林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

壮大な展開

2015-03-19 | 重箱の隅

 文庫本の帯には、下のように書いてある。

   第4回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む意外性に満ちた連作ミステリ
   とびきり奇妙な「謎」の世界へようこそ

さらに、朝日の読書欄「売れてる本」では、この文庫本の巻末解説を引用しながらゼッサンし、「脱帽」している。
しかも、10刷100,500部も売れているのだ▼

             

ね、これらを読めば、誰だって「よーしっ! 読んでやるべぇ」となるじゃありませんか。
で、もちろん買って読んでみました。こういう話、好きだからね。

で、第一印象は「ん?」。各短編を読み終えるたびに「ん?」。
それで、何回も読み返しましたよ。それでも「ん?????」。結局、

  何じゃこりゃぁ! 壮大な展開じゃなく、出鱈目な展開だぁ。

となった次第。これがミステリー新人賞作家かぇ? 呆れてものも言えませんな。
巻末の解説者・千街晶之氏がこの本を褒め千切るのは、出版社に雇われているんだからやむを得ない。
だが、朝日に雇われた瀧井朝世氏が、解説を引用し、提灯を持つのは如何なものでありましょうか。

どの話も、構想が乱雑で、謎解きがピリッとしない。いくらでも疑問が湧いてくる。
それは作者も自覚しているらしく、「エピローグ」で無理矢理に各短編をつなぎ合わせ「人魚の所為だ」と言い訳をする。
だが、その言い訳がまた、わけがわからん。

荒唐無稽・奇想天外・破天荒は大歓迎です。
しかし、以前読んだ小松左京のSFや、半村良の伝奇小説群は、あり得ないことながら、充分納得させられ、引きずられた。
ま、年端もゆかない中高生向きの、お粗末な短編連作ミステリー集でした。

なお、この文庫本の題名は「眠り姫奇譚」にした方が、まだいいと思うよ。

挿絵は創元社推理文庫・沢村浩輔「夜の床屋」表紙カバーから。

150319



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