋の餃子も浜松にあるものよりきっとおいしいですよ?
だけど、以前、弟夫婦と話をしていた時に、「健康的でいいと思う」と言われて鱗が目から落ちた事があった。要は、浜松人は浜松ギョウザの真の価値のなんたるかをしらず、他県民は浜松ギョウザがボリュームがほとんど無いということを知らない。
もっともっと「浜松ギョウザはヘルシー」ってことを打ち出さないと、せっかくのブームは台無しになるよ。
浜松ギョウザの聖地たる石松で、もっちりサックリしたほんのりした甘みの餃子を次々平らげながら、そんなことを思いました。
メニュー表には、餃子の原材料が表記されています。
「きゃべつ・豚肉・卵・植物油・食塩・にんにく・調味料」って書いてあるんですけど、豚肉とニンニクはそんなに感じないですよ。(ただ、ネット上の情報によると、「ヤマト豚の2度挽き肉」をアピールしてます。二度挽肉ってなんだ?)
…わたし、餃子って好きなのかな。よくわからんくなってきた。
少なくとも、今日食べた石松の餃子は非常に好みのものであったです。
これだったら、15個といわず、いくらでもパクパクと食べられます。
なんて思っていたら、12個目ぐらいで、満腹感が襲ってきた。
よく出来てるわー。
★石松餃子★
浜松市浜北区小松1145-1
電話 053-586-8522
創業 昭和28年(1953年)
現在の店主 3代目
※2代目店主の大隅誠氏も健在
営業時間 : 11:00~14:00、16:30~21:00(ラストオーダー20:45)
定休日 : 毎週水・木曜日(連休)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます