高知のホエールウォッチング風景
土佐湾にはクジラがいます。
土佐湾にいるクジラには、ある大きな特徴があります。
それは、土佐のクジラは世界で唯一、回遊しないクジラ ということです。
それは、NHKの動物番組でも取り上げられています。http://cgi2.nhk.or.jp/darwin/broadcasting/detail.cgi?sp=p088
毎週日曜日午後7時30分よりテレビ放送 NHKダーウィンが来た(第88回) 「土佐のくじらは池に住む」
クジラは、大食漢です。
クジラのエサとなる魚やプランクトンは、栄養の豊富な寒流に多くいます。
寒流の多くは、冷たい海底から湧き上がったものなので、栄養分が豊富です。
反対に暖流は、海の表面を流れているので、栄養分が生き物に食い尽くされていて、海の砂漠と呼ばれます。
子クジラは体が小さく、冷たい環境に耐えられないので、親クジラは栄養の乏しい南の海で、約半年間ほぼ飲まず食わずで出産と子育てをします。
そして子クジラが育って、冷たい環境に平気になったら、エサの豊富な北の海で、腹いっぱい食べまくるのですね。
これが、クジラの回遊メカニズムです。
エサ場を求めて回遊するクジラが、回遊しないでも暮らせる土佐湾。
それは、大食漢のクジラが、飢えることなく暮らせるだけのエサがあるということです。
これは土佐湾が、世界一豊かな海である証拠だと、もう言い切って良いと思います。
もちろん他の海域にも、良い漁場はあるし、おいしいお魚はあると思います。
しかしそこには、そこで生まれ、そこで生き、そこで死んで行くクジラはおりません。
では元来、「海の砂漠」と呼ばれる黒潮。
黒潮の流れ込む土佐湾が、なぜこれほどまでに豊かなのでしょうか?
通常ですと、栄養たっぷりですが、海水温の低い寒流と、栄養はほとんどないが、海水温の高い暖流のぶつかるところ(潮目)で、魚のエサであるプランクトンが大量発生します。
その潮目を狙って、小型の魚が集まり、その小型の魚をエサにするカツオや、マグロなどの大型の回遊魚が集まります。
ですから、寒流と暖流のぶつかる潮目は、良好な漁場となり、その多くは、日本だと東北以北の北の海です。
しかし、土佐湾は南に位置するので、寒流は到達しません。
どういうことでしょうか?
実は土佐湾の海底から、湧き水が上がって来ているらしいのです。
高知県の方ならご存知ですよね。
室戸の海洋深層水・・・というのがありますね。
ああいう感じで、土佐湾の海底からは栄養たっぷりの、海底から湧き水が湧き出るポイントが、いくつもあるらしいのです。
つまり、土佐湾自体が、天然の潮目となっているということです。
そう土佐湾は、奇跡の海なのです。
ですから高知のお魚は、新鮮だから美味しいのではなく、土佐湾の環境で育つから美味しいということです。
つまり、土佐湾で暮らす魚たちは、栄養たっぷりの海域で育っているので、魚自体が超え太っていて、うまみ成分が嘘みたいに多いということです。
ですから高知では、山間部でいただくお魚も美味しいです。
もちろん、港町でいただく方が美味しいですが、山間部であってもおいしくいただけるのは、魚自体のおいしさが圧倒的だからだと思います。
土佐湾にクジラがいる限り、「高知の魚は、世界一美味いぜョ!」と言い切って良いと私は考えています。
世界で唯一、土佐湾で生まれ土佐湾で死んでいく、土佐のクジラが証人です。
そして私は、こういった高知の特殊な環境を生かして、攻めの地域づくりをするべきだとも考えています。
その方法論やアイデアに関しては、ブログ記事で折々、お届けできればと存じますし、またぜひ、読者の皆様方から、ご意見を頂戴できればと存じます。
(ばく)