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◆<東京新聞社説>桐生悠々を偲んで 戦争に予算組む国の末路

2024年09月10日 11時00分32秒 | ●YAMACHANの雑記帳
私たち新聞記者の大先輩で、反軍、抵抗のジャーナリスト桐生悠々=写真=は1941(昭和16)年、日米開戦3カ月前に亡くなる直前まで言論活動を続け、戦争に突き進む時の権力や軍部に言論で果敢に立ち向かいました。その言説は現代にも通じる明察です。
      ◇
 おなじみの本紙読者には繰り返しになりますが、桐生悠々について紹介します。
 1873(明治6)年、金沢市で生まれた悠々は明治から大正、戦前期の昭和まで、藩閥政治家や官僚、軍部の横暴を痛烈に批判し続けた言論人です。本紙を発行する中日新聞社の前身の一つ「新愛知」新聞や長野県の「信濃毎日新聞」などでは編集、論説の総責任者である主筆を務めました。
 新愛知時代の1918(大正7)年に起きた米騒動では、米価暴騰という政府の無策を新聞に責任転嫁し、騒動の報道を禁じた寺内正毅内閣を厳しく批判。社説「新聞紙の食糧攻め 起(た)てよ全国の新聞紙!」の筆を執り、内閣打倒、言論擁護運動の先頭に立って寺内内閣を総辞職に追い込みました。
 信毎時代の33(昭和8)年の論説「関東防空大演習を嗤(わら)ふ」では敵機を東京上空で迎え撃つ想定の無意味さを指摘します。日本全国が焦土と化した歴史を振り返れば正鵠(せいこく)を射る内容でした。
 しかし、在郷軍人会の抵抗に新聞社が抗しきれず、悠々は信州を離れて新愛知時代に住んでいた今の名古屋市守山区に戻り、34(同9)年から個人誌「他山の石」を発行して言論活動を続けます。

◆戦時は軍事費が7割に

 「他山の石」40(同15)年4月5日号の巻頭言にこうあります。
 「戦争の為に、百億の予算を組む国家と、教育の為に、百億の予算を組む国家と、いずれが将来性あるかは問わずして明である」
 「だが、問わずして明なるこの問題が、いずれの国家でも、特に我国(わがくに)において、解決されていないのは、慨嘆に堪えない」
 すでに37(同12)年に日中戦争が始まり、38(同13)年には国家総動員法、39(同14)年には国民徴用令が公布されるなど、戦時色が一段と濃くなる時代です。
 大正デモクラシーはすでに後景へと退き、31(同6)年の満州事変から、海軍青年将校が犬養毅首相を暗殺した32(同7)年の五・一五事件、陸軍青年将校らの反乱部隊が首相官邸などを襲撃した36(同11)年の二・二六事件を経て軍部が台頭し、政治への関与を強めていました。
 当然、予算編成には軍部の意向が反映され、軍事予算は膨張し続けます。当時の大蔵省資料によると40年の国家予算は110億円。うち軍事費は79億円ですから、その割合は72%にも達します。
 悠々が指摘した「戦争の為に、百億の予算を組む国家」とはまさに当時の日本のことなのです。
 軍事費の割合は36(同11)年までは戦時を除き50%未満でしたが、37年以降は7割を超え、敗戦前年の44(同19)年は実に85%に達します。教育予算などないも同然。学校とは名ばかりで軍事教練や工場での勤労奉仕に明け暮れ、大学生らは学徒動員で戦地に赴きます。
 国家予算の7割以上も戦争に費やし続けた結果が敗戦であり、後に残されたのは日本人だけで310万人を超える犠牲と、焦土と化した国土でした。
 教育に充てるべき予算が無謀な戦争のために費やされ、どれだけ有能な若者らが犠牲を強いられたか。同じ過ちを二度と繰り返してはならない。それが先人たちの犠牲に報いる唯一の道なのです。

◆言論で立ち向かう覚悟

 今の政権は、悠々が鳴らした警鐘に逆行するように「戦争の為の予算」を増やし続けています。
 戦後日本は戦争の反省から、防衛費を国内総生産(GDP)比1%程度にとどめてきました。
 しかし、2012年発足の第2次安倍晋三政権以降、防衛費は周辺情勢の緊迫化を名目に2%程度を目標に膨張が続きます。12年度の4兆7千億円から25年度には概算要求で8兆5千億円を超えました。防衛費倍増で不足する財源は所得、法人、たばこ3税を増税する「軍拡増税」で賄います。
 戦争のために巨額の予算を組んだ国家の末路は明らかです。その反省もなく、なぜ同じ道をたどろうとするのか理解に苦しみます。政権は今も通じる悠々の警鐘に誠実に耳を傾けるべきでしょう。
 きょう9月10日は悠々の命日。悠々を偲(しの)び、権力の暴走には言論で立ち向かう覚悟を新たにする日にしたい。それは、かつて軍部に同調して国民を戦争へと導いた、メディアの反省でもあるのです。

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