前川氏授業、自民・赤池氏と池田氏が照会 文科省質問に意見反映
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林芳正文部科学相は二十日、前川喜平前事務次官が名古屋市立八王子中学校の授業で講演した内容の報告を市教委に求める前に、自民党文科部会の部会長を務める赤池誠章参院議員(比例)と、部会長代理の池田佳隆衆院議員(比例東海)が文科省に、前川氏が招かれた経緯などを複数回、照会していたと明らかにした。池田氏には市教委への質問項目を事前に示し、意見を聴いて内容を一部修正していた。林氏が閣議後の記者会見で説明した。林氏は教育への政治的な介入との見方を否定したが、同省の判断に影響した可能性が高まり、野党の追及は必至だ。林氏は同日の参院予算委員会で、市教委にメールで送った質問の表現が「全体的に圧力を与えかねないということがあった」とも述べた。林氏は会見で、照会は「文科省が事実確認する必要があると判断したことには影響していない」と強調。「与野党問わず議員からの指摘に耳を傾けるのは大事なこと。最終的にどう判断するかは行政の責任だ」として、問題はなかったとの認識を示した。赤池氏は自民党本部で取材に応じ、文科省に照会したことを認めた。
池田佳隆衆院議員 |
林氏や赤池氏によると、前川氏が二月十六日に講演した授業を中日新聞が翌十七日に報じ、その記事を見た池田氏が赤池氏に連絡。赤池氏が文科省の官房長に「内容を確認してみてはどうか」とメールで問い合わせた。同十九日には、池田氏が記事を文科省に提供。文科省は同日、名古屋市教委に電話で事実確認した。文科省は市教委から確認した内容を翌二十日に赤池氏に、二十二日には池田氏に説明。同省は三月一日、市教委に十五項目の質問をメールで送ったが、この質問を送る前に池田氏に示した。池田氏からは意見が二つ寄せられ、参考にして質問を一部修正した。林氏は、池田氏の意見は修正を指示したものではないと説明。具体的にどこを修正したかは「確認中だ」とした。
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池田佳隆氏は日本青年会議所(JC)会頭などを経て、二〇一二年に衆院愛知3区(名古屋市昭和、緑、天白区)で初当選。一四、一七年はいずれも比例で復活当選し、現在三期目。名古屋市小中学校PTA協議会の常任理事を務めた経験があり、衆院文部科学委員会や党文科部会に所属する「文教族」として活動してきた。
◆赤池氏「池田氏が提起」
二十日に会見した自民党の赤池誠章参院議員は、前川喜平氏の講演があったことを文部科学省に照会したことを認めた。そのうえで、文科省の天下り問題を念頭に「法令違反をした人が公立中学の教壇に立つことは問題がないのか、確認するためだった」と説明した。赤池氏によると、講演があった翌日の二月十七日に愛知県に滞在していた際、本紙記事を見た池田佳隆衆院議員から「これはどうなのか」と問題提起を受け、同日中に藤原誠文科省官房長にメールでただした。記事を確認した文科省は質問状を作成。池田氏のチェックを経て、名古屋市教委にメールで送った。赤池氏がメールの内容を確認したのは送信後だったといい、内容を知って驚き「やりすぎだ」と文科省に伝えた。池田氏は会見に出席しなかったが、赤池氏が三月十九日に聞き取ったところ「文科省から(質問状の内容の)確認を求められたので、感想を述べた。圧力をかけてはいない」と答えたという。赤池氏も会見で「事実関係を確認する国会議員としての仕事で、圧力には当たらない」と主張した。
◆河村氏「国会で堂々と」
河村たかし名古屋市長は二十日、取材に「(池田氏らと文科省担当者は)堂々と国会に出てきてしゃべればいい。『前川さんを呼んではいけない』というのは、文科省の判断か議員の判断か知りたい」と話した。照会が文科省の判断に影響したかどうかについては「影響しているに決まっとる。疑問の余地ゼロ」と指摘した。