政府が、今国会で成立を目指している日本版NSC(国家安全保障会議)設置法案と、特定秘密保護法案。この特定秘密保護法案で注目されたのが、「知る権利」です。
この言葉を「広辞苑(えん)」で調べてみると、「国民が、国の政治や行政に関する、公的な情報を知る権利」と記されています。この国民の「知る権利」があることで、国民は、国や行政機関に対し、情報を公開するよう求めることができるのです。そして国民は、そうした情報を知ることで、国や行政機関が誤った方向に行っていないか、民主的に政策を行っているのかを、監視することができるのです。この知る権利が、「特定秘密保護法案」では守られないのではとの強い懸念が出ています。そこで、法案は当初の案から修正され、「国民の知る権利の保障に資する報道、または取材の自由に、十分配慮しなければならない」との文言がつけ加えられました。これで、知る権利は守られるのか、政治部・三嶋唯久デスクに聞きました。三嶋デスクは「『知る権利』というのは、実は、憲法に明記された権利ではありません。では、その根拠は何かといいますと、憲法21条の『表現の自由』と言われています。表現の自由があるなら、その受け手である国民には、知る権利があるという解釈です。今回、秘密保護法案が、法案の条文の中に『知る権利』という言葉を明記したことについては、評価はできます。しかし、これは『十分に配慮する』との努力規定に過ぎないため、本当に知る権利が守られるのか、懸念が払拭(ふっしょく)されたとは言えません」と話した。特定秘密保護法案は、「防衛」、「外交」、「スパイ活動防止」、「テロ防止」に関するもので、漏えいすれば、日本の安全保障に著しい支障を与えるおそれのある情報を「特定秘密」に指定して、徹底的に管理する法案。しかし、ここで問題となってくるのが、行政機関が、国民にとって重要な情報を恣意(しい)的に「特定秘密」に指定し、隠してしまうおそれがあるのではないかということ。この法案のきっかけとなった1つといわれているのが、2010年、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した時の映像が漏えいしたケース。これは、民主党政権の出来事だが、菅官房長官は、このケースについて「特段、秘匿する必要性はない」、特定秘密にはあたらないとしている。つまり、政権によって、秘密の認識に温度差がある中、政権の判断で「知る権利」が侵されることはないのか。三嶋デスクは「法案では、『法律を拡張して解釈してはならない』とされていますが、その具体的な歯止め、つまり、チェックする制度については明記されていません。今週にも、いよいよ特定秘密保護法案の国会での審議が始まります。国民の間でも、さまざまな疑問点が出ている法案だけに、国会での真摯(しんし)な議論が期待されます」と話した。国や行政が、恣意的に利用しないためにも、「国の安全保障」と「国民の知る権利」の境界線を、きちんと整理することが求められている。
↑安倍政府には、決して守られない。騙されてはいけない。(^^)
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