元タレント中居正広氏の女性トラブルを巡り、フジテレビは経営体制を刷新。事実上の最高権力者である日枝久氏も退任し、経営から身を引くことになった。
日枝氏を含む経営陣の交代は当然だが、中居氏のトラブルを調査する弁護士による第三者委員会が3月末に調査報告書の公表を予定しており、その直前に退くことは経営責任を不問にしかねない。
焦点だった日枝氏の進退については、フジテレビ取締役相談役を27日付で退任、親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)の取締役相談役も6月に退く。
日枝氏は1980年に編成局長就任以降、バラエティー路線を推し進めフジの躍進に貢献。報道業務に携わる女性アナウンサーのタレント化も同局の大きな特徴となった。こうした路線が女性トラブルの背景にあったことは否定できず、日枝氏の経営責任は重い。
ただ日枝氏自身は中居氏のトラブル発覚後、記者会見などに姿を見せておらず、コメントすら出さずに退任することになる。トラブルを起こした企業の経営者として自覚を欠くのではないか。
フジHD社長には1月にフジ社長に昇任した清水賢治氏が兼務で就任、同HDの金光修社長は会長となる。2人とも日枝体制で引き上げられた人物だ。
フジは独立社外取締役や女性取締役を増やしたとして経営刷新を強調するが、経営トップに日枝氏に近い人物が就き続ければ、経営刷新は期待できまい。
トラブル発覚後、多くのスポンサー企業がフジでのCMを中止した。フジが企業統治のあり方を根底から変えない限り、CM再開は難しいのではないか。
そもそも一連の役員人事は、調査報告書が公表され、トラブルの原因や背景が判明した後に、責任を明らかにする形で行われるべきではなかったか。
明確な理由が明かされないままの役員人事は、著しく透明性を欠く。株主らからも強い批判が出るだろう。フジは第三者委の報告を誠実に受け止め、経営体制をあらためて練り直すべきである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます